○21世紀出雲「神在月」文化振興条例
(平成19年出雲市条例第53号) |
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前文
日本書紀には、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が天照大御神(あまてらすおおみかみ)に国譲りをしたとき、「現世(うつしよ)の政事(まつりごと)はあなたがお治めください。私は、幽(かく)れたる神事(かみごと)を治めましょう」と申された、との出雲神話のロマンの世界が記されている。「幽れたる神事」とは目に見えない縁を結ぶことであり、それを「治める」とは全国から神々を迎え、和の心をもって仲良く会議を催すことだ、と考えられている。大国主大神をまつる出雲大社(いずもおおやしろ)では、毎年陰暦10月10日には神迎祭(かみむかえさい)、翌11日から17日までは神在祭(かみありさい)が執り行われている。全国各地で「神無月(かんなづき)」と呼ばれる陰暦10月が、八百万(やおよろず)の神々が集まる出雲の地では「神在月(かみありづき)」と呼ばれてきた由縁である。
他方、出雲市は、西谷墳墓群、荒神谷遺跡など古代出雲の文化遺産に源を発し、全国津々浦々の民衆の崇敬を集めてきたこの出雲大社をはじめ、日御碕神社、須佐神社、長浜神社、万九千神社、鰐淵寺、一畑薬師、大寺薬師など全国屈指の歴史文化資源に恵まれている。
今日、若い世代を中心に、わが国の古代文化への関心や思いが希薄になるなか、ギリシャ、ローマ神話に匹敵するこうした出雲神話のロマンの世界と豊かな歴史文化資源が並存する出雲の地において、次代を担う青少年はもとより全市民が、今こそ「バック・トゥー・ベーシック(Back To Basic)」すなわち「基本に返れ」の教えに則り、古代から綿々と続く出雲の歴史・文化を学び、出雲文化を継承・発展させ、ひいては和の心をもって平和な世界を希求することにより、21世紀出雲の発展の道を切り開いていくことが極めて重要な課題となっている。
この際、「神在月」という全国に輝く古代出雲の壮大なロマンを奏でる節目に、教育・芸術文化・スポーツ・産業・観光等さまざまな分野で、古代出雲文化をめぐる学習・交流の場や賑わいの場を市民総参加で創造し、心豊かな出雲文化と躍進する出雲の活力を全国に、さらに全世界に発信していくことを決意し、この条例を制定する。
日本書紀には、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が天照大御神(あまてらすおおみかみ)に国譲りをしたとき、「現世(うつしよ)の政事(まつりごと)はあなたがお治めください。私は、幽(かく)れたる神事(かみごと)を治めましょう」と申された、との出雲神話のロマンの世界が記されている。「幽れたる神事」とは目に見えない縁を結ぶことであり、それを「治める」とは全国から神々を迎え、和の心をもって仲良く会議を催すことだ、と考えられている。大国主大神をまつる出雲大社(いずもおおやしろ)では、毎年陰暦10月10日には神迎祭(かみむかえさい)、翌11日から17日までは神在祭(かみありさい)が執り行われている。全国各地で「神無月(かんなづき)」と呼ばれる陰暦10月が、八百万(やおよろず)の神々が集まる出雲の地では「神在月(かみありづき)」と呼ばれてきた由縁である。
他方、出雲市は、西谷墳墓群、荒神谷遺跡など古代出雲の文化遺産に源を発し、全国津々浦々の民衆の崇敬を集めてきたこの出雲大社をはじめ、日御碕神社、須佐神社、長浜神社、万九千神社、鰐淵寺、一畑薬師、大寺薬師など全国屈指の歴史文化資源に恵まれている。
今日、若い世代を中心に、わが国の古代文化への関心や思いが希薄になるなか、ギリシャ、ローマ神話に匹敵するこうした出雲神話のロマンの世界と豊かな歴史文化資源が並存する出雲の地において、次代を担う青少年はもとより全市民が、今こそ「バック・トゥー・ベーシック(Back To Basic)」すなわち「基本に返れ」の教えに則り、古代から綿々と続く出雲の歴史・文化を学び、出雲文化を継承・発展させ、ひいては和の心をもって平和な世界を希求することにより、21世紀出雲の発展の道を切り開いていくことが極めて重要な課題となっている。
この際、「神在月」という全国に輝く古代出雲の壮大なロマンを奏でる節目に、教育・芸術文化・スポーツ・産業・観光等さまざまな分野で、古代出雲文化をめぐる学習・交流の場や賑わいの場を市民総参加で創造し、心豊かな出雲文化と躍進する出雲の活力を全国に、さらに全世界に発信していくことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、神在月を誇る出雲において、古代出雲文化をめぐる学習・交流の場や賑わいの場を市民総参加で創造することを通じて、市民が出雲文化に自信と誇りを持ち、心豊かな出雲文化の継承・発展と21世紀産業文化交流都市・出雲の躍進を図るとともに、これを全国に、さらに全世界に発信していくことを目的とする。
(基本方針)
第2条 前条の目的を達成するため、毎年の10月及び11月を神在月文化振興月間(以下「神在月間(かみありげっかん)」という。)と定め、次に掲げる取組みを重点的に推進していくことを基本とする。
(1) 心豊かな出雲文化を再認識するための古代出雲文化の学習の強化
(2) 市民生活に潤いと豊かさをもたらすための生活文化の充実・発展
(3) 市民が心の張りや、感動、生きがいを高めることができる芸術文化、スポーツ等の振興
(4) 地域経済発展のための商工業から農林水産業にわたる各般の産業振興
(5) 交流人口1,000万人を目指す観光の振興
2 市民は、前項に掲げる取組みについて、積極的に参画・協力するなど、古代出雲文化への関心と理解を深めるとともに、おもてなしの心を涵養し、市内外多数の来訪者との交流の場を盛り上げるものとする。
3 市、市民及び事業者(ボランティア団体を含む。以下同じ。)は、第1項に掲げる取組みについて、それぞれの役割と責任のもと、積極的に企画、開発及び実践に努めるものとする。
4 市は、第1項に掲げる取組みについて、市、市民及び事業者が相互に緊密な連携・協力が図れるよう、財源措置を含め必要な支援に努めるものとする。
5 市は、神在月間における各般の取組みについて、インターネット等を通じて全国・全世界に発信するものとする。
(重点活動)
第3条 前条の基本方針に則り、次に掲げる活動を重点的に展開していくものとする。
(1) 市は、小中学生が学校において古代出雲に関する学習を深め、教養を身につけることができるよう、副読本等教材の整備・充実を図る。
(2) 市は、古代出雲文化の学習に資するため、歴史文化資源の保存・活用に努めるとともに、博物館等における資料の展示や研修機会の充実に努める。
(3) 市民は、島根県立古代出雲歴史博物館、出雲弥生の森博物館、荒神谷博物館等での多様な学習の機会に接し、また、出雲大社、日御碕神社、須佐神社、長浜神社、万九千神社、鰐淵寺、一畑薬師、大寺薬師など豊かな歴史文化資源を実地に学ぶなどして、古代出雲文化についての知識・情報の拡大に努めるものとする。
(4) 市、市民及び事業者は、茶会、華道展、書道展、囲碁・将棋・かるた大会等生活文化から出雲総合芸術文化祭、出雲全日本大学選抜駅伝競走など、芸術文化・スポーツにわたる多様なイベントや催しをそれぞれの役割分担に応じて取り組むとともに、必要に応じて協働で企画・実施するものとする。
(5) 事業者は、必要に応じて市と連携・協力し、神在月出雲全国そばまつり等を積極的に開催するなど、神在月を切り口に、出雲そば、出雲ぜんざい、出雲の酒、出雲銘菓など付加価値の高い特産品の普及・販売に努めるとともに、21世紀出雲産業見本市の開催等、先端技術や地場産業の充実強化による特産品の開発、産直市場の増強などに格別の努力をはらうものとする。
(6) 市は、前各号に掲げる重点活動を基本とし、市民及び事業者の協力を得て、神在月文化振興にふさわしい各般の施策の充実に努める。
(神在月文化振興会議)
第4条 市は、毎年の神在月間における各般の取組みの円滑な推進について総合的に協議するため、神在月文化振興会議を開催する。
(委任)
第5条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成23年9月30日条例第35号)
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この条例は、平成23年10月1日から施行する。