○北見市がん検診実施要領
(平成26年4月1日内規第262号)
改正
平成28年3月31日内規第83号
平成29年3月31日内規第66号
平成30年3月26日内規第64号
平成30年12月26日内規第208号
平成31年4月3日内規第188号
令和2年3月24日内規第39号
令和2年4月23日内規第141号
令和7年3月28日内規第136号
1 目的
我が国における全がん死亡率は増加傾向にある一方、予防に関する知識の普及や早期発見を通じて、がん予防が期待される者も少なくないことから、がん予防重点健康教育及びがん検診を実施し、がん死亡を減少させることを目的とする。
2 対象者
がん検診の対象者は、北見市の住民基本台帳に記録されている者のうち職場等で実施する検診を受診できる者及び既に医療機関等で検診を受診した者を除く次に掲げる者とする。この場合において、当該年度内年齢を基準とする。
(1) 胃がん検診:40歳以上の者
(2) 肺がん検診:40歳以上の者
(3) 大腸がん検診:40歳以上の者
(4) 子宮がん検診:20歳以上の女性
(5) 乳がん検診:40歳以上の女性
3 受診回数
胃・肺・大腸がん検診は、同一人について1年度に1回の受診とする。子宮・乳がん検診は、同一人について2年度に1回の受診とする。
4 実施方法
検診の実施方法は、集団バス検診及び個別医療機関検診とする。
5 検診の実施期間
検診の実施期間は、集団バス検診は検診指定日とし、個別医療機関検診は毎年度6月1日から翌年2月末日までとする。
6 実施機関
検診の実施機関は、委託した検診機関及び指定医療機関とする。
7 実施計画
北見市は、検診の実施に当たっては市民が受診しやすいように実施の日時、場所等実施計画を作成し、受診率の向上に努めるものとする。
8 周知方法等
事業内容、検診日程等の周知は、広報等によるものとし、電話、電子申請等による申込受付とする。申込受付後、対象者へ受診票及び検診に関する説明書を個人通知するものとする。
9 費用負担等
検診委託料は、別途委託契約により定める。
(1) 集団バス検診方式
ア 検診受診者は、北見市へ検診委託料の3割相当の額(当該額に100円未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てた額)を検診負担金として支払わなければならない。
イ 市長は、実施機関に対し、提出書類の審査後30日以内に検診委託料を支払うものとする。
(2) 個別医療機関検診方式
ア 検診受診者は、実施機関へ検診委託料の3割相当の額(当該額に100円未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てた額)を検診負担金として支払わなければならない。
イ 実施機関は、検診を実施した場合、受診票(北見市控)、請求書及び請求内訳書に必要事項を記載し、翌月10日までに市長に請求するものとする。
ウ 市長は、実施機関に対し、提出書類の審査後30日以内に、検診委託料から検診負担金を控除した額(次号の規定により検診負担金を免除する場合にあっては、委託料)を支払うものとする。
(3) 検診負担金の免除について
次に掲げる者については、検診負担金を免除する。ただし、イの規定による免除を受けようとする者は、受診時に、生活保護受給証明書を実施機関に提出しなければならない。
ア 当該年度内に、40歳になる者
イ 生活保護法(昭和25年法律第144号)による被保護世帯に属する者
10 検診の検査項目及び方法
各がん検診の実施機関は、次に掲げるとおり検診を実施するものとする。
(1) 胃がん検診
検診項目は、問診及び胃部エックス線撮影とする。
ア 問診
問診は、現在の症状、既往歴、過去の検診の受診状況等を聴取するものとする。
イ 胃部エックス線撮影
(ア) 撮影機器の種類を明らかにする。また、撮影機器は、日本消化器がん検診学会の定める仕様基準を満たすものを使用する。
(イ) 撮影枚数は、最低8枚とする。
(ウ) 撮影の体位及び方法を明らかにする。また、撮影の体位及び方法は、日本消化器がん検診学会の方式によるものとする。
(エ) 造影剤の使用に当たっては、その濃度を適切に(180~220W/V%の高濃度バリウム、120~150mlとする。)保つとともに、副作用等の事故に注意する。
(オ) 撮影技師は、日本消化器がん検診学会が認定する胃がん検診専門技師の資格を取得している者とする(撮影技師が不在で医師が撮影している場合は除く。)。
(カ) 北見市から報告を求められた場合には、撮影技師の全数及び日本消化器がん検診学会認定技師数を報告する(撮影技師が不在で医師が撮影している場合は除く。)。
ウ 胃部エックス線読影
(ア) 北見市から報告を求められた場合には、読影医全数及び日本消化器がん検診学会認定医数又は総合認定医数を報告する。
(イ) 読影は二重読影とし、原則として判定医の一人は日本消化器がん検診学会認定医又は総合認定医とする。
(ウ) 必要に応じて過去に撮影したエックス線写真と比較読影する。
(2) 肺がん検診
検診項目は、問診、胸部エックス線撮影及び問診の結果50歳以上で喫煙指数(1日本数×年数)が600以上だった者(過去における喫煙者を含む。)への喀痰細胞診とする。
ア 問診
問診は、喫煙歴及び妊娠の可能性の有無を必ず聴取し、かつ、過去の検診の受診状況等を聴取する。また、最近6か月以内の血たん等自覚症状のある場合には、検診ではなく速やかに専門機関を受診し、精査を行うように勧める。
イ 胸部エックス線撮影
(ア) 肺がん診断に適格な胸部エックス線撮影、すなわち、放射線科医、呼吸器内科医又は呼吸器外科医のいずれかによる胸部エックス線の画質の評価及びそれに基づく指導を行う。
(イ) 撮影機器の種類(直接・間接撮影又はデジタル方式)、フィルムサイズ及びモニタ読影の有無を明らかにし、日本肺癌学会が定める肺がん検診として適切な撮影機器及び撮影方法で撮影する。また、デジタル撮影の場合、日本肺癌学会が定める画像処理法を用いる。
なお、間接撮影の場合は、100mmミラーカメラ及び定格出力150kV以上の撮影装置を用いて120kV以上の管電圧により撮影する。やむを得ず定格出力125kVの撮影装置を用いる場合は、110kV以上の管電圧による撮影を行い縦隔部の感度を肺野部に対して高めるため、希土類(グラデーション型)蛍光板を用いる。定格出力125kV未満の撮影装置は用いない。
直接撮影(スクリーン・フィルム系)の場合は、被検者-管球間距離を150㎝以上とし、定格出力150kV以上の撮影装置を用い、120kV以上の管電圧及び希土類システム(希土類増感紙+オルソタイプフィルム)による撮影がよい。やむを得ず100~120kVの管電圧で撮影する場合も、被爆軽減のために希土類システム(希土類増感紙+オルソタイプフィルム)を用いる。
直接撮影(デジタル画像)の場合は、管球検出器間距離(撮影距離)180~200cm、X線管電圧120~140kV、撮影mAs値4mAs程度以下、入射表面線量0.3mGy以下、グリッド比8:1以上の条件下で撮影されることが望ましい。
(ウ) 胸部エックス線検査に係る必要な機器及び設備を整備するとともに、機器の日常点検等の管理体制を整備する。
(エ) 1日当たりの実施可能人数を明らかにする。
(オ) 事前に胸部エックス線写真撮影を行う診療放射線技師に対して指示をする責任医師及び緊急時や必要時に対応する医師などを明示した計画書を作成し、北見市に提出する。
(カ) 緊急時や必要時に医師に連絡できる体制を整備する。
(キ) 胸部エックス線写真撮影時や緊急時のマニュアルを整備する。
(ク) 検診に従事する診療放射線技師が必要な教育及び研修を受ける機会を確保する。
ウ 胸部エックス線読影
(ア) 読影の際は、2名以上の医師によって読影し、うち1名は十分な経験を有する医師を含める。
(イ) 2名のうちどちらかが「要比較読影」としたものは、過去に撮影した胸部エックス線写真と比較読影する。
(ウ) 比較読影の方法は、「読影委員会等を設置して読影する(あるいは読影委員会等に委託する)」、「二重読影を行った医師がそれぞれ読影する」、「二重読影を行った医師のうち指導的立場の医師が読影する」のいずれかにより行う。
(エ) 読影結果の判定は、「肺がん検診の手引き」の「肺がん検診における胸部X線検査の判定基準と指導区分」によって行う。
(オ) シャウカステン・読影用モニタなどの機器に関しては、日本肺癌学会が定めた基準等に従う。
エ 喀痰細胞診
(ア) 採取した喀痰は、2枚以上のスライドに塗沫し、湿固定の上、パパニコロウ染色を行う。
(イ) 固定標本の顕微鏡検査は、公益社団法人日本臨床細胞学会の認定を受けた細胞診専門医と細胞検査士が連携して行う。
(ウ) 同一検体から作成された2枚以上のスライドは、2名以上の技師によりスクリーニングする。
(エ) がん発見例については、過去の細胞所見を必ず見直す。また、がん発見例が無い場合でも、少なくとも見直す体制を整備する。
(3) 大腸がん検診
検診項目は、問診及び便潜血検査とする。
ア 問診
問診は、現在の症状、既往歴、家族歴、過去の検診の受診状況等を聴取する。
イ 便潜血検査
(ア) 検査は、免疫便潜血検査2日法を行う。
(イ) 便潜血検査キットのキット名、測定方法(用手法又は自動分析装置法)、カットオフ値(定性法の場合は、検出感度)を明らかにする。採便用具の選択、購入及び管理は、実施機関が行う。
(ウ) 大腸がん検診マニュアル(2021年改訂版、日本消化器がん検診学会刊行)に記載された方法に準拠して行う。
(エ) 検体回収後、原則として24時間以内に測定する。
ウ 検体の取扱い
(ア) 採便は、用具を受診者に配布し、自己採便とする。採便方法については受診者に説明する。
(イ) 採取した検体は、受診者の自宅において冷蔵保存(冷蔵庫での保管が望ましい。)し、2回目の検体を採取後即日回収することを原則とする。やむを得ず即日回収できない場合も、回収までの時間を極力短縮し、検体の回収、保管及び輸送の各過程で温度管理に厳重な注意を払うこととする。なお、検診受診者から実施機関への検体輸送は、温度管理が困難であり、検査精度が下がることから行わない。
検診受診日は、検体回収を行った日とする。
(ウ) 採便後は、検体を冷蔵庫又は冷所に保存するよう受診者に指導する。
(エ) 受診者から検体を回収してから自施設で検査を行うまでの間又は検査施設へ引き渡すまでの間、冷蔵保存する。
(オ) 検査施設では、検体を受領後冷蔵保存する。
(4) 子宮がん検診
検診項目は、問診、視診、子宮けい部及びちつ部表面からの検体採取による細胞診及び超音波検査(集団バス検診のみ)とする。
ただし、問診で子宮体部細胞診が必要と認められる者で引き続き子宮体部細胞診(子宮内膜細胞診)を実施することについて本人が同意する場合には、子宮けい部及びちつ部表面からの検体採取によるがん検診に合わせて引き続き子宮体部細胞診を行うものとする。
ア 問診
(ア) 問診は、月経の状況、妊娠及び分べん歴、性交経験の有無、月経の状況、不正性器出血等の症状の有無、過去の検診受診状況等を聴取する。
(イ) 問診の上、症状(体がんの症状を含む。)のある者には、適切な医療機関への受診勧奨を行う。
イ 視診
ちつ鏡を挿入し、子宮けい部の状況を観察する。
ウ 子宮頸部細胞診検体採取(実施機関での精度管理)
(ア) 細胞診の方法(従来法/液状検体法、採取器具)を明らかにする。
(イ) 検体採取は、直視下に子宮けい部及びちつ部表面の全面擦過により細胞を採取し、迅速に処理する。
(ウ) 検体が不適正との判定を受けた場合は、当該実施機関で再度検体採取を行い、その原因等を検討し、対策を講じる。
エ 子宮けい部細胞診判定(細胞診判定施設での精度管理)
(ア) 細胞診判定施設は、公益社団法人日本臨床細胞学会の施設認定を受けるか、又は公益社団法人日本臨床細胞学会の認定を受けた細胞診専門医と細胞検査士が連携して検査を行う。
(イ) 細胞診陰性と判断された検体は、その10%以上について、再スクリーニングを行う。
(ウ) 細胞診結果の報告には、ベセスダシステムを用いる。
(エ) 全ての子宮けいがん検診標本の状態について、ベセスダシステムの基準に基づいて適正又は不適正のいずれかに分類し、細胞診結果を報告する。
(オ) 子宮けい部上皮内腫瘍3(CIN3)、子宮けい部上皮内腺がん(AIS)、子宮けい部浸潤がん発見例は、過去の細胞所見の見直しを行う。
オ 超音波検査(集団バス検診においてのみ実施)
けい部細胞診に引き続き、経ちつ超音波断層法により腫りゅう(卵巣腫瘍、子宮筋腫など)及び子宮内膜層の検査を行う。
カ 子宮体部細胞診検体採取及び判定
(ア) 子宮体部の細胞診においては、吸引法又は擦過法によって子宮内膜細胞を採取するが、対象者は主として更年期又は更年期以後の女性であることから、子宮けい管が狭くなっていること等を考慮し、吸引法及び擦過法の両器具を準備しておくことが望ましい。
(イ) 判定結果は、「陰性」、「疑陽性」及び「陽性」に区分する。
(5) 乳がん検診
検診項目は、問診及び乳房エックス線検査(マンモグラフィをいう。以下同じ。)とする。なお、視診及び触診(以下「視触診」という。)は推奨しないが、仮に実施する場合は、乳房エックス線検査と併せて実施するものとする。
ア 問診
問診は、現在の症状、月経及び妊娠等に関する事項、既往歴、家族歴、過去の検診の受診状況、マンモグラフィの実施可否に係る事項等を聴取する。
イ 乳房エックス線検査
(ア) 乳房エックス線装置の種類を明らかにし、日本医学放射線学会の定める仕様基準を満たす。
(イ) マンモグラフィに係る必要な機器及び設備を整備するとともに、機器の日常点検等の管理体制を整備する。
(ウ) 両側乳房について内外斜位方向撮影を行う。また、40歳以上50歳未満の受診者に対しては、内外斜位方向・頭尾方向の2方向を撮影する。
(エ) 乳房エックス線撮影における線量及び写真又はモニタの画質について、日本乳がん検診精度管理中央機構の行う施設画像評価を受け、A又はBの評価を受ける。
(オ) 撮影を行う診療放射線技師及び医師は、乳房エックス線撮影、読影及び精度管理に関する基本講習プログラムに準じた講習会を修了し、その評価試験でA又はBの評価を受ける。
ウ 乳房エックス線読影
(ア) 読影は二重読影を行い、読影に従事する医師のうち少なくとも1名は乳房エックス線写真読影に関する適切な講習会を修了し、その評価試験でA又はBの評価を受ける。
(イ) 二重読影の所見に応じて、過去に撮影した乳房エックス線写真と比較読影する。
エ 予防についての指導
検診間隔は2年に1回であり、受診の継続が重要であること、ブレスト・アウェアネス(乳房を意識する生活習慣)の重要性及び症状がある場合は速やかに医療機関を受診することの重要性を説明する。
11 検査結果の通知、報告等
結果の通知については、次に掲げるとおりとする。
(1) 集団バス検診方式の場合
ア 実施機関は、精密検査の必要性の有無を付し、4週間以内に市長に対し結果を報告するものとする。
イ 市長は、その結果をもって受診者に速やかに通知するものとする。
(2) 個別医療機関検診方式の場合
ア 実施機関は、「受診票(受診者控)」をもって4週間以内に受診者に結果を通知するものとする。
イ 実施機関は、「受診票(北見市控)」をもって北見市に結果を報告するものとする。
ウ 実施機関は、精密検査結果の照会及び追跡調査があった場合には、速やかに所定の様式にて結果を報告するものとする。
12 記録の整備
がん検診の検査記録は、検診原簿等に氏名、住所、年齢、過去の受診状況、検診結果、精密検査の必要性の有無等を記録するものとする。
問診記録、画像、標本及び検診結果は、5年間保存するものとする。
13 要精検者に対する事後指導
各がん検診において一次検診の結果、精密検査が必要になった者に対しては、封書で通知し、精密検査結果通知連絡票等を同封し、医療機関における精密検査の受診勧奨をするものとする。
14 秘密の保持
検診等の特殊性から、検診対象者及び検診結果について秘密の保持に努めるものとする。
15 事業評価
がん検診に係る受診率については、実施要領に基づく検討を実施するものとする。
附 則
この要領は、平成18年4月1日から施行する。
平成20年4月1日改正施行
平成21年4月1日改正施行
平成22年4月1日改正施行
平成23年4月1日改正施行
平成24年4月1日改正施行
附 則(平成28年3月31日内規第83号)
この内規は、平成28年4月1日から施行する。
附 則(平成29年3月31日内規第66号)
この内規は、平成29年4月1日から施行する。
附 則(平成30年3月26日内規第64号)
この内規は、平成30年4月1日から施行する。
附 則(平成30年12月26日内規第208号)
この内規は、平成30年12月26日から施行する。
附 則(平成31年4月3日内規第188号)
この内規は、平成31年4月12日から施行する。
附 則(令和2年3月24日内規第39号)
この内規は、令和2年4月1日から施行する。
附 則(令和2年4月23日内規第141号)
この内規は、令和2年4月23日から施行する。
附 則(令和7年3月28日内規第136号)
この内規は、令和7年4月1日から施行する。