○出雲市安全で安心なまちづくり条例
(平成19年出雲市条例第52号)
改正
平成20年3月17日条例第21号
平成20年6月27日条例第36号
平成21年6月24日条例第37号
平成22年3月24日条例第13号
平成22年6月28日条例第20号
前文
 出雲国風土記には「出雲郡(いずものこほり) 土地豊にこえて民のうるおいの薗(その)なり」と記され、この地は、古来から豊かな自然に恵まれ、今も語り継がれる出雲神話など和やかな地域文化と平穏な暮らしを悠久の歴史の中で育んできた。時として、ヤマタノオロチ神話で暗示されるように、豪雨災害等に見舞われることはあったが、我々の先人はお互いに助け合い、絶え間ない努力と英知を結集して立ち向かい、神々のふるさとと讃えられる豊穣(ほうじょう)な出雲の國つくりにいそしみ、その鼓動は今日まで綿々と受け継がれてきた。
 しかしながら、現代の文化・文明の複雑多様化と価値観やライフスタイルの変化など、激変する社会背景の中で、太古以来の豪雨等の自然災害に加え、多様化・凶悪化する犯罪、頻発する交通事故や火災等事故、更には、健康侵害、教育現場におけるいじめ・不登校などの問題、幼児や高齢者などの弱者への虐待、家庭内暴力、そして環境破壊などの新たな脅威が頭をもたげ、我々の平穏な日常の中で大きな悩みとなり不安な影をおとしている。
 今こそ、すべての市民が、自助、互助、公助の精神をもって、市、市民、地域活動団体、事業者及び関係行政機関等が協働し、思いやりと相互扶助の行動による安全安心な地域社会を構築し、これを次世代に継承していかなければならない。
 我々は、21世紀のヤマタノオロチ退治の気概をもって、ここにあらゆる脅威から市民を守る出雲市安全で安心なまちづくり条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、前文に掲げた自然災害、犯罪、交通・火災等事故、健康侵害、いじめ・不登校、弱者虐待、家庭内暴力及び環境破壊をはじめ、市民生活のあらゆる脅威に対して安全・安心を確保するために必要な市、市民、地域活動団体及び事業者の基本的役割を明らかにするとともに、安全で安心なまちづくりに向けた協働の取組みに関し基本となる事項を定めることにより、すべての市民が安全で安心して暮らすことができる、真に心豊かな地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に居住し、滞在し、通勤し、又は通学する者をいう。
(2) 地域活動団体 自治会、自主防災組織、ボランティア団体その他の地域組織をいう。
(3) 事業者 市内において、営利又は非営利を問わず事業活動を営む者をいう。
(4) 関係行政機関等 市と連携・協力する自衛隊、警察、病院、大学等の国及び県の機関並びにすべての教育機関及び保育所等をいう。
(基本理念)
第3条 安全で安心なまちづくりは、市民一人ひとりの人権が尊重される家庭及び地域社会を実現することを基本として行われなければならない。
2 安全で安心なまちづくりは、自らできることを自ら行う自助、地域でできることを地域で行う互助、行政の行う公助が互いに連携し、市、市民、地域活動団体、事業者及び関係行政機関等の協働により行われなければならない。
3 安全で安心なまちづくりは、市民の意向及び地域の状況を踏まえて、市民生活のあらゆる分野において、実情に応じた総合的な取組みで行われなければならない。
4 安全で安心なまちづくりは、被害を受けやすい子ども、高齢者、障害者、女性等に配慮して推進するものとし、特に、災害、犯罪、事故等の発生時においては、人命を第一に考え、速やかな安全確保を基本として行われなければならない。
(市の基本的役割)
第4条 市は、すべての組織が前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に則り、安全・安心を脅かす要因に明確かつ効果的に対応するため、総合的な取組み表を作成し、安全で安心なまちづくりに必要な次に掲げる諸施策を総合的に実施するものとする。
(1) 市民、地域活動団体、事業者及び関係行政機関等への意識の啓発及び必要な情報の提供
(2) 市民、地域活動団体及び事業者の自主的な活動に対する支援
(3) 総合的な相談窓口及び個別事項の相談窓口の設置
(4) 生活環境の整備
(5) 自治会又は町内会への加入促進
(6) 市民、地域活動団体及び事業者の特に優れた活動に対する顕彰
(7) 前各号に掲げるもののほか、関係行政機関等との積極的な連携・協力等、安全で安心なまちづくりを推進するための必要な施策
2 市は、公共の用に供する施設・設備の安全確保に万全を期し、市職員の安全管理の意識及び知識・技術の向上を徹底するとともに、事業者の一層の協力を求めるものとする。
3 市は、安全で安心なまちづくりを総合的に実施するため、必要な財源措置を講ずるよう努めるものとする。
(市民の基本的役割)
第5条 市民は、基本理念に則り、互いに協力して地域安全活動に参加し、市、地域活動団体、事業者及び関係行政機関等と連携するとともに、家庭を基本とした安全で安心なまちづくりを推進するものとする。
2 市民は、安全で安心なまちづくりに必要な知識や技術を積極的に習得するよう努めるとともに、自助の理念に基づき、自らの安全確保に努めるものとする。
3 市民は、市、地域活動団体、事業者及び関係行政機関等が実施する安全で安心なまちづくりに関する取組みや施策への参加・協力に努めるものとする。
(地域活動団体の基本的役割)
第6条 地域活動団体は、基本理念に則り、地域の特性に応じた自主的な活動への取組み及びその地域における連携・協力を推進するものとする。
2 地域活動団体は、安全で安心なまちづくりに必要な知識や技術を習得する機会を設け、地域の人材育成に努めるとともに、互助の理念に基づき、他の地域活動団体が実施する活動への参加・協力に努めるものとする。
3 地域活動団体は、市及び関係行政機関等が実施する安全で安心なまちづくりに関する施策への参加・協力に努めるものとする。
(事業者の基本的役割)
第7条 事業者は、基本理念に則り、市、市民、地域活動団体及び関係行政機関等と連携し、安全で安心なまちづくりを推進するよう努めるとともに、市が実施する施策への参加・協力に努めるものとする。
2 事業者は、所有し、又は管理する土地、建物及び工作物を適正に管理するとともに、事業活動を行う際は、安全で安心なまちづくりのために必要な措置を講じるよう努めるものとする。
3 事業者は、従業員、職員等に対し、安全で安心なまちづくりのために必要な知識や技術を習得させるよう努めるものとする。
(市と関係行政機関等の連携・協力)
第8条 関係行政機関等は、基本理念に則り、安全で安心なまちづくりに関する施策を実施するものとする。
2 市及び関係行政機関等は、それぞれが実施する施策が円滑に推進されるよう、相互に連携・協力するものとする。
(協働による具体的な取組みの推進)
第9条 市、市民、地域活動団体、事業者及び関係行政機関等は、安全で安心なまちづくりを推進するにあたって、次に掲げる具体的な取組みを協働して行うよう努めるものとする。
(1) 地域の防災、防犯及び交通安全活動における見守り活動、要支援者等へ対応するための人的なネットワークの構築及び人材育成
(2) 地域特性に配慮した避難場所の設置、情報伝達手段の構築及び交通安全活動の促進
(3) 病気の予防や適切な医療処置及び食育等の推進を図り、健康なまちづくりを計画的に推進するためのネットワークの構築
(4) あらゆるいじめ・校内暴力及び不登校の根絶に向け、情報の共有化や見守り活動など、家庭、地域及び学校が一体となったスクラムづくり
(5) 子ども、高齢者及び障害者に対する虐待の防止及び被害者の支援を行う弱者虐待防止ネットワークの構築
(6) 配偶者暴力等の家庭内暴力防止の取組みと被害者支援体制の確立
(7) 「豊かな環境」や「もったいない心」などを確実に未来へ引き継ぐべく、省エネ、ポイ捨て禁止、リサイクル等の啓発や実践活動
(8) 前各号に定めるもののほか、市、市民、地域活動団体、事業者及び関係行政機関等が協働して安全で安心なまちづくりを行うための取組み
(総合的な取組み表)
第10条 第4条第1項に掲げる安全・安心を脅かす要因に対応する総合的な取組み表は、市長が別に定める。
2 安全・安心を脅かす要因に対応する総合的な取組み表は、市、市民、地域活動団体、事業者及び関係行政機関等の協働と情報の共有化や双方向からの情報発信及び事業間の連携の促進を図ることとして活用し、安全で安心なまちづくりにつなげていくものとする。
(委任)
第11条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成20年3月17日条例第21号)
この条例は、平成20年4月1日から施行する。
附 則(平成20年6月27日条例第36号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成21年6月24日条例第37号)
この条例は、平成21年7月1日から施行する。
附 則(平成22年3月24日条例第13号)
この条例は、平成22年4月1日から施行する。
附 則(平成22年6月28日条例第20号)
この条例は、公布の日から施行する。