○出雲市債権管理条例
(平成28年出雲市条例第65号)
改正
平成30年12月21日条例第54号
令和5年3月25日条例第15号
(目的)
第1条 この条例は、市の債権の管理に関する事務の処理について必要な事項を定めることにより、当該事務の一層の適正化及び効率化を図り、もって公正かつ円滑な行財政運営に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市の債権 金銭の給付を目的とする市の権利をいう。
(2) 強制徴収債権 市の債権のうち、地方税法(昭和25年法律第226号)の規定に基づく徴収金に係るもの及び法令の規定に基づき国税又は地方税の滞納処分の例により処分することができるものをいう。
(3) 非強制徴収債権 市の債権のうち、強制徴収債権以外のものをいう。
(他の法令等との関係)
第3条 市の債権の管理に関する事務の処理については、法令又は他の条例(以下「法令等」という。)若しくはこれらに基づく規則等(市長の定める規則及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する企業管理規程をいう。以下同じ。)に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。
(市長等の責務)
第4条 市長及び公営企業管理者(以下「市長等」という。)は、法令等及び規則等の定めるところにより、市の債権を適正に管理しなければならない。
(台帳の整備)
第5条 市長等は、市の債権を適正に管理するため、規則等で定める事項を記載した台帳(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録を含む。)を整備しなければならない。ただし、当該市の債権の性質上特にその必要がないと認められるときは、この限りでない。
(庁内の情報共有)
第6条 市長等は、履行期限までに履行されない市の債権がある場合において、当該市の債権について、第8条、第9条若しくは第11条から第16条までの規定又はこれらの規定に相当する法令等の規定に基づく措置若しくは処分(以下この項において「措置等」という。)を行おうとするときは、その判断に資すると認める限りにおいて、その措置等に係る債務者の当該市の債権以外の市の債権に係る滞納の有無(滞納がある場合は、その滞納している額を含む。)及び市長等が行った措置等の情報を同一の実施機関(市長、議会、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、公平委員会、農業委員会、固定資産評価審査委員会、水道事業及び下水道事業、病院事業並びに消防本部をいう。以下この条において同じ。)内において利用し、又は他の実施機関に提供することができる。ただし、地方税法第22条に規定する秘密(以下この条において「税務調査情報」という。)を同一の実施機関内において利用し、又は他の実施機関に提供することはできない。
2 履行期限までに履行されない市の債権が強制徴収債権である場合又は債務者の税務調査情報開示の同意がある場合は、前項ただし書の規定にかかわらず税務調査情報を同一の実施機関内において利用し、又は他の実施機関に提供することができる。
3 第1項に規定する場合において、当該債務者の所在が明らかでないときは、市長等は、当該市の債権以外の債権に関して保有する当該債務者の氏名及び生年月日並びに住所、電話番号その他当該債務者との連絡に必要な情報を同一の実施機関内において利用し、又は他の実施機関に提供することができる。
4 市長等は、前3項の規定により利用し、又は提供を受けた情報を当該市の債権の管理に関する事務以外の事務に利用してはならない。ただし、前3項の規定により、同一の実施機関内において利用し、若しくは他の実施機関に提供する場合又は法令等に基づく場合は、この限りでない。
5 市長等は、第1項から第3項までの規定により利用し、又は提供を受けた情報を当該市の債権の管理に関する事務に利用する場合は、当該債務者及び第三者の権利利益を不当に侵害することのないようにしなければならない。
(督促)
第7条 市長等は、市の債権について、履行期限までに履行しない債務者があるときは、法令等の定めるところにより、期限を指定してこれを督促しなければならない。
(滞納処分等)
第8条 市長等は、強制徴収債権の滞納処分並びに徴収猶予、換価の猶予及び滞納処分の停止については、法令等の定めるところによりこれを行わなければならない。
(強制執行等)
第9条 市長等は、非強制徴収債権について、第7条の規定による督促をした後相当の期間を経過してもなお履行されないときは、次に掲げる措置をとらなければならない。ただし、第13条に規定する徴収停止の措置をとる場合又は第14条の規定により履行期限を延長する場合その他特別の事情があると認める場合は、この限りでない。
(1) 担保の付されている非強制徴収債権(保証人の保証がある非強制徴収債権を含む。)については、当該非強制徴収債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対して履行を請求すること。
(2) 債務名義のある非強制徴収債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、強制執行の手続をとること。
(3) 前2号に該当しない非強制徴収債権(第1号に該当する非強制徴収債権で同号の措置をとってもなお履行されないものを含む。)については、訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求すること。
(専決処分)
第10条 市長は、非強制徴収債権について訴訟手続等(地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第1項第12号に規定する訴えの提起、和解及び調停をいう。)により履行を請求する場合において、その目的の価額が50万円以下であるときは、専決処分事項の指定について(平成17年5月11日議決)により処理することができる。
2 市長は、前項の規定により専決処分をしたときは、これを議会に報告しなければならない。
(履行期限の繰上げ)
第11条 市長等は、市の債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第14条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は、この限りでない。
(債権の申出等)
第12条 市長等は、市の債権について、債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において、法令の規定により市が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、そのための措置をとらなければならない。
2 前項に規定するもののほか、市長等は、市の債権を保全するため必要があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。
(徴収停止)
第13条 市長等は、非強制徴収債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び取立てをしないことができる。
(1) 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。
(2) 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。
(3) 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。
(履行延期の特約等)
第14条 市長等は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において、当該非強制徴収債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。
(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。
(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。
(3) 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。
(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る非強制徴収債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。
(5) 貸付金に係る非強制徴収債権について、債務者が当該貸付金の使途に従って第三者に貸付けを行った場合において、当該第三者に対する貸付金に関し、第1号から第3号までのいずれかに該当する理由があることその他特別の事情により、当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため、当該債務者がその当該債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。
2 市長等は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合においては、既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(次条及び第16条において「損害賠償金等」という。)に係る非強制徴収債権は、徴収すべきものとする。
(免除)
第15条 市長等は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約又は処分をした非強制徴収債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした場合は、最初に履行延期の特約又は処分をした日)から10年を経過した後において、なお債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。
2 前項の規定は、前条第1項第5号に掲げる理由により履行延期の特約をした貸付金に係る非強制徴収債権で、同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行延期の特約をしたものについて準用する。この場合における免除については、債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならない。
(債権の放棄)
第16条 市長等は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該当するときは、当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等の全部又は一部を放棄することができる。
(1) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項、会社更生法(平成14年法律第154号)第204条第1項その他の法令の規定により債務者が当該非強制徴収債権につきその責任を免れたとき。
(2) 第9条に規定する強制執行等の手続又は第12条に規定する債権の申出等の措置をとったにもかかわらず、なお完全に債務が履行されない場合において、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、債務の履行の見込みがないと認められるとき。
(3) 第13条に規定する徴収停止の措置をとった場合において、徴収停止の措置をとった日から相当の期間を経過した後においても、なお債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、債務の履行の見込みがないと認められるとき。
(4) 債務者が死亡し、その相続について限定承認があった場合において、その相続財産の価額が強制執行をした場合の費用並びに他の優先して弁済を受ける市の債権及び市以外の者の権利の金額の合計を超えないと見込まれるとき。
(5) 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の適用を受け、又はこれに準ずる状態をいう。)にあり、資力の回復が困難で、債務の履行の見込みがないと認められるとき。
(6) 債務者が失踪、所在不明その他これに準ずる事情にあり、徴収の見込みがないとき。
(7) 当該非強制徴収債権(時効消滅について時効の援用を要しない非強制徴収債権を除く。)について、消滅時効に係る時効期間が満了したとき(債務者が時効の援用をしない特別の理由があるときを除く。)。
2 市長等は、前項の規定により非強制徴収債権を放棄したときは、これを議会に報告しなければならない。
(委任)
第17条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、平成29年1月1日から施行する。
附 則(平成30年12月21日条例第54号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成31年4月1日から施行する。
(出雲市債権管理条例の一部改正に伴う経過措置)
4 この条例の施行の日の前日までに、この条例による改正前の出雲市債権管理条例の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例による改正後の出雲市債権管理条例の相当規定によりなされたものとみなす。
附 則(令和5年3月25日条例第15号)抄
(施行期日)
1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。