○医療扶助における移送費給付取扱要領
(平成27年3月31日内規第76号)
改正
平成28年3月31日内規第121号
令和5年3月31日内規第150号
令和6年3月22日内規第69号
1 目的
医療扶助における移送費(以下「通院移送費」という。)を給付することで被保護者の適切な通院を確保し、健康の維持及び向上に努めるとともに、通院移送費の適正な給付の決定を行うことを目的とする。
2 給付の方針
(1) 移送の給付については、個別にその内容を審査し、画一的な取扱いにより認められるべき移送の給付を受けられないことがないよう留意する。
(2) 移送の給付の必要性は診察や治療等に係る医療扶助給付の必要性とは別の観点から判断する事項があり、次のアからウまでの要件を全て満たすよう福祉事務所として責任を持って審査する。
ア 療養に必要な最小限度の日数であること。
イ 傷病等に応じて経済的かつ合理的な経路及び交通手段であること。
ウ イの判断に当たり、同一の病態にある当該地域の他患者との均衡を失しないようにすること。
3 給付の範囲
(1) 次のアからクまでに掲げる場合において給付を行う。
ア 医療機関に電車、バス等により受診する場合で、当該受診に係る交通費が必要な場合
イ 被保護者の傷病、障害等の状態により、電車、バス等の利用が著しく困難な者が医療機関に受診する際の交通費が必要な場合
ウ 検診命令により検診を受ける際に交通費が必要となる場合
エ 医師の往診等に係る交通費又は燃料費が必要となる場合
オ 負傷した患者が災害現場等から医療機関に緊急に搬送される場合
カ 離島等で疾病にかかり、又は負傷し、その症状が重篤であり、かつ、傷病が発生した場所の付近の医療機関では必要な医療が不可能であるか又は著しく困難であるため、必要な医療の提供が受けられる最寄の医療機関に移送を行う場合
キ 移動困難な患者であって、患者の症状から見て、当該医療機関の設備等では十分な診療ができず、医師の指示により緊急に転院する場合
ク 医療の給付対象として認められている移植手術を行うために、臓器等の摘出を行う医師等の派遣及び摘出臓器等の搬送に交通費又は搬送代が必要な場合(ただし、国内搬送に限る。)
4 実施期間
通年
5 通院移送費の認定について
(1) 通院移送費は次のアからエまでの事項を確認した上で、被保護者の傷病等の状態に応じて経済的かつ合理的な経路及び交通手段によって算定される交通費を給付する。ただし、それ以外の経路や手段を用いたことにより前述により算定された交通費を超過した相当額の交通費については、原則、給付の対象外とする。
ア 介護保険法、障害者総合支援法又は他制度により優先的に活用できるサービスはないか
イ 通院証明書で確認した通院日数が給付要否意見書に記載された通院日数を超えていないか
ウ 被保護者から提出される通院証明書により受診日を確認し、領収書との日付に相違がないか
エ 身体障害者手帳等割引運賃が利用できる被保護者に対し割引後の金額を認定しているか
(2) 通院が認められた医療機関の医師が往診した場合は、医師が往診に要した交通費及び自動車の燃料代について、正当な請求に基づき医療機関に支払う。
(3) 検診命令により検診を受ける際に交通費が必要となる場合について、通院証明書により受診日を確認した上で移送に要した交通費を給付する。
6 通院移送費の審査について
(1) 給付要否意見書による主治医意見の確認及び嘱託医との協議により通院移送費支給の十分な審査を行う。また、次のアからエまでに掲げる検討事項についても十分審査する。
ア 受診する医療機関は要保護者の居住地等に比較的近距離に所在する医療機関かどうか
イ 病状から判断して利用している交通手段は適当なものか
ウ 病状から判断して治療を必要とする通院日数は妥当であるか
エ 移送に要した金額は妥当な金額であるか
(2) 被保護者が複数の医療機関及び診療科を受診する際は、原則として受診する全ての医療機関及び診療科から給付要否意見書を徴する。ただし、主たる傷病によって明らかに移送を要する被保護者が、従たる傷病又は歯科治療等のため通院移送費を要する場合については、主たる傷病によって通院移送の必要性を判断することとし、要否意見書等により従たる傷病又は歯科治療等の通院頻度を確認し、適正な医療の給付及び移送費の支給を決定する。
(3) 3か月を超えて引き続き移送の給付を必要とするときは、第4月分の移送決定をする前にあらかじめ給付要否意見書等を参考に、継続の要否を十分に検討しケース記録に記載する。ただし、被保護者の病状により3か月を超えて移送の給付を必要とすることが明らかな場合で、第1号の検討事項に変更のない場合は、6か月毎に給付の検討を行う。また、検討に当たっては、医療要否意見書や他法手続に係る診断書、医療扶助検討票等によって移送の必要性が明らかに判断でき、かつ、交通手段や適正な通院日数などの移送の給付に必要な事項が確認できる場合には、必ずしも医療機関から給付要否意見書の提出を求める必要はないものとする。
(4) 通院移送費の給付に関して疑義がある場合には、適宜ケース診断会議を開催して実施機関としての方針及び対応について協議する。この場合において、不正に通院移送費を受給していると判断されるときは速やかに調査を行い、不正受給を行った被保護者に対して生活保護法第78条に基づく費用徴収を行い、加えて、特に悪質な場合には告訴又は告発を検討する。
附 則
この内規は、平成27年4月1日から施行する。
附 則(平成28年3月31日内規第121号)
この内規は、平成28年4月1日から施行する。
附 則(令和5年3月31日内規第150号)
この内規は、令和5年4月1日から施行する。
附 則(令和6年3月22日内規第69号)
この内規は、令和6年4月1日から施行する。