○出雲市がん撲滅対策推進条例
(平成19年出雲市条例第1号) |
|
前文
がんは、現在、日本人の死亡原因の第1位に挙げられ、年間約30万人がこの病によって命を失っており、今や「国民病」とも言われている。本市においては、平成17年の死亡者数のうち、がんによる死亡者数は約3割を占めている。また、島根県においても同様であり、人口10万人当たりのがん死亡率も全国第2位になるなど、その対策が急がれているところである。
現在、がん医療水準の地域格差が顕著となっている中、がんの予防や治療法の向上など、がん医療体制の更なる充実が求められており、がん医療の均てん化を促進し、がん対策を総合的かつ計画的に推進するため、国においては、平成18年6月に「がん対策基本法」が、また、同年9月には、島根県において「島根県がん対策推進条例」が制定されたところである。
本市においても、これらの趣旨に賛同し、「がんとの闘いに取り組み、がんを撲滅していく」との意志を明確にし、上記の法令を有効に機能させていく必要がある。このため、市内の都道府県がん診療連携拠点病院との連携を強化し、地域におけるがん医療水準の向上を図るとともに、がん予防対策及び患者会等の活動に対する支援の充実に努め、本市ひいては島根県のがん対策の更なる向上に寄与していくことを目的に、ここに「出雲市がん撲滅対策推進条例」を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、がん撲滅に向けた本市のがん対策に関する各種施策を定め、地域のがん医療水準の向上や、がんの予防及び早期発見の推進を図るため、がん対策を総合的かつ計画的に実施していくことを目的とする。
(市の責務)
第2条 市は、がん対策に関し、必要な支援及び実効性のある施策を実施するよう努めるものとする。
(市民の責務)
第3条 市民は、がんに関する正しい知識を持ち、市が行う施策に積極的に協力するよう努めるものとする。
(都道府県がん診療連携拠点病院の役割)
第4条 市内の都道府県がん診療連携拠点病院(厚生労働省が定める「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針」(平成18年健発第0201004号)に基づき厚生労働大臣が指定する病院をいう。以下同じ。)は、がん医療水準の向上に努めるほか、市と連携してがんの予防及び早期発見等のがん対策に取り組み、市民に対し、がんに関する情報を提供するよう努めるものとする。
(都道府県がん診療連携拠点病院との連携強化及び支援)
第5条 市は、市内の都道府県がん診療連携拠点病院との連携を強化し、質の高いがん医療の実現を促進し、がん医療水準の向上が図られるよう、次に掲げる事項に対し必要な支援を行うよう努めるものとする。
(1) がん診療機能の充実・強化
(2) がんの早期発見・早期治療に向けての専門的な研究体制の整備
(3) がん専門医の養成と高度医療の開発を目的とした部門の整備
(がん予防対策の推進)
第6条 市は、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響に関する知識の普及啓発、その他がん予防の推進のために必要な施策を講ずるものとする。
2 市は、特にがんの最大のリスク要因である喫煙の抑制に向け、喫煙が健康に及ぼす影響に関する知識の普及啓発を図るほか、市の有する公共施設を禁煙にするよう努め、市内の公共的施設(健康増進法(平成14年法律第103号)第25条において対象となる施設)における分煙又は施設内禁煙の推進のために必要な施策を講ずるものとする。
(がん検診の受診率の向上等)
第7条 市は、市民のがん検診の受診率向上に資するよう、がん検診の普及啓発に関する施策を講ずるものとする。
2 市は、最新の知見に基づき、がんの早期発見に有効と認められる検診を実施するよう努めるものとする。
3 市は、出雲市立総合医療センターの検診機能の更なる充実を図り、がん検診の受診率向上及びがんの早期発見に資するよう必要な施策を講ずるものとする。
(がん対策に関する広報等)
第8条 市は、市民のがん対策に関する理解及び関心を深めるため、広報活動その他の必要な施策を講ずるものとする。
(患者会等の活動の支援)
第9条 市は、肉体的な痛みだけでなく、精神的な不安や悩みに直面するがん患者とその家族をサポートするため、がん患者及びその家族等により構成される市内の民間団体(次条において「患者会等」という。)が行う活動を支援するよう努めるものとする。
(国、県等との連携)
第10条 市は、国、県、医療機関、医療関係団体、患者会等と連携を図りながら、がん対策に関する各種施策を計画的に推進するものとする。
(財政上の措置)
第11条 市は、がん対策に関する各種施策を計画的に実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。