○北見市公営住宅及び特定公共賃貸住宅における単身入居者死亡後の残置物取扱要綱
(令和7年7月31日内規第234号)
(目的)
第1条 この要綱は、北見市公営住宅条例(平成18年条例第176号。以下「公住条例」という。)第2条第1号に掲げる市公営住宅及び北見市特定公共賃貸住宅条例(平成18年条例第177号。以下「特公賃条例」という。)第2条第1号に掲げる特定公共賃貸住宅(以下「市公営住宅等」という。)の単身入居者が当該市公営住宅等に家財等を残置したまま死亡した場合において、公営住宅法(昭和26年法律第193号。以下「法」という。)第15条に基づく住宅の適正かつ合理的な管理を図るため、当該市公営住宅等に残置された家財等(以下「残置物」という。)の取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。
(事前同意による残置物の処理)
第2条 市長は、事前に入居者から入居者死亡時における残置物の所有権放棄及び市による残置物の処理に同意する旨の任意の意思表示(以下「事前同意」という。)を得ているときは、民法(明治29年法律第89号)第239条第1項の規定に基づき、当該入居者の死亡を停止条件として死亡時に居室内の残置物の所有権が放棄され、無主物となった当該残置物を先占することにより、当該残置物の所有権を取得し、処理することができる。
2 前項の規定により残置物を処理する場合において、位牌、遺影等の一身専属的な物は、連絡先が判明している相続人に対し引取りを依頼するほか、引取りが困難な場合においても、一般的な宗教的感情に鑑み、一定期間保管するものとし、現金は、相続人が名乗り出る場合に備え、供託するものとする。
3 第1項に規定する事前同意は、所有権放棄に係る事前同意書(別記様式第1号)によるものとする。
4 市長は、第1項の規定により残置物を処理した場合は、速やかに職権による市公営住宅等の明渡しの手続を行うものとする。
(相続人存在時の残置物の処理)
第3条 市長は、入居者が死亡した場合において、当該入居者と同居している者がおらず、相続人が存在しているときは、次に掲げる方法により残置物の処理を行うものとする。
(1) 残置物は、あらかじめ、第三者に死因贈与の契約がなされている場合又は遺贈による場合、所有権放棄の同意がなされている場合等を除き、民法896条の規定により相続人が所有することとなることから、速やかに当該相続人に連絡すること。
(2) 相続人に事実上の明渡しの日を確認の上、速やかに北見市公営住宅管理規則(平成18年規則第195号)第31条に規定する市公営住宅退去届(特定公共賃貸住宅を明け渡す場合にあっては、北見市特定公共賃貸住宅管理規則(平成18年規則第196号)第23条に規定する特定公共賃貸住宅退去届。以下同じ。)を提出させること。
(3) 相続人に対し市公営住宅等の明渡し及び残置物の処理を依頼し、当該相続人がこれを承諾したときは、市公営住宅等明渡し誓約書(別記様式第2号)を提出させ、当該市公営住宅等の明渡し及び当該相続人の負担による当該残置物の処理を行わせること。
(4) 相続人が前号の規定による市公営住宅等の明渡し及び残置物の処理に応じないときは、速やかに他の相続人を明らかにし、その相続人に対し前号の規定に基づく対応を行うこと。
(5) 全ての相続人が相続放棄をしていないにもかかわらず市公営住宅等の明渡し及び残置物の処理を拒否したときは、当該相続人から相続財産放棄書兼処分依頼書(別記様式第3号)を提出させ、職権による明渡しの手続及び残置物の処理を行うこと。
2 市長は、全ての相続人が相続放棄をしていないにもかかわらず市公営住宅等の明渡し及び残置物の処理を行わないときは、市の負担による残置物の処理を行った後に当該処理に要した費用を相続人に請求し、又は相続人を相手方とする市公営住宅等の明渡しを求める訴えを提起することができる。
(要求書の送付)
第4条 市長は、相続人が第3条第1項第3号に規定する誓約書に記載されている期限までに市公営住宅等の明渡しを行わないときは、速やかに市公営住宅等明渡し履行要求書(別記様式第4号)を配達証明付内容証明郵便により送付するものとする。
(立入検査)
第5条 市長は、前条の要求書に記載されている期限までに相続人等が市公営住宅等の明渡しを行わないときは、公住条例第74条第1項(特定公共賃貸住宅の場合にあっては、特公賃条例第28条第1項)の規定に基づき、次に掲げる事項を遵守し、当該市公営住宅等の立入検査を行うものとする。
(1) 公住条例第73条第1項に規定する市公営住宅監理員(特定公共賃貸住宅の場合にあっては、特公賃条例第29条第1項に規定する住宅監理員)、公住条例第73条第2項の市公営住宅管理人(特定公共賃貸住宅の場合にあっては、特公賃条例第29条第3項に規定する住宅管理人)、近隣入居者、当該市公営住宅等が属する自治会の役員等の第三者(次号において「立会者」という。)を1人以上立ち会わせること。
(2) 立入検査は、3人以上で行い、立会者以外の者を当該市公営住宅等へ立ち入らせないこと。
(3) 残置物の状況を市公営住宅等内状況調書(別記様式第5号)に記入するとともに、写真撮影により記録すること。
(最終通告書の送付)
第6条 市長は、第3条第1項第5号の相続財産放棄書兼処分依頼書の提出がない場合又は前条の立入検査の実施後1か月を経過する日までの間に相続人が市公営住宅等の明渡し及び残置物の処理を行わない場合は、速やかに市公営住宅等明渡し最終通告書(別記様式第6号)を配達証明付内容証明郵便により送付するものとする。
(訴訟手続)
第7条 市長は、前条の通告書を送付した後、当該通告書に記載されている期限までに相続人からの回答がない場合は、建物明渡訴訟等の措置を講じるものとする。
(相続人が不存在である場合の取扱い)
第8条 市長は、全ての相続人が相続放棄をしている場合は、その全ての相続人から相続放棄申述受理証明書の写し又はそれに類する書類を提出させるものとする。
2 相続人が不存在である場合又は全ての相続人が相続放棄をし、相続の承認をする相続人がいなくなった場合は、裁判所に対し民法952条第1項の規定による相続財産清算人の選任を請求するものとする。
(残置物の分別及び処理)
第9条 市長は、相続財産清算人が選任される前に残置物を移動する必要が生じたときは、当該残置物が置かれた当該市公営住宅等に対し、公住条例第74条第1項(特定公共賃貸住宅の場合にあっては、特公賃条例第28条第1項)の規定に基づく立入検査を実施するものとする。
2 立入検査の実施に当たっては、第5条各号の規定を準用する。
3 市長は、第1項の規定により立入検査を実施したときは、残置物を一身専属的なもの、その他の保管すべきもの及び生活ごみその他の廃棄すべきものに分別し、残置物目録(別記様式第7号)を作成するものとする。
4 市長は、残置物を移動するときは、財産権を侵害しないように留意しつつ、民法の事務管理に関する規定の趣旨を踏まえ、次に掲げる方法により適切に処理するものとする。
(1) 残置物の中に法令により個人が所持することが禁じられている物(銃刀、麻薬等)があるときは、管轄警察署に届け出ること。
(2) 一身専属的なもの及びその他の保管すべきものに分別されたものは、市公営住宅等の空室、公共施設の空きスペース等を活用し、保管すること。
(3) 生活ごみその他の廃棄すべきものに分別されたものは、速やかに廃棄すること。
(連帯保証人の義務)
第10条 連帯保証人(相続人である場合を除く。)は、相続財産を処分する権利がないことから、相続人又は親族に対し、市公営住宅等明渡し及び残置物の処理について連絡をするよう要請するのみとする。
(その他)
第11条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。
附 則
この内規は、令和7年8月1日から施行する。
別記様式第1号(第2条関係)
所有権放棄に係る事前同意書

別記様式第2号(第3条関係)
市公営住宅等明渡し履行誓約書

別記様式第3号(第3条関係)
相続財産放棄書兼処分依頼書

別記様式第4号(第4条関係)
市公営住宅等明渡し履行要求書

別記様式第5号(第5条関係)
市公営住宅等内状況調書

別記様式第6号(第6条関係)
市公営住宅等明渡し最終通告書

別記様式第7号(第9条関係)
残置物目録