○出雲市福祉のまちづくり条例
(平成17年出雲市条例第116号)
改正
平成19年9月28日条例第47号
平成23年9月30日条例第71号
平成30年3月26日条例第8号
平成31年3月22日条例第9号
令和5年12月20日条例第39号
目次

第1章 総則(第1条-第9条)
第2章 個人の尊重(第10条-第19条)
第3章 自立及び社会参加への支援(第20条-第25条)
第4章 生活環境の整備
第1節 一般都市施設等の整備(第26条-第30条)
第2節 特定施設の整備(第31条-第38条)
第5章 雑則(第39条)
附則

真に豊かな社会とは、「すべての人」が個人として尊重され、自立し、等しく社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が保障される社会である。
 出雲市は、自然と調和した活力と魅力あるまち都市(まち)として発展を続けており、市民の福祉増進についても、施設の増強、介護要員の増員等努力を重ねてきているが、従来、「すべての人」のためへの視点、配慮が必ずしも行き届きかね、ややもすれば、障害をもつ人が、地域社会に存在する様々な障壁によって、自由な社会参加が妨げられてきている。
 このような現実に鑑み、私たちは、真に豊かな「ふるさと出雲」を実現するため、障害をもつ人の自立、社会参加を妨げてきた意識上の、又は、物理的、制度的若しくは文化・情報面の障壁を取り除き、すべての市民が平等で、自らの意思で自由に移動でき、健やかに育ち、学び、働き、憩うことのできる都市を創造することを決意した。
 行政、市民、事業者、それぞれが、自らの役割と責任を自覚し、連携、協働して、福祉のまちづくりを着実に前進させることを誓い、ここに「出雲市福祉のまちづくり条例」を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、福祉のまちづくりに関し、市、市民及び事業者の役割を明らかにすること、並びに市の基本方針を定めることにより、障害者、高齢者をはじめすべての市民が自立し、社会参加することができるまちづくりを推進し、もって豊かな地域社会の実現に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 事業者 市内において、事業を営む者をいう。
(2) 障害者 障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条に規定する障害者その他これに準ずる者をいう。
(3) 高齢者 高齢により日常生活又は社会生活に心身の機能上の制限を受ける者をいう。
(4) 一般都市施設 不特定かつ多数の者の利用に供する建築物、道路、公園、駐車場等で、規則で定めるものをいう。
(5) 公共交通機関 鉄道、乗合自動車その他の車両及び交通機関の乗降場で、規則で定めるものをいう。
(6) 社会的障壁 心身の機能に障害のある者が、日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(7) 合理的配慮 心身の機能に障害のある者の状態に応じた、社会的障壁の除去のための必要かつ合理的な現状の変更又は調整をいう。
(8) 特定施設 一般都市施設のうち、障害者、高齢者を始め全ての市民が、安全かつ円滑に利用できるようにするため整備を促進することが特に必要なものとして規則で定める規模のものをいう。
(9) 特定事業者 特定施設を新設又は改修(建築物については、増築、改築又は用途変更(用途を変更して特定施設にする場合に限る。)をする場合をいう。)をしようとする者をいう。
(市の役割)
第3条 市は、福祉のまちづくりに関する総合的な施策を策定し、及びこれを計画的に実施しなければならない。
2 市は、前項に規定する施策の策定及び実施にあたっては、市民及び事業者の意見が反映されるよう努めなければならない。
(市民の役割)
第4条 市民は、福祉のまちづくりについて理解を深め、相互に協力して福祉のまちづくりを推進するものとする。
2 市民は、市が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、その所有し、又は管理する一般都市施設及び公共交通機関をすべての人が安全かつ容易に利用することができるようにするとともに、相互に協力して福祉のまちづくりを推進するものとする。
2 事業者は、市が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。
(施策の基本方針)
第6条 市の施策の基本方針は、次の各号に掲げるものとする。
(1) 市民一人ひとりが、社会的利益を等しく享受することができる個人として互いに理解し、尊重し合う心づくりの推進
(2) 市民一人ひとりが、自立し、自由に社会参加することができる地域づくりの推進
(3) 障害者、高齢者をはじめすべての市民が、安全かつ容易に利用することができる都市づくりの推進
(情報の提供)
第7条 市は、市民及び事業者が福祉のまちづくりを推進するために、必要な情報を提供するものとする。
(推進体制の整備)
第8条 市は、市民及び事業者と相互に協力し、福祉のまちづくりを推進するための体制を整備するものとする。
(財政上の措置)
第9条 市は、福祉のまちづくりを推進するために、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第2章 個人の尊重
(差別の禁止)
第10条 市、事業者及びすべての市民は、心身の機能に障害のある者に対して、その障害を理由に、不当な差別的取扱い及びその者の権利利益の侵害をしてはならない。
(啓発)
第11条 市は、市民が障害の有無並びに心身の機能及び能力の低下に関わらず平等な個人として互いに尊重する意識(以下「個人を尊重する意識」という。)を高めるために、その啓発に努めるものとする。
(福祉教育の推進)
第12条 市は、学校教育、社会教育その他の機会を通じて、市民が個人を尊重する意識を高めるために、福祉に関する教育を推進するよう努めるものとする。
(交流の促進等)
第13条 市は、市民が個人を尊重する意識を高めるために、市民相互の交流を促進するよう努めるものとする。
2 市は、市民が社会福祉に関するボランティア活動を実践できるようにするために、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(合理的配慮)
第14条 市は、心身の機能に障害のある者の権利利益の保障のため、率先して社会的障壁除去のための合理的配慮をしなければならない。
2 事業者は、社会的障壁除去のための合理的配慮をしなければならない。
(相談窓口)
第15条 市は、障害を理由とする差別及び社会的障壁除去のための合理的配慮に関する相談窓口を設置し、市民や事業者からの相談に的確に応じるものとする。
(指導及び助言)
第16条 市は、事業者が社会的障壁除去のための合理的配慮を行っていないと認めた時は、必要に応じて当該事業者に対し、指導及び助言を行うことができる。
2 事業者は、市から指導又は助言を受けた場合は、可能な限り対応するよう努めなければならない。
(調査及び報告)
第17条 市は、特に必要と認めたときは、前条第1項に該当する事業者による合理的配慮の状況について、調査及び報告を求めることができる。
2 事業者は、前項の規定により市から報告を求められたときは、これに応じなければならない。
(勧告)
第18条 市は、第16条第1項に該当する事業者が、同項の指導及び助言に従わないときは、当該指導及び助言の内容に従うことその他必要な措置を講ずべきことを当該事業者に勧告することができる。
(公表)
第19条 市は、前条の規定による勧告を行った場合において、当該事業者が正当な理由なくその勧告に従わないときは、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。
2 市は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該事業者に対し、あらかじめその旨を通知し、その者又はその代理人の出席を求め、弁明の機会を与えなければならない。
第3章 自立及び社会参加への支援
(学校教育の支援)
第20条 市は、学校教育の場において、障害者がその年齢、能力並びに障害の種別及び程度に応じ、適切かつ十分な教育を受けることができるようにするために、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(生涯学習等の支援)
第21条 市は、障害者及び高齢者が生涯を通じて、学習活動並びに文化活動、スポーツ及びレクリエーション活動へ参加できるようにするために、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(就業機会の確保等)
第22条 市は、障害者がその能力に応じ、就業の機会が確保され、及び雇用関係の安定が図られるようにするために、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 事業者は、障害者の雇用の機会を確保するとともに、職場環境の整備を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めるものとする。
(日常生活の支援等)
第23条 市は、障害者及び高齢者が快適に日常生活を送ることができるようにするために、在宅及び施設福祉に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 市は、保健、医療及び福祉施策の連携を推進し、それぞれの効果的な組合せにより、障害者及び高齢者の日常生活を総合的に支援するよう努めるものとする。
(情報の利用等の支援)
第24条 市は、障害者が円滑に情報を利用することができるようにするために、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(安全対策等の推進)
第25条 市は、障害者及び高齢者が安心して生活を送ることができるようにするために、防犯、防災及び交通安全の保持に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
第4章 生活環境の整備
第1節 一般都市施設等の整備
(整備基準)
第26条 一般都市施設を設置又は管理する事業者(以下「一般都市施設設置者等」という。)は、当該一般都市施設を障害者及び高齢者が安全かつ容易に利用することができるものとするための構造及び設備に関する基準(以下「整備基準」という。)に適合させるよう努めなければならない。ただし、整備基準に適合させる場合と同等以上に安全かつ容易に利用することができる場合又は地形若しくは敷地の状況、沿道の利用状況等により整備基準に適合させることが困難な場合であると市長が認めたときは、この限りでない。
2 一般都市施設設置者等は、当該一般都市施設を障害者及び高齢者が円滑に利用するために必要となる情報を適切に提供するよう努めなければならない。
(維持保全)
第27条 市長は、前条に規定する整備基準を定めるものとする。
2 前項の基準は、出入口、廊下、階段、昇降機、便所その他市長が必要と認めるものについて、一般都市施設の区分に応じて規則で定める。
(一般都市施設の整備)
第28条 一般都市施設設置者等は、当該一般都市施設を整備基準に適合させたときは、その適合部分の機能を維持するよう努めなければならない。
(公共交通機関の整備)
第29条 公共交通機関を所有又は管理する事業者は、障害者及び高齢者が安全かつ容易に利用することができるよう、その公共交通機関の整備に努めなければならない。
(住宅の整備)
第30条 市民は、心身の機能及び能力の低下に対応し、又は備えて、安全かつ容易に利用することができるよう、自らの住宅の整備に努めなければならない。
2 住宅を供給する事業者は、障害者及び高齢者が安全かつ容易に利用することができるように配慮された住宅の供給に努めなければならない。
第2節 特定施設の整備
(事前協議)
第31条 特定事業者は、規則で定めるところにより、当該特定施設の工事に着手する前にその計画について市長に協議(以下「事前協議」という。)しなければならない。ただし、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第17条に規定する計画の認定を申請したときは、事前協議があったものとみなす。
2 市長は、事前協議に係る特定施設が整備基準に適合していると認めたときは、特定事業者に対し、適合している旨を通知するものとする。
(指導及び助言)
第32条 市長は、事前協議に係る特定施設が整備基準に適合していないと認めたときは、特定事業者に対し、当該特定施設を整備基準に適合させるよう必要な指導及び助言を行うことができる。
(事前協議の内容の変更)
第33条 前2条の規定は、事前協議の内容を変更する場合において準用する。
(工事の完了の届出)
第34条 特定事業者は、事前協議に係る工事が完了したときは、その旨を速やかに市長に届け出なければならない。
2 市長は、前項の規定による届出があったときは、当該特定施設が整備基準に適合しているかどうかを検査するものとする。
(立入調査)
第35条 市長は、必要があると認めたときは、その職員に事前協議に係る特定施設に立ち入り、当該特定施設が整備基準に適合しているかどうかについて調査させることができる。
2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
(勧告)
第36条 市長は、特定事業者が事前協議を行わずに工事に着手したときは、その計画について協議を行うべきことを勧告することができる。
2 市長は、特定事業者が第32条の規定による指導及び助言に従わないときは、当該指導及び助言の内容に従うことその他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
3 市長は、特定事業者が事前協議と異なる工事を行ったときは、当該事前協議に基づく工事を行うことその他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
(公表)
第37条 市長は、前条の規定による勧告を行った場合において、当該特定事業者が正当な理由がなくその勧告に従わないときは、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。
2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該特定事業者に対し、あらかじめその旨を通知し、その者又はその代理人の出席を求め、弁明の機会を与えなければならない。
(国等の特例)
第38条 第31条から前条までの規定は、国及び地方公共団体については適用しない。
2 市長は、国及び地方公共団体に対し、その設置し、又は管理する特定施設について、整備基準への適合状況その他必要と認める事項に関する報告を求めることができる。
第5章 雑則
(委任)
第39条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年3月22日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の出雲市福祉のまちづくり条例(出雲市条例第1797号)又は島根県ひとにやさしいまちづくり条例(平成10年島根県条例第25号)の規定により事前協議又は届出のあった施設整備については、それぞれなお従前の例による。
3 第29条及び第30条の規定は、合併前の平田市、佐田町、多伎町、湖陵町及び大社町の区域においては、平成18年1月1日から適用する。
(斐川町の編入に伴う経過措置)
4 斐川町の編入の日の前日までに、島根県ひとにやさしいまちづくり条例(平成10年島根県条例第25号)の規定により届出のあった施設整備については、なお従前の例による。
附 則(平成19年9月28日条例第47号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成23年9月30日条例第71号)
この条例は、平成23年10月1日から施行する。
附 則(平成30年3月26日条例第8号)
この条例は、平成30年4月1日から施行する。
附 則(平成31年3月22日条例第9号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(令和5年12月20日条例第39号)
この条例は、令和6年4月1日から施行する。