○出雲市議会基本条例
(平成19年出雲市条例第54号)
改正
平成20年9月29日条例第66号
平成24年12月7日条例第50号
令和2年12月19日条例第61号
目次

第1章 総則(第1条-第6条)
第2章 議会及び議員の活動方針(第7条-第12条)
第3章 議会の機能強化(第13条-第17条)
第4章 議会、議会事務局等の体制整備(第18条-第20条)
第5章 補則(第21条・第22条)
附則

前文
 平成12年4月1日に「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」が施行され、国と地方公共団体の関係は、従来の「上下・主従」から「対等・協力」の関係へと変化しつつある。また、平成19年4月1日には「地方分権改革推進法」が施行され、「地方にできることは地方が担い、責任を持つ」、「地域の実情を最もよく知る地方の自己決定権を確立する」という原則のもとに、第二期地方分権改革が始まったところである。
 第二期地方分権改革により、地方公共団体の自己決定・自己責任の範囲が一層拡大するため、住民から選ばれた代表で構成される議事機関としての議会は、今まで以上に責任ある議会活動が求められるものである。また、議会は市長などの執行機関と対等な関係を構築し、議会自体の活性化を図る必要があり、議員は地域の課題のみならず、様々な市政の課題とこれに対する市民の意向を的確に把握し、市民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。
 出雲市議会は、市としての一体感を醸成し、地方議会としてあるべき姿を示すためにも議会運営の基本的事項を定める議会基本条例が必要であるとの認識に至り、市議会基本条例検討委員会を設置し、議会としてふさわしい条例について議論を行ってきた。
 議会改革の一環として行ってきた一問一答方式や国内外の地方公共団体及び議会との活発な交流などその個性をさらに発揮し、高い政治倫理のもとでの議会、議員などの役割を定めるとともに、議会への市民参加の取組み、議会としての市民への情報提供など議会運営の基本的事項を定め、議会として市民の負託に応えるため、ここに「出雲市議会基本条例」を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、真の地方分権時代の到来に向けて、議会が担うべき役割を果たすための基本的事項を定めることにより、議会の活性化を図り、市民の負託に応えられる議会運営の実現を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 会派 市政に関する主義及び主張を同じくする複数の議員が、調査研究、政策立案等を目的として結成した団体をいう。
(2) 行政視察 次に掲げるものをいう。
ア 議会が、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条第13項の規定に基づき、議員を派遣して行う調査
イ 法第100条第14項から第16項までの規定に基づき交付される政務活動費を用いて行う調査
(基本方針)
第3条 議会は、分権時代において求められる役割及び機能を十分に果たし、市民の代表機関として責任ある議会活動を行わなければならない。
(議会の責務)
第4条 議会は、市の施策に対する意思決定を行う議決機関として、適切な判断と責任ある活動を行わなければならない。
(議長の責務)
第5条 議長は、議会を代表して中立公正な職務遂行に努めるとともに、民主的かつ効率的な議会運営を行わなければならない。
(議員の責務)
第6条 議員は、市民の負託を受けて議員に選出されたことを自覚し、議員として必要な資質の向上に努めるとともに、高い政治倫理のもとで、誠実かつ公正な職務の遂行に努めなければならない。
2 前項の規定に基づく議員の政治倫理については、別に定める。
第2章 議会及び議員の活動方針
(議会の役割)
第7条 議会は、次に掲げる事項を基本として、積極的に議会活動を行い、市民の意向を反映した効果的な施策が実施されるよう努めるものとする。
(1) 政策立案機能の充実強化を図るとともに、市の施策が効率的かつ適正に実施されているかを市民の立場に立って監視及び評価すること。
(2) 市民の多様な意見を的確に把握するよう努め、これを市政に反映させるよう、適切な提言を行うこと。
(3) 議案の審査等において専門的事項に係る調査を必要とするときは、議会の議決により学識経験を有する者等に調査を委託し、その結果を参考として適切な判断を行うこと。
(4) 常任委員会、特別委員会及び議会運営委員会(以下「委員会」という。)の運営に当たり、必要に応じて公聴会制度及び参考人制度を積極的に活用し、多様な意見を踏まえながら、適切な判断を行うこと。
(5) 本会議又は委員会において審議・審査を行うときは、議員相互間の議論を活発に行い、合意形成に努めること。
(6) 本会議における一般質問については、市民にわかりやすく、又論点を明確にするため、一問一答方式で行うものとする。
(7) 先進的な施策の事例を調査研究し、市政及び議会の運営に反映させるため、友好交流都市、姉妹都市等、国内外の地方公共団体及び議会との交流連携を推進すること。
(議員の役割)
第8条 議員は、次に掲げる事項を基本として、分権時代に求められる役割を担うよう努めるものとする。
(1) 地域の課題のみならず、様々な市政の課題とこれに対する市民の意向を的確に把握し、市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。
(2) 政策立案及び政策提言能力の向上のため、研修及び調査研究に努めること。
(3) 様々な手段や媒体を通じて、市民への情報発信に努めること。
(4) 分権時代における地方議会のあり方について調査研究に努めること。
(議会への市民参加の取り組み)
第9条 議会は、市民からの要望や提言などを広く聴取し、議会運営に反映させることを目的に、次に掲げる事項について取り組むものとする。
(1) 議員又は会派は、議会報告会を開催し、市民に対して説明責任を果たすとともに、市民の意見を聴取して政策立案に生かすこと。
(2) 市政の課題等を調査するために委員会が開催する公聴会制度及び参考人制度については、市民が参加しやすい運営を行うよう努めること。
(開かれた議会)
第10条 議会は、市民と情報を共有するため、市民に開かれた議会を推進し、委員会を原則公開するものとする。
2 議会は、議会活動を広く周知するため、議会広報の充実に努めるものとする。
(政務活動費)
第11条 議員又は会派は、政務活動費を有効に活用し、積極的に調査研究その他の活動を行うものとする。
2 議員又は会派は、政務活動費の使途基準に従い、これを適正に執行し、常に市民に対して使途の説明責任を負うものとする。
(行政視察)
第12条 議員又は会派は、行政視察を市の施策に有効に生かすことを目的としてのみ行うものとし、視察終了後速やかに報告書を作成し、議長に提出するものとする。
2 行政視察の報告書は、他の議員等が閲覧しやすい場所に保管するものとする。
第3章 議会の機能強化
(議会改革への取組み)
第13条 議会は、分権時代における地方議会のあり方を常に議論し、不断の議会改革をさらに推し進めるよう努めるものとする。
(議員相互の討議の推進)
第14条 議会は、言論の府であることを認識し、議員相互の自由な討議を主体とした会議の運営に努めるものとする。
2 議会は、議案の審議又は審査においては、議員間の議論を尽くすものとする。
(広報広聴機能の充実)
第15条 議会は、市民に開かれた議会を実現するため、その諸活動に関し情報通信技術の発展を踏まえた多様な媒体を活用して積極的な広報及び広聴に努めるとともに、それらの活動を通じて得られた市民の声を議会活動に反映するものとする。
(委員会の運営)
第16条 委員会は、市民の要請に応えるため、所管委員会に係る市政の課題に対し、常に問題意識を持って取り組むとともに、政策立案及び政策提言を積極的に行うよう努めなければならない。
(議員研修の充実)
第17条 議会は、議員の資質向上のため議員研修の充実強化に努めなければならない。
第4章 議会、議会事務局等の体制整備
(災害時の議会対応)
第18条 議会は、市民の生命又は生活に直接影響を及ぼす災害等が発生した場合は、市民及び地域の状況を的確に把握するとともに、議会としての機能を維持し、市民の安全確保及び被害の拡大防止に努めるものとする。
2 前項に規定する災害等が発生した場合における議会の対応について必要な事項は、別に定める。
3 議員は、災害対策、人命救助等に関わる各種講習会には積極的に参加し、知識技能の習得に努めなければならない。
(議会事務局)
第19条 議会は、議会及び議員の政策形成・政策立案機能の支援体制を充実させるため、議会事務局の調査・法制機能の充実を図るものとする。
(議会図書室)
第20条 議会は、議会及び議員の調査研究に資するため、議会図書室の図書等の充実に努め、その有効活用を図るものとする。
第5章 補則
(他の条例等との関係)
第21条 この条例は、議会運営に係る基本的事項を定めるものであり、議会に関する条例、規則等を定める場合は、この条例の趣旨を最大限尊重しなければならない。
(委任)
第22条 この条例に定めるもののほか、必要な事項については、別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(検討)
2 議会は、この条例の施行後、社会情勢の変化、市民の意見等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定に検討を加え、その結果に基づき、所要の措置を講ずるものとする。
附 則(平成20年9月29日条例第66号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成24年12月7日条例第50号)抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から3月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。
附 則(令和2年12月19日条例第61号)
この条例は、公布の日から施行する。