○国立大学法人宇都宮大学ヒトを対象とする研究に関する倫理規程
(平成20 規程第19号)
改正
平成22 規程第53号
平成23 規程第53号
平成28 規程第61号
平成29 規程第60号
平成30年 規程第72号
平成31年 規程第37号
令和3年 規程第90号
令和6年 規程第77号
(目的)
第1条 この規程は,国立大学法人宇都宮大学(以下「本学」という。)において行われるヒトを対象とする研究に関して必要な事項を定め,人間の尊厳と人権を重んじ,社会の理解と協力が得られる適切な研究が実施されることを目的とする。
(定義)
第2条 この規程における用語の定義は,次の各号に定めるところによる。
(1) 「部局等の長」とは,各学部,各研究科,各学内共同施設及び各機構の長をいう。
(2) 「ヒトを対象とする医学的・工学的・農学的・生物学的・行動科学的研究等」(以下「ヒト対象の研究」という。)とは,ヒトを直接の対象とし,個人の思惟,行動,個人環境及び身体等に係るヒト由来の試料(血液,体液,組織,細胞,遺伝子,排泄物等),情報及びデータ(以下「個人の情報等」という。)を収集又は採取して行われる研究をいう。
(3) 「ヒトゲノム・遺伝子解析等生命倫理に関わる研究」(以下「ゲノム研究」という。)とは,提供者の個体を形成する細胞に共通して存在し,その子孫に受け継がれ得るヒトゲノム及び遺伝子の構造及び機能を,試料等を用いて明らかにしようとする研究(研究に用いる試料等の提供のみが行われる場合も含む。)をいう。
(4) 「研究実施者」とは,ヒト対象の研究等を計画し,及び実施する者をいう。
(5) 「実施責任者」とは,研究実施者のうち,実験等の実施に関する業務を統括するものをいう。
(6) 「提供者」とは,研究のため個人の情報等を提供する者をいう。
(研究の基本)
第3条 ヒト対象の研究を行う者は,生命の尊厳及び個人の尊厳を重んじ,科学的及び社会的に妥当な方法及び手段で,その研究を遂行しなければならない。
2 研究実施者が,個人の情報等の収集又は採取を行う場合は,安心及び安全な方法で行い,提供者の身体的,精神的負担及び苦痛を最小限にするよう努めなければならない。
(研究実施者の説明責任)
第4条 研究実施者が,個人の情報等を収集又は採取するときは,研究実施者は,提供者に対して研究目的,研究成果の発表方法及び研究計画等についてわかりやすく説明しなければならない。
2 研究実施者は,個人の情報等を収集又は採取するにあたり,提供者に対し何らかの身体的,精神的負担若しくは苦痛を伴うことが予見される場合,その予見される状況をできるだけ,わかりやすく説明しなければならない。
(提供者の同意)
第5条 研究実施者が,個人の情報等を収集又は採取するときは,原則として,予め提供者の同意を得るものとする。
2 「提供者の同意」には,個人の情報等の取扱い及び発表の方法等に関わる事項を含むものとする。
3 研究実施者は,提供者から当該個人の情報等の開示を求められたときは,これを開示しなければならない。
4 研究実施者は,提供者が同意する能力がないと判断される場合は,提供者に代わり同意をすることができる者から同意を得なければならない。
5 提供者からの同意は,原則として文書で行うものとし,研究実施者は,その記録を研究終了後又は研究成果公表後,適切な期間保管しなければならない。
6 研究実施者は,提供者が同意を撤回したときは,当該個人の情報等を廃棄しなければならない。
(第三者への委託)
第6条 研究実施者が第三者に委託して,個人の情報等を収集又は採取する場合は,この規程の趣旨に則った契約を交わして行わなければならない。
2 研究実施者は,必要があるときは,研究目的等を提供者に直接説明しなければならない。
(ヒト由来試料の入手等)
第7条 研究実施者は,ヒト由来試料を外部から入手する場合は,次の事項を確認しなければならない。
(1) 入手するヒト由来試料が,関係通知等に適合して採取又は作成されたこと。
(2) 輸送費その他必要な経費を除き無償であること。ただし,一般に広く販売されているヒト由来試料を購入する場合はこの限りではない。
(3) 研究実施者が,ヒト由来試料を外部に提供する場合は,承認を受けた実験計画に従って行われなければならない。
(授業等における収集又は採取)
第8条 研究実施者が,授業,演習,実技,実験及び実習等の教育実施の過程において,研究のために学生から個人の情報等の提供を求めるときは,原則として予め同意を得るものとする。
2 研究実施者は,個人の情報等の提供の有無により,学生の成績評価において不利益を与えてはならない。
(学長の責務)
第9条 学長は,本学におけるヒトを対象とする研究の適正な実施に関する業務を統括する。
(部局等の長の責務)
第10条 ヒトを対象とする研究を実施しようとする部局等の長は,国の指針及び本規程に基づき,当該研究の適正な実施に関し,管理及び監督をしなければならない。
(ヒトを対象とする研究倫理審査委員会)
第11条 本学の職員からの申請に基づき,その研究及び実施計画の内容等について審査するため,宇都宮大学ヒトを対象とする研究倫理審査委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は,学長に調査及び審議した結果について報告又は助言する。
(委員会の組織)
第12条 委員会は,次の各号に掲げる委員をもって組織する。
(1) 理事のうち学長が指名した者 1名
(2) 保健管理センター所長
(3) 各学部から選出された教員 各2名
(4) 本学以外の倫理,法律を含む人文・社会科学分野の有識者 1名
(5) 本学以外の自然科学分野の有識者 1名
(6) 社会共創・研究課長
(7) その他委員会が必要と認めた者 若干名
2 前項第3号,第4号,第5号及び第7号の委員は,学長が委嘱する。
3 第1項第4号及び第5号の委員のうち,少なくとも1名は女性とする。
4 第1項第3号,第4号及び第5号の委員の任期は2年とし,再任を妨げない。ただし,任期中欠員が生じ,これを補充した場合の任期は,前任者の残任期間とする。
5 第1項第7号の委員の任期は,委員会がその都度定める。
6 委員会が必要と認めるときは,特定の課題について審査する間,特別委員を別途委嘱することができる。
(委員長及び副委員長)
第13条 委員会に委員長を置き,理事のうち学長が指名した者をもって充てる。
2 委員会に副委員長を置き,あらかじめ委員長の指名する委員をもって充てる。
3 委員長は,委員会を招集し,その議長となる。
4 委員長に事故あるときは,副委員長が,その職務を代行する。
(委員会)
第14条 委員会は,委員の3分の2以上が出席し,かつ,第12条第1項第4号又は5号の委員1名以上の出席をもって成立する。
2 委員会の審議は,出席した委員の合意を原則とするが,合意が得られない場合は,出席した委員の過半数をもって決し,可否同数のときは,議長の決するところによる。
3 委員は,自己の申請に係る審査には加わることはできない。
4 委員は,ヒトを対象とした研究計画に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(審査申請書の申請)
第15条 実施責任者は,ヒトを対象とする研究を実施する場合は,ヒトを対象とした研究に関する倫理審査申請書(様式1)により,また承認を受けた研究計画を変更する場合は,ヒトを対象とした研究計画変更申請書(様式2)により,実施責任者が所属する部局等の長を経由して,学長に申請する。
2 学長は,ヒトを対象とした研究に関する倫理審査申請書及びヒトを対象とした研究計画変更申請書(以下「申請書等」という。)を受理したときは,速やかに委員会にその審査を付議する。
(審査の基準)
第16条 審査における基準は,この規程に定めるもののほか,関連する法令及び所轄庁の指針等によるものとする。
2 ゲノム研究を審査するときは,前項のほか「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成13年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)によるものとする。
(審査方法)
第17条 審査の方法は,書面審査とする。
2 委員会が第15条に定める審査の付議を受けたときは,申請書等に基づき審査を行う。
3 委員会は,必要あるときは実施責任者を委員会に出席させ,申請内容等の説明を求めることができる。
4 委員会は,審査の経過を勘案して,実施責任者に対して研究計画等の変更を勧告することができる。
5 申請された申請書等の審査結果は,次の各号に掲げる表示により行う。
(1) 承認
(2) 条件付承認
(3) 変更の勧告
(4) 非該当
(5) 不承認
(審査の結果)
第18条 学長は,申請書等の審査の結果を,ヒトを対象とした研究に関する倫理審査通知書(様式3)により,部局等の長を経由して速やかに実施責任者に通知する。
2 審査の結果通知書には,その理由を付記する。
3 審査の経過及び結果は,文書で記録し,及び保存し,委員会が必要と認めたときは,公表することができる。
(専門委員)
第19条 申請書等の専門的な事項に関して調査及び審査する必要がある場合,委員長は,専門委員を委嘱することができる。
2 専門委員は,委員会に出席して意見を述べることができる。ただし,議事に加わることはできない。
3 専門委員は,当該専門事項の調査及び審査等が終わったときに解嘱される。
(研究計画等の変更)
第20条 実施責任者が,第17条第5項第1号及び第2号の判定を受けた申請書等において,第16条に定める審査基準に関わる事項の変更をしようとするときは,その変更について委員会の承認を得なければならない。
2 前項の委員会の承認の方法については,第17条から第18条までの規定を準用する。
(再審査)
第21条 審査の判定に異議のある実施責任者は,異議の根拠となる資料を添えて,学長に再審査の申請をすることができる。
2 再審査の申請の手続については,第15条の規定を準用する。
(実施状況報告)
第22条 実施責任者はヒトを対象とする研究が終了又は中止になったときは,速やかにヒトを対象とした研究に関する実施報告書(様式4)を学長に提出しなければならない。
2 単年度を超える研究の場合は,年度ごとに報告することとする。
(自己点検・評価及び検証)
第23条 学長は,委員会に基本方針等への適合性に係る自己点検及び評価を実施させるものとする。
2 委員会は,ヒトを対象とする研究の実施に関する自己点検及び評価を行い,その結果を学長に報告しなければならい。
3 委員会は,実施責任者に自己点検及び評価のための資料を提出させることができる。
4 学長は,自己点検及び評価の結果について,本学以外のものによる検証をうけるように努めるものとする。
(情報公開)
第24条 学長は,本学におけるヒトを対象とする研究の実施に関する情報を,適切な方法により公表しなければならない。ただし,産業財産権の取得等合理的な理由のため公表に制約のある場合は,その期間内において公表しないものとすることができる。
(個人情報の管理者)
第25条 本学において,ゲノム研究を実施するときは,遺伝子解析研究に係る個人情報を含む情報の保護を図るため,国立大学法人宇都宮大学個人情報保護規程及び国立大学法人宇都宮大学個人情報管理規程にかかわらず,ゲノム研究に関する法令等を熟知し,遺伝子解析研究に関する知識及び技術に習熟した教授又は准教授を個人情報管理者として置くものとする。
2 個人情報管理者は,管理する個人情報に係る試料等を用いて遺伝子解析研究を実施する実験責任者又は研究実施者を兼ねることはできない。
3 個人情報管理者は,学長が指名する。
(事務)
第26条 ヒトを対象とする研究に関する事務は,社会共創・情報部社会共創・研究課において処理する。
(補足)
第27条 この規程に定めるもののほか,この規程の実施に必要な事項は,学長が別に定める。
附 則
1 この規程は,平成20年4月1日から施行する
2 この規程の施行前に,学長の承認を受けた実験で,現に実施されている実験については,この規程第17条の規定により承認されたものとみなす。
3 宇都宮大学生命科学実験安全管理及び生命倫理審査規程(平12規程第13号)は,廃止する。
附 則(平成22 規程第53号)
この規程は,平成22年4月1日から施行する。
附 則(平成23 規程第53号)
この規程は,平成23年4月1日から施行する。
附 則(平成28 規程第61号)
この規程は,平成28年4月1日から施行する。
附 則(平成29 規程第60号)
この規程は,平成29年4月1日から施行する。
附 則(平成30年 規程第72号)
この規程は,平成30年4月1日から施行する。
附 則(平成31年 規程第37号)
この規程は,平成31年4月1日から施行する。
附 則(令和3年 規程第90号)
この規程は,令和3年4月1日から施行する。
附 則(令和6年 規程第77号)
1 この規程は,令和6年4月1日から施行する。
2 データサイエンス経営学部から選出する委員については,改正後の第12条第1項第3号の規定にかかわらず,当分の間,免除できるものとする。
様式1
ヒトを対象とした研究に関する倫理審査申請書

様式2
ヒトを対象とした研究計画変更申請書

様式3
ヒトを対象とした研究に関する倫理審査通知書

様式4
ヒトを対象とした研究に関する実施報告書