○北見市母子家庭等就業・自立支援事業実施要綱
| (平成26年4月1日内規第287号) |
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(目的)
第1条 母子家庭の母及び父子家庭の父(配偶者の暴力により親と子で避難をしている事例等で、婚姻の実態は失われているが、やむを得ない事情により離婚の届出を行っていない者等を含む。以下同じ。)並びに寡婦(以下「母子家庭の母等」という。)の自立のため、就業機会の確保は極めて重要であるが、母子家庭の母等の就業情報や経験の不足、雇用する側の理解不足など母子家庭の母等を取り巻く就業環境は厳しい状況にある。
母子家庭の母等の自立の支援は就業支援のみならず、養育費の確保の推進や地域での生活支援を総合的に講ずる必要があり、母子家庭の母等の生活実態や地域の実情に応じた支援策を講ずることが重要となっている。また、より身近な地域で支援が受けられる体制の整備が求められている。
こうしたことから、個々の母子家庭の母等の家庭の状況、職業適性、就業経験等に応じ、適切な助言を行う就業相談の実施、就業に必要な知識や技能の習得を図るための就業支援講習、公共職業安定所等職業紹介機関と連携した就業情報の提供など一貫した就業支援サービスの提供等を実施するとともに、生活の安定と児童の福祉の増進を図るため、養育費の取決めなどに関する専門知識を有する相談員等による相談体制の整備や、継続的生活指導を必要としている母子家庭の母等への支援を総合的に行うことを目的とする。
(実施主体)
第2条 本事業の実施主体は、北見市とし、事業の全部又は一部を社会福祉法人へ委託する。
なお、本事業は、北海道と共同で実施することができる。
(対象者)
第3条 事業の対象者は、北見市に住所を有する母子家庭の母等とする。また、母子家庭及び父子家庭の児童も本事業の対象とすることができる。
(内容)
第4条 事業の内容等は次のとおりであり、その実施に当たっては、就業支援事業、就業支援講習会等事業及び就業情報提供事業による一貫した就業支援サービスの提供並びに養育費等支援事業の実施による総合的な自立支援に努めること。
なお、地域の実情に応じ必要な事業を選択して実施することができる。
(1) 就業支援事業
ア 就業相談 個々の母子家庭の母親等の就業相談に応じ、家庭の状況、職業の適性、就業への意欲形成、職業訓練の必要性、求人等の情報提供、事業を経営する上での問題等に対し、適切な助言を行うとともに、就業に係る巡回相談を行うものとし、その実施に当たっては、次の事項に留意すること。
(ア) 就業相談は、母子家庭の母等の就業状況、就業を巡る法制度、就業支援施策等に関し十分な知識を有し、相談に関し十分な経験を有する者が、就業や事業経営等に関する相談に対して適切な指導・助言を行うこと。
(イ) 就業相談の実施に当たっては、地域の雇用情勢、事業所の雇用状況、教育訓練講座の開設状況などの把握に努め、母子家庭の母等の就業意欲や能力、生活状況等に応じた助言を行うこと。
また、公共職業安定所(以下「安定所」という。)等の行う就業支援施策の内容を踏まえ実施することとし、個々の状況に応じ、安定所等が行う就業支援施策を活用することについて、安定所等へ繋げるなど、安定所等と連携を図ること。
なお、就業に関する相談以外の相談についても、適宜関係機関の連絡先を情報提供するなど必要な支援を行うこと。
(ウ) 就業相談を実施するに当たり、職業紹介を併せて行うことができるよう許可等を受ける等することが望ましいこと。
(エ) 就業相談に応じた場合には、その内容・助言事項等を記載した記録を作成しておくこと。
(オ) 就業相談の内容について、個人のプライバシー等秘密保持に十分に配慮すること。
(カ) 託児コーナーの設置や平日夜間や土日祝日に相談に応じる等、母子家庭の母等の生活実態やニーズ等を踏まえ実施すること。
イ 就業促進活動 地域の企業に対し、母子家庭の母等に対する理解と協力を求める活動を行うとともに、求人開拓を行うなど、効果的な就業促進活動を行うこととし、その実施に当たっては、次の事項に留意すること。
(ア) 地元企業等を中心とした説明会や訪問活動を実施するなど、母子家庭の母等に対する事業所等の理解を深めるため、母子家庭の母等の就業、生活実態や支援策など就業・福祉制度について周知や説明を行うとともに、その雇用に関して協力を求めること。
なお、実施に当たっては、地域企業等により組織される商工会議所等の協力を得る等、効果的・効率的な支援の実施に配慮すること。
(イ) 就業促進活動を実施する場合には、地域企業の求人ニーズの把握に努め、企業訪問等により得られた情報については、講習等の講座内容の設定に反映させるなど、相談関係者等に対し、適宜情報の提供に努めること。
(ウ) その他、地域の実情に応じて就業を促進するための支援活動を行うこと。
(2) 就業支援講習会等事業
母子家庭の母等には、就業経験がない者、専業主婦であった期間が長く再就職に不安がある者、転職希望はあるが仕事と家庭の両立に不安を抱えている者、就業に際して必要な技能の習得やより良い就業に就くためのキャリアアップを望む者、起業するためのノウハウの習得を望む者などの様々なニーズがあると考えられる。そこで、就職準備や離転職、起業家支援に関するセミナー(以下「セミナー」という。)や地域の実情に応じ、就業に結びつく可能性の高い技能、資格を習得するための就業支援講習会(以下「講習会」という。)を開催することとし、その実施に当たっては、就業相談などの機会を活用し周知・広報を図るとともに、平日夜間や土日祝日の開催等、母子家庭の母等の生活実態やニーズを踏まえた開催に努めるほか、次の事項に留意すること。
ア セミナー講師には、母子家庭の母等の就業状況や起業に関して深い見識を有するものを選定すること。
イ セミナーの開催に当たっては、次の内容を必要に応じて実施すること。
(ア) 母子家庭の母等への支援策についての情報提供
(イ) 働くことの意義と適性
(ウ) 就業に向けての生活環境のチェック
(エ) 就職、再就職、離転職を取り巻く法律、制度
(オ) 企業の求める人材
(カ) 起業家支援(起業の方法、事業計画、資金計画、労務管理等)
(キ) 体験談、意見交換
(ク) 就職情報の集め方と見方、求職活動のノウハウ、履歴書の書き方、面接の受け方
(3) 就業情報提供事業
母子家庭の母等の求職活動を支援するため、就業支援バンクを開設し、母子家庭の母等の希望する雇用条件等を登録し、希望に応じた求人情報を登録された母子家庭の母等に適宜提供するとともに、インターネット等を活用した情報提供、電子メール相談、企業等への雇用を促進するための啓発活動などを行うこと。また、その実施に当たっては、次の事項に留意すること。
ア 情報収集、提供に当たっては、安定所、福祉人材バンク等関係機関と密接な連携を図ること。
イ 就業支援バンクの開設に当たっては、就業相談や講習会等の機会を活用して就業支援バンクについて情報提供を行うこと。
ウ 就業支援バンクに登録の申出があった場合には、希望する区域、勤務時間等必要な就業条件、資格、修了した講習内容等の事項について確認しておくこと。
エ 登録者の希望する雇用条件等に適した求人情報を得た場合には、インターネット等の活用による電子メールや郵送による情報提供など、事前に登録者と調整した方法により情報の提供を行うこと。
なお、郵送等に要する実費については、登録者負担とすることができること。
オ 就業に関する情報誌を定期的に発行し、新着情報等を登録者に提供すること。
カ 労働条件に関する知識を有する者が、インターネットを活用して就業中の母子家庭の母等の労働条件に関する諸問題について相談に応じること。
キ 収集した情報は、地域の母子家庭の母等への就業活動を支援する母子・父子自立支援員やその他相談関係職員にも提供するとともに、講習会の講習内容に反映させるなどの活用を図ること。
ク ポスター、パンフレット等を活用して就業支援バンク等の周知・広報を積極的に行うこと。また、この際、企業等へ母子家庭の母等の雇用を促進するために啓発する内容も盛り込むこと。
ケ インターネットを使用して、情報の提供、相談等を行う場合には、個人情報の管理等に十分留意すること。
(4) 養育費等支援事業
離婚後の子どもの養育においては、その養育に対する責務は両親にあり、子どもを監護しない親も養育費を負担し、扶養義務を果たさなければならないが、実際には養育費の確保が進んでいない状況にある。このため、母子家庭の母等の養育費の確保のため、弁護士による離婚前・離婚後の養育費取得のための取決めや支払の履行・強制執行に関する法律相談を実施する。また、母子家庭の母等の養育費の確保のため、養育費取得のための取決めや支払の履行・強制執行の手続に関する相談や情報提供、母子家庭の母等が養育費の取決め等のために家庭裁判所等へ訪れる際の同行支援のほか、講習会などを実施する。
また、母子家庭の母等の中には人間関係の形成が不得手であったり、生活習慣、生活意欲、価値意識に問題を抱え、就業を継続することができず転職を繰り返すなど、安定した就業生活を営むことが困難な者があり、地域での生活支援を必要としている。また、子どもをひとりで養育していることから、就業支援活動に加えて生活面での支援体制を強化する必要がある。このため、地域の母子生活支援施設等の相談・指導機能を活用して、そのノウハウを生かした相談指導等の生活支援を継続的に行うものとする。これらの実施に当たっては、次の事項に留意すること。
ア 事業の実施に当たっては、必要に応じ、SNSによるオンライン相談などアクセスしやすい多様な方法による相談支援を行うこと。
イ 養育費相談については、養育費の取決めを促進する観点から、養育費相談支援センター等の関係機関との連携を図り、積極的に離婚前の者に対して実施すること。
ウ 養育費相談については、養育費に関する相談のほか、面接交渉等の問題も含め相談に応じるとともに、必要に応じ、相談者に対して、法テラス、弁護士会や民間団体等の紹介を行うこと。
エ 弁護士による養育費相談については、必要に応じ、弁護士会等と連携した個別相談支援等きめ細かな支援を行うとともに、養育費のほか、離婚、親権、面会交流、慰謝料や財産分与などの法律に関する問題にも応じること。
オ 相談指導に当たっては、人間関係の形成、親子関係の再構築、経済観念の醸成など適切な相談指導を行うとともに、必要な場合には関係機関や地域組織と連携した支援体制の調整を図ること。
カ 特に父子家庭については、父子家庭になった直後の生活に支援を必要としている場合が多いことから、子育て、生活相談や必要な制度の活用方法など情報提供を行うこと。
キ 生活支援については、母子・父子自立支援員や相談関係者と密接な連携を図って実施すること。
ク 相談の実施に当たっては、託児コーナーの設置や平日夜間・土日祝日に相談を実施するよう努めることとするほか、DV被害者等への配慮などひとり親家庭の生活実態やニーズ等を踏まえ実施すること。
(5) 相談関係職員研修支援事業
効果的かつきめ細かな支援体制を確保するため、地域の母子家庭の母等への就業活動を支援する母子・父子自立支援員など相談関係職員に対する情報提供や、知識の普及など資質の向上のための研修会等を開催することとする。
また、相談支援を行っている家庭の中には、様々な問題を複合的に抱えており、就業支援だけでなく様々な関係機関による重層的な支援を講じる必要のあるケースがある。こうしたケースにおいて的確な支援を行うためには、就業、福祉、保健・医療などの関係機関の支援者が会してケースに関する情報を共有した上で、認識を共有し、多角的に支援方策について検討することが有効である。このため、本事業においては、困難ケースへの対応方策を関係者が合同で検討する合同会議を行うことができることとする。これらの事業を実施するに当たっては、次の事項に留意すること。
ア 研修会の開催に当たっては、安定所の協力を得て地域の雇用状況など就業関係の情報を提供することや、地元企業やキャリアコンサルタント等の専門家を活用することが有効であると考えられること。
イ 合同会議で検討したケースについては、支援の結果や効果について評価を行い、研修会等で活用するなどにより、地域での支援に活かすこと。
(関係機関との連携)
第5条 本事業を実施するに当たっては、安定所、福祉人材バンク、児童相談所、養育費等相談支援センター、民生委員・児童委員、母子・父子自立支援員その他の福祉・就業関係機関との連携に努めるものとする。
(その他)
第6条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。
附 則
この要綱は、平成21年6月11日から施行する。
平成25年4月1日改正施行
附 則(平成31年3月28日内規第109号)
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この内規は、平成31年4月1日から施行する。
附 則(令和3年10月18日内規第254号)
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この内規は、令和3年10月18日から施行する。