○21世紀出雲芸術文化のまちづくり条例
(平成17年出雲市条例第330号) |
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前文
古くより神話の舞台として夢とロマンに満ち溢(あふ)れたわがふるさと出雲は、長い歴史と伝統が今に息づき、世界的歴史文化遺産である出雲大社や西谷墳墓群をはじめとする多くの遺跡や数々の有形無形の文化遺産を有するとともに、『出雲らしさ』と言われる風土を、田園や家並み・街並み、さらには生活様式の中に留めるなど、多くの歴史的資源に恵まれている。
21世紀を迎えた今日、市民一人ひとりが、終生、心の張り合い、活力と生きがいをもって自己実現をはかり、真に心の豊かさと幸せを実感できる地域社会の形成は、我々に課された大きな課題であり、出雲のまちづくりの基本であると言える。
芸術文化は、我々に大きな感動や生きる喜びを与え、豊かな人生を送るうえでの大きなエネルギーを見出すものであり、我々は、連綿と受け継がれた輝かしいふるさと出雲の文化を再認識し、伝統文化を保存・継承し、そして新たな芸術文化の創造を促し、これを支える環境づくりや条件整備、さらには市民意識の醸成に取り組んでいかなければならない。
よって、我々は、心の豊かさが真に実感できる芸術文化の都出雲の創造を目指し、ここに「21世紀出雲芸術文化のまちづくり条例」を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、芸術文化の振興に関し基本理念を定めるとともに、芸術文化のまちづくりに関する基本的事項を定めることにより、市が市民と一体となって芸術文化の継承・発展に努め、もって真に心豊かな芸術文化の都出雲の創造に資することを目的とする。
(基本理念)
第2条 芸術文化の振興にあたっては、市民一人ひとりが身近に芸術文化に触れ、親しむことができるような環境の整備が図られなければならない。
2 芸術文化の振興にあたっては、市民一人ひとりの自主性及び創造性が尊重されなければならない。
3 芸術文化の振興にあたっては、多様な芸術文化の保護及び発展が図られなければならない。
(市の責務)
第3条 市は、芸術文化の継承・発展や芸術文化創造の基盤づくりに資する施策(以下「芸術文化振興施策」という。)を総合的、重点的に推進するとともに、芸術文化振興施策の展開に広く市民の創意を反映させるよう努めるものとする。
2 市は、芸術文化振興施策を恒常的・安定的に実施できるよう、適切な財源措置を講じていくものとする。
3 市は、芸術文化振興施策を進めるにあたっては、市民や民間団体及び事業所(以下「民間団体等」という。)の協力を求めるとともに、市民や民間団体等の活動の助長に努めるものとする。
4 市は、市民や民間団体等の優れた活動を奨励・顕彰し、芸術文化振興施策の推進に資するものとする。
(市民の役割)
第4条 市民は、自らが芸術文化の継承・発展の担い手であるという立場から、それぞれ、文化への関心を培い、相互に協力しつつ、日常生活の中での実践に努めるものとする。
2 市民は、市の芸術文化振興施策や民間団体等の活動による芸術文化のまちづくりに、積極的に参加・協力するものとする。
(民間団体等の役割)
第5条 民間団体等は、市の芸術文化振興施策への積極的な参加・協力に努めるとともに、自らの実践活動により、文化のまちづくりに資するものとする。
2 民間団体等は、市の芸術文化振興施策と連携しつつ、自らの事業活動及び社会貢献活動の一環として、メセナ活動(公的な団体や民間の企業・団体が自ら実践する芸術文化の擁護・支援活動)等を実践し、芸術文化のまちづくりに資するものとする。
(文化財の保存・活用)
第6条 市は、長い歴史の中ではぐくんできた有形・無形の多種・多様な文化財(以下「文化財」という。)を保護しつつ、将来にわたって継承・保存されるよう、必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、前項の文化財が、有効・適切に活用されるよう、研究機能を有する施設などの整備運営に努めるほか、広く市民に学習・鑑賞の機会及び場を提供するよう努めるものとする。
(伝統芸能等の継承・発展)
第7条 市は、古くから出雲地域で受け継がれてきた神楽、歌舞伎などの伝統芸能、日本の伝統的文化活動の継承及び発展を図るため、活動、公演の舞台を設け、その運営に努めるほか、その他必要な施策を講ずるものとする。
(芸術文化の創造・発展)
第8条 市は、本物志向と住民参加による出雲総合芸術文化祭等を推進し、市民に芸術文化の創造・鑑賞の機会及び場を提供するとともに、市民オーケストラ等活動団体の育成に努めるものとする。
2 市は、市民及び民間団体等の自主的な実践活動に必要な場及び情報等の提供に努めるものとする。
(芸術文化を担う人材の育成)
第9条 市は、芸術文化の継承・発展を担う人材の育成の重要性にかんがみ、幼少児の段階から広く市民の啓発に努め、専門家の養成・確保に配慮していくものとする。
2 民間団体等は、それぞれの事業活動の中で、芸術文化の創造性豊かな人材の啓発・育成に努めるものとする。
(青少年の芸術文化活動の充実)
第10条 市は、21世紀芸術文化の都出雲を担う青少年の育成に資するため、出雲芸術アカデミーを創設するとともに、多様な、優れた芸術文化に触れる機会の提供増進を図るものとする。
2 学校教育においては、芸術文化教育の一層の充実を図り、伝統的文化活動に取り組むなどその他必要な施策を講じていくものとする。
(出雲芸術文化振興会議の設置)
第11条 市は、芸術文化振興施策のあり方を協議・検討し、事業の企画・運営に資するため、出雲芸術文化振興会議を置くものとする。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。