○出雲市市公有林等の経営管理に関する条例
(令和6年出雲市条例第39号) |
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目次
第1章 総則(第1条-第4条)
第2章 市有林(第5条-第12条)
第3章 市行造林(第13条-第26条)
第4章 分収造林(第27条-第40条)
第5章 雑則(第41条・第42条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市有林及び市行造林(以下「市公有林」という。)並びに分収造林(以下これらを「市公有林等」という。)の経営管理に関し、必要な事項を定めることにより、木材の生産や森林資源の活用を推進するとともに、森林が有する水源涵(かん)養や土砂流出の防止、二酸化炭素の吸収源といった公益的機能の増進を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市有林 市が森林の経営の用に供することを目的に、市有地に造林した森林をいう。
(2) 市行造林 市長が造林地の土地所有者と分収林特別措置法(昭和33年法律第57号)第2条第1項に規定する分収造林契約を締結した森林をいう。
(3) 分収造林 市長が造林地の土地所有者として分収林特別措置法第2条第1項に規定する分収造林契約を締結した森林をいう。
(4) 再造林 樹木の伐採後に、当該樹木と同種の樹木又はその他の樹木を植栽することをいう。
(経営の基本)
第3条 市長は、市公有林がもつ木材の生産機能や公益的機能を十分に発揮させるよう効率的で効果的な森林経営に努めなければならない。
(経営の手法)
第4条 市長は、第1条の目的を達成するため、市公有林を森林法(昭和26年法律第249号)第5条の規定による地域森林計画及び同法第10条の5に規定する森林整備計画に即して、同法第11条に規定する森林経営計画の定めるところにより経営しなければならない。
[第1条]
第2章 市有林
(管理)
第5条 市長は、市の財産の造成を図るとともに、市有林の荒廃の防止に留意し、管理に努めるものとする。
(管理人)
第6条 市有林の管理を行うため、管理人を置くことができる。
2 管理人の職務は、次に掲げるものとする。
(1) 林産物の保護に関すること。
(2) 境界及び境界標の保全に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が必要と認めること。
(貸付け)
第7条 市長は、次の各号のいずれかに該当する場合には、契約により市有林(当該市有林が植生する土地を含む。以下この条から第9条までにおいて同じ。)の貸付けをすることができる。
(1) 林業の用に供するとき。
(2) 農林産物の搬出の用に供するとき。
(3) その他市長が林業振興・森林整備に資すると認めるとき。
2 市有林の貸付けを受ける者は、貸付料を支払わなければならない。
3 貸付けの期間、手続等については、規則で定める。
(無償貸付け等)
第8条 市長は、財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例(平成17年出雲市条例第48号)に定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当する場合は、市有林を無償若しくは時価よりも低い価格で貸し付け、交換し、譲与し、又は時価よりも低い価格で譲渡することができる。
(1) 林業振興の目的に供するとき。
(2) 樹木の採取を目的に市有林を貸し付けるとき。
(林産物の採取)
第9条 第7条第1項の規定により市有林の貸付けを受けた者は、次に掲げる当該市有林の林産物を市長と協議の上、採取することができる。
[第7条第1項]
(1) 下草、落ち葉及び落枝
(2) 木の実及びきのこ類
(3) 樹木
2 前項の規定により樹木を採取した者が売払いをしたときは、市長が定める方法で算出した額を市に納付しなければならない。
(林産物の処分)
第10条 市有林の樹木については、立木のままの売払い(以下「立木売払い」という。)又は素材としての売払い(以下「素材売払い」という。)により処分するものとする。
2 樹木以外の林産物の処分については、市長が別に定める。
(立木売払いによる処分方法)
第11条 前条第1項の規定により立木売払いにより処分する場合は、市長は森林組合又はこれに準ずる団体(以下これらを「林業事業体」という。)に限り、売払いをすることができる。
2 前項の規定による立木売払いにより処分する場合の期間は、市長が別に定める。
3 第1項の規定により売り払う場合は、相手方の林業事業体を公正な方法により決定するものとする。
4 市長は、前項の規定による決定に当たっては、これらの過程の透明化を図るように努めるものとする。
(素材売払いによる処分方法)
第12条 市長は、素材売払いにより処分する場合は、その素材の生産を林業事業体に委託することができる。
2 前項の規定は、素材の生産以外の森林整備について準用する。
第3章 市行造林
(造林地の対象)
第13条 市行造林を行う造林地は、市の区域(造林地の一部が隣接市町村にある場合を含む。)内とし、その基準は規則で定める。
(造林契約)
第14条 市長は、造林契約の締結に当たり土地所有者と次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 造林箇所
(2) 契約期間
(3) 地上権設定
(4) 植栽面積
(5) 植栽樹種
(6) 分収歩合
(7) その他市長が必要と認める事項
(地上権の設定)
第15条 市は、造林地に対し地上権を設定するものとする。
(造林木以外の樹木等の帰属)
第16条 土地所有者は、造林契約の締結前から造林地にある樹木を市長が指定する期間内に収去しなければならない。ただし、土地所有者が特にその所有として存置する旨を市長に申し出てその承認を得た樹木については、この限りでない。
2 造林契約の締結後、造林地に天然に生じた樹木は、造林によって植栽された木(以下「造林木」という。)とみなす。
(契約当事者の変更)
第17条 各契約当事者は、他の契約当事者全員の同意を得て、造林木の持分(土地所有者にあっては当該持分及び造林地)の全部を第三者に譲渡し、又は当該契約に係る権利義務の全てを承継させることができる。
(造林木の持分等の処分等の禁止)
第18条 各契約当事者は、前条に定めるもののほか、他の契約当事者全員の承認を得なければ、造林木の持分又は造林地を処分し、又はこれらを担保に供してはならない。
(土地所有者の責務)
第19条 造林地に関し、造林契約の締結前の原因により異議を申し立て、又は権利を主張する者があったときは、土地所有者がその責任を負うものとする。
2 土地所有者は、造林地の保護のため、次に掲げる事項に協力しなければならない。
(1) 火災の予防
(2) 窃盗、誤伐、侵墾、放牧その他の加害行為の防止
(3) 有害鳥獣の捕獲及び病害虫の予防
(4) 境界標その他の標識の保存
(土地所有者の負担する経費)
第20条 造林地に係る次の経費は、土地所有者の負担とする。
(1) 公租公課
(2) 造林に要する経費以外の経費
(収益の分収)
第21条 造林木の収益分収歩合は、市が10分の6、土地所有者が10分の4とする。
2 前項の規定による分収は、造林木の売払い代金からその売払いに要した経費を差し引いた金額によるものとする。ただし、収益が将来にわたって見込めないと認められるときは、造林木の売払いを行わず、分収しないことができる。
3 造林地の立木について、第三者から受けた賠償金その他の取得金は、その請求に要した費用を控除した残額を、収益分収の歩合により分収することができる。
(火災保険金)
第22条 森林火災保険契約により保険金収入があったときは、再造林の費用に充てる場合を除き、前条第3項の規定を準用する。
(林産物の採取)
第23条 土地所有者は、市長の承認を得て、次に掲げる林産物を採取することができる。
(1) 下草、落ち葉及び落枝
(2) 木の実及びきのこ類
(3) 手入れのため伐採した枝葉の類
(林産物の処分等)
第24条 第10条から第12条までの規定は、市行造林の林産物の処分及び処分方法について準用する。
(造林契約の解除)
第25条 市は、次の各号のいずれかに該当する場合には、造林契約の全部又は一部を解除することができる。
(1) 公用又は公共用のため必要があると認めるとき。
(2) 天災その他の事由により、契約の目的を達成することが困難と認められるとき。
(3) 土地所有者が、自ら造林地を管理する意思をもって解除を申し出たとき。
(4) 土地所有者が、この条例又は造林契約の条項に違反したとき。
2 前項第1号及び第2号の規定により造林契約を解除したときは、速やかに収益を分収するものとする。
3 第1項第3号及び第4号の規定により造林契約を解除したときは、土地所有者は、市長の指示に従い、造林地に係る立木について、市の分収金額に相当する金額を納付しなければならない。ただし、納付すべき金額が、造林に要した経費とこれに対する複利計算による年5パーセントの利息に相当する金額との合算額に達しないときは、その合算額を納付しなければならない。
(土地の返還等)
第26条 前条第1項の規定により造林契約の解除がなされ、地上権が消滅した場合においては、原状に復することなく土地を返還するものとする。
2 前項の土地を返還する際に、当該土地に樹木があるときの当該樹木の所有権は、土地所有者に帰属するものとする。
第4章 分収造林
(分収造林地の対象)
第27条 分収造林による造林を行う造林地(以下この章において「分収造林地」という。)は、市の区域内の市有地とし、その基準は規則で定める。
(分収造林契約の期間)
第28条 分収造林契約の期間は、80年を超えることができない。
2 市長は、特に必要があると認めるときは、前項の期間を更新することができる。
(分収造林契約の締結)
第29条 市長は、分収造林地への造林に関し、市、造林を行う者(以下「造林者」という。)並びに市及び造林者以外の者でその造林に要する費用の全部若しくは一部を負担するもの(以下「費用負担者」という。)の3者又は市及び造林者の2者が当事者となる分収造林契約を締結することにより、当該分収造林地において市以外の者に造林させ、その収益を当該分収造林契約の当事者間において分収することができる。
2 第14条の規定は、前項の規定による分収造林契約に準用する。
[第14条]
3 造林者は、第1項の規定により分収造林契約を締結した場合は、地上権を設定するものとする。
(樹木の帰属等)
第30条 分収造林契約があった後において天然に生じた樹木であって、造林木とともに生育させるものとして市長が指定したものは、造林木とみなす。
2 次の造林木は、市に帰属するものとする。
(1) 造林木の主伐が終了し、又は分収造林契約が解除された場合において、収益の分収が完了したのち、分収造林地の上に残存する造林木
(2) 造林木の買受人が買い受けた造林木に関する権利を放棄したため造林地に残置された造林木
(権利処分等の制限)
第31条 造林者及び費用負担者(以下「造林者等」という。)は、その権利を担保に供し、又は処分することができない。ただし、市長の承認を受けた場合は、この限りでない。
2 造林者等は、分収造林契約の目的以外の目的に造林木及び分収造林地を使用してはならない。ただし、分収造林契約の目的を妨げないと市長が認めた場合は、この限りでない。
(市長の責務)
第32条 市長は、造林者が行う次に掲げる業務に協力するものとする。
(1) 火災の予防
(2) 窃盗、誤伐、侵墾、放牧その他の加害行為の防止
(3) 有害鳥獣の捕獲及び病害虫の予防
(4) 境界標その他の標識の保存
(市の負担する経費)
第33条 分収造林地に係る次の経費は、市の負担とする。
(1) 公租公課
(2) 造林に要する経費以外の経費
(収益の分収)
第34条 造林木の収益分収歩合は、造林者が10分の6、市が10分の4とする。
2 前項の規定による分収は、造林木の売払い代金からその売払いに要した費用を差し引いた金額によるものとする。
3 造林木及び分収造林地について、第三者から受けた賠償金その他の取得金は、その請求に要した費用を控除した残額を、収益分収するものとする。
(林産物の採取)
第35条 造林者等は、次に掲げる分収造林の林産物を市長と協議の上、採取することができる。
(1) 下草、落ち葉及び落枝
(2) 木の実及びきのこ類
(3) 分収造林契約の締結後において、天然に生じた樹木(第30条第1項の規定により市長が指定したものを除く。)
(4) 植栽後20年以内において保育のため伐採する造林木
(分収造林契約の解除)
第36条 市長は、次の各号のいずれかに該当する場合には、分収造林契約の全部又は一部を解除することができる。ただし、造林者等の責めに帰すことができない場合は、この限りでない。
(1) 当該契約に定められた造林箇所に契約期間の始期から1年を経過しても造林者が植栽に着手しないとき。
(2) 植栽が終わった後5年を経過しても成林の見込みがないとき。
(3) 造林者等が当該契約に定められた事項を遵守しなかったとき。
(4) 造林者等が第31条第2項の規定に違反したとき。
[第31条第2項]
2 前項の規定により分収造林契約を解除した場合には、植栽が終わった樹木は、市の所有に属する。この場合において、市は造林者等が造林に投じた費用を賠償しない。
第37条 市長は、前条の規定にかかわらず、国又は公共団体において分収造林地を公用又は公共用の用に供する必要が生じたときは、分収造林契約を解除することができる。
2 前項の規定により分収造林契約を解除した場合において、造林者等は、これによって生じた損失につき市に対し、その補償を求めることができる。
(意見聴取)
第38条 市長は、前2条の規定により分収造林契約を解除しようとするときは、あらかじめ造林者等に対し、理由を付して、その旨を通知し、意見の聴取を行わなければならない。
(土地の返還)
第39条 造林者等は、第37条第1項の規定により分収造林契約の解除がなされ、地上権が消滅したときは原状に復することなく土地を返還するものとする。
[第37条第1項]
(分収造林契約の特例)
第40条 市長は、国、県又は公的な森林整備を行う公益法人(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)第2条第3号に規定する公益法人をいう。)若しくは独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。)との分収造林契約は、第27条から前条までの規定にかかわらず締結することができる。
[第27条]
第5章 雑則
(収入金の取扱い)
第41条 市公有林等から生ずる収入金は、市の林業振興・森林整備に充てるものとする。
(委任)
第42条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。
(出雲市市行造林条例の廃止)
2 出雲市市行造林条例(平成17年出雲市条例第221号。以下「旧条例」という。)は、廃止する。
(経過措置)
3 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前に旧条例第5条の規定により締結された造林契約は、第14条の規定により締結された造林契約とみなす。
4 施行日の前日までに、旧条例の規定によりなされた請求、処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。
5 旧条例第8条の規定は、旧条例の廃止後も、なおその効力を有する。