○宇都宮大学における研究活動の不正行為に係る調査等に関する取扱内規
| (学長裁定 平成27年4月1日) |
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(趣旨)
第1条 この内規は,宇都宮大学研究活動における不正行為に関する取扱規程(以下「規程」という。)第12条の規定に基づき,研究活動の不正行為の疑いが生じた場合の調査等に関し必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この内規において「研究者等」とは,規程第2条で規定する研究者等をいう。
[規程第2条]
2 この内規において「不正行為」とは,規程第2条で規定する不正行為をいう。
[規程第2条]
3 この内規において「最高管理責任者」とは,規程第4条で規定する者をいう。
[規程第4条]
4 この内規において「統括管理責任者」とは,規程第5条で規定する者をいう。
[規程第5条]
5 この内規において「研究倫理教育責任者」とは,規程第6条で規定する者をいう。
[規程第6条]
6 この内規において「告発者」とは,規程第7条で規定する告発を行った者をいう。
[規程第7条]
7 この内規において「被告発者」とは,告発の対象となった者をいう。
(調査を行う機関)
第3条 本学の研究者等を被告発者として告発があった場合は,原則として,本学が告発された事案に係る調査を行う。
2 被告発者が複数の機関に所属する場合は,原則として,被告発者が告発された事案に係る研究活動(以下「告発された研究活動」という。)を主に行っていた機関を中心に,所属する複数の機関が合同で調査を行うものとする。ただし,中心となる機関及び調査に参加する機関については,関係機関間において,告発された事案の内容を考慮して対応するものとする。
3 研究者等が本学及び他機関で行った研究活動の不正行為に係る告発があった場合は,本学及び研究活動が行われた機関が合同で告発された事案に係る調査を行う。
4 本学は,前各項により告発された事案に係る調査を行うこととなった場合は,誠実に調査を行うものとする。
5 本学は,研究活動における不正行為への対応に関し,他機関から調査等への協力を求められた場合は,これに応じ,誠実に協力しなければならない。
6 統括管理責任者は,特に必要と認める場合に限り,他機関又は研究者コミュニティに,調査を委託することができる。
(予備調査委員会の設置及び通知)
第4条 最高管理責任者は,告発を受け付けた旨の報告を受けた場合は,第10条に定める本調査を実施するか否かを判断するための予備調査の開始を統括管理責任者に命ずるものとする。
[第10条]
2 統括管理責任者は,予備調査の開始を命ぜられたときは,予備調査を迅速かつ公正に行わなければならない。
3 統括管理責任者は,予備調査を行うため,理事及びその他必要と認める者を委員として指名し,予備調査委員会を設置する。なお,当該委員は告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者とする。
4 予備調査委員会の委員長(以下「予備調査委員長」という。)は,統括管理責任者が指名する委員をもって充てる。
5 統括管理責任者は,告発者及び被告発者に対し,予備調査の開始を通知する。
6 予備調査委員会の事務は,関係部局の協力を受けて社会共創・情報部社会共創・研究課が行う。
(予備調査の実施)
第5条 予備調査委員会は,予備調査の実施に当たり,調査の関係者以外の者及び被告発者に告発者が特定されないよう十分配慮するものとする。
2 予備調査委員会は,予備調査の対象となる部局に対して予備調査を実施する上で必要な書類等の提出を求めるとともに,次の各号に掲げる事項について予備調査を実施する。
(1) 告発された研究活動における不正行為が行われた可能性
(2) 告発理由の合理性の有無
(3) 告発された研究活動における研究成果の事後検証の可否
(4) その他必要と判断する事項
3 予備調査委員会は,告発がなされる前に取り下げられた論文等に対して予備調査を実施する場合は,取り下げに至った経緯・事情を含め,不正行為の問題として調査すべきものか否かを判断するものとする。
(予備調査の報告等)
第6条 予備調査委員長は,告発を受け付けた日から概ね30日以内に,予備調査の概要並びに第8条に定める本調査委員会の設置の必要性の有無及びその判断根拠等を記載した予備調査結果報告書(以下「予備調査報告書」という。)を作成のうえ,統括管理責任者に報告し,統括管理責任者は最高管理責任者に報告しなければならない。
[第8条]
2 最高管理責任者は,前項の報告を受け,本調査を実施するか否かを決定する。
3 統括管理責任者は,前項により本調査を実施しないことが決定された場合は,その旨を予備調査に関係した者に通知する。この場合,予備調査に係る資料等を保存し,その事案に係る他機関,告発者及び被告発者の求めに応じ開示するものとする。
(告発者及び被告発者の義務)
第7条 告発者及び被告発者は,予備調査の実施に当たり,予備調査委員長から必要な要請があった場合は,これに応じなければならない。
2 被告発者は,予備調査の開始の通知を受けた場合,当該告発の対象となった研究に係るデータ,研究結果等の資料について隠匿,廃棄その他のいかなる隠蔽も行ってはならない。
(本調査委員会の設置等)
第8条 最高管理責任者は,本調査を実施することを決定した場合は,理事及びその他必要と認める者を委員として指名し,本調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置する。なお,当該委員は告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者とする。
2 前項の調査委員会は,5人以上の委員により構成し,本学に属さない外部有識者を半数以上含むものとする。
3 調査委員会の委員長(以下「委員長」という。)は,最高管理責任者が指名する委員をもって充てる。
4 調査委員会の事務は,関係部局の協力を受けて社会共創・情報部社会共創・研究課が行う。
(本調査の通知)
第9条 最高管理責任者は,調査委員会を設置した場合は,告発者及び被告発者に対し,調査の開始並びに委員長及び委員の氏名を通知する。
2 告発者及び被告発者は,前項の定めにより通知を受けた委員長又は委員に不服がある場合は,前項の通知を受けた日から7日を経過する日までに,忌避申立書(様式1)により忌避の申立てを最高管理責任者に行うことができる。
3 最高管理責任者は,前項の定めによる忌避申立てを受けた場合は,内容を審査し,その内容が妥当であると判断した場合は,当該申立てに係る委員長又は委員を交代させるものとする。
(本調査の実施)
第10条 本調査は,第6条第2項に規定する本調査の実施の決定を行った日から概ね30日以内に開始するものとする。
[第6条第2項]
2 最高管理責任者は,本調査を実施することを決定した場合は,告発された研究活動に対して予算の配分又は措置をした機関(以下「配分機関」という。)及び必要に応じて関係省庁等に対して本調査を実施する旨を通知するものとする。この場合において,被告発者が本学以外の機関に所属している場合は,当該機関に対しても本調査を実施する旨を通知するものとする。
3 調査委員会は,本調査の実施に当たり,告発者が了承したときを除き,本調査の関係者以外の者及び被告発者に告発者が特定されないよう十分配慮するものとする。
4 調査委員会は,本調査の対象となる公表前のデータ,論文等の研究又は技術上秘密となるべき情報が,本調査の遂行上必要な範囲外に漏えいすることのないよう十分配慮するものとする。
5 調査委員会は,本調査の実施に当たり,告発された研究活動に関する論文や実験・観察ノート,生データ等の各種資料の精査や,関係者のヒアリング,再実験の要請を行うものとする。
6 調査委員会は,本調査の実施に当たり,被告発者に対して弁明の聴取を行わなければならない。
7 調査委員会は,被告発者に再現性を示すための再実験等を求めた場合又は被告発者がそれを申し出た場合は,それに要する期間及び機会について必要と判断する範囲内において,調査委員会の指導・監督の下,これを行わせるものとする。
(本調査の対象)
第11条 調査委員会は,告発された研究活動のほか,必要と判断した場合は当該調査に関連する被告発者の他の研究活動も調査の対象に含めることができる。
(証拠の保全)
第12条 調査委員会は,本調査の実施に当たり,証拠となる資料等を保全する措置をとるものとする。なお,告発された研究活動が他機関で行われたものである場合は,証拠となる資料等の保全を当該機関へ依頼するものとする。
2 調査委員会は,前項の措置に影響しない範囲内において,被告発者の研究活動を制限してはならない。
(本調査の中間報告)
第13条 最高管理責任者は,配分機関の求めに応じ,調査終了前であっても,調査委員会に調査の中間報告を命じ,配分機関に提出するものとする。
(告発に関する不正行為の疑いに対する説明責任)
第14条 被告発者は,告発された研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には,自己の責任において,当該研究活動並びに論文執筆等が科学的に適正な方法及び手続きに従い行われたことを,科学的根拠を示して説明しなければならない。
2 前項に基づく説明責任の程度については,研究分野の特性に応じ,調査委員会が判断するものとする。
(告発者及び被告発者の義務)
第15条 告発者及び被告発者は,本調査の実施に当たり,委員長から必要な要請があった場合は,これに応じなければならない。
2 被告発者は,本調査の開始の通知を受けた場合は,当該告発の対象となった研究に係るデータ,研究結果等の資料について隠匿,廃棄その他のいかなる隠蔽も行ってはならない。
(認定)
第16条 調査委員会は,調査を開始した日から概ね150日以内に,告発された研究活動が不正行為に該当するか否かを認定し,その判断根拠,当該調査の概要等を記載した調査結果報告書(以下「本調査報告書」という。)を作成のうえ,最高管理責任者へ報告しなければならない。
2 調査委員会は,本調査によって得られた,物的・科学的証拠,証言,被告発者の自認等の諸証拠を総合的に判断して,認定を行うものとする。ただし,被告発者の自認を唯一の証拠として不正行為と認定することはできないものとする。
3 調査委員会は,被告発者の研究体制,データチェックの方法等について,故意の有無を判断し認定を行うものとする。
4 調査委員会は,告発された研究活動が不正行為に該当する旨を認定する場合は,不正行為の内容,不正行為に関与した者とその関与の度合い,当該研究活動に係る論文等の各著者の役割を具体的に確定するものとする。
5 調査委員会は,告発された研究活動の不正行為に関する証拠が提出され,被告発者によって不正行為であるとの疑いが覆されない場合は,不正行為と認定するものとする。
6 調査委員会は,被告発者が生データや実験・観察ノート,実験試料・試薬など,本来存在するべき基本的な要素の不足により,不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも前項と同様に取り扱うものとする。ただし,被告発者が基本的な要素を十分に示すことができなくなったことについて,正当な理由があると認められる場合はこの限りではない。
7 前項に定める本来存在すべき基本的要素については,研究分野の特性に応じ,調査委員会が判断するものとする。
8 調査委員会は,生データや実験・観察ノート,実験試料・試薬等が別に定める保存期間を超えている場合は,不正行為と認定することはできない。
9 調査委員会は,告発された研究活動が不正行為に該当しない旨を認定する場合において,告発が悪意によるものと判明した場合は,その旨の認定を行うものとする。なお,この場合,告発者に対し弁明の機会を与えなければならない。
(調査結果の通知)
第17条 最高管理責任者は,本調査報告書に基づき,その結果を書面にて速やかに告発者及び被告発者(被告発者以外で不正行為に関与したと認定された者を含む。以下同じ。)に通知するものとする。なお,被告発者が本学以外の機関に所属している場合は,当該所属機関にも通知するものとする。
2 最高管理責任者は,告発が悪意によるものと認定された場合に,告発者が本学以外の機関に所属している場合は,当該所属機関にも通知するものとする。
3 最高管理責任者は,前2項の通知に加えて,調査結果を当該事案に係る配分機関及び必要に応じて関係省庁等に報告するものとする。
(不服申立て及び再調査)
第18条 告発者及び被告発者は,前条第1項の定めにより通知された調査の結果に不服がある場合は,その調査結果が通知された日から10日を経過する日までに,不服申立書(様式2)により不服申立てを最高管理責任者に行うことができる。ただし,その期間内であっても,同一理由による不服申立てを繰り返すことはできない。
2 最高管理責任者は,前項に定める不服申立てがあった場合は,当該不服申立てに係る審査を委員長に命ずるものとする。
3 最高管理責任者は,不服申立ての内容が,調査委員会委員に関するもの,または調査委員会が新たに専門性を要すると判断した場合は,当該不服申立ての対象となった調査委員会委員に代えて,他の者を委員とすることができる。
4 最高管理責任者は,不服申立ての趣旨,理由等を勘案し,当該事案の再調査を実施するか否かを調査委員会の議を経て,速やかに決定するものとする。
5 最高管理責任者は,前項に基づき,再調査を実施することなく不服申立てを却下すべきものと決定した場合は,当該申立てを行った者(以下「申立者」という。)に通知するものとする。
6 最高管理責任者は,当該不服申立てが告発された事案の引き延ばし又は認定に伴う各措置の先送りを主な目的をすると調査委員会が判断した場合には,以後の不服申立てを受け付けないことを通知するものとする。
7 最高管理責任者は,再調査を実施することを決定した場合は,当該申立者に通知し,本調査の結果を覆すに足る資料の提出など,再調査に協力することを求めるものとする。
8 最高管理責任者は,前項に定める申立者の協力が得られないことにより,再調査を行わず,審査を打ち切ることを決定した場合は,当該申立者に通知するものとする。
9 最高管理責任者は,不服申立てがあった場合は,配分機関及び必要に応じて関係省庁等に通知するものとする。不服申立ての却下又は再調査開始の決定をした場合も同様とする。
(再調査の実施)
第19条 最高管理責任者は,再調査を実施する場合は,第3条から第16条までの規定を準用するものとする。
2 調査委員会は,再調査開始後概ね50日以内に,本調査の結果を変更するか否かを決定し,その結果を直ちに最高管理責任者に報告する。
3 最高管理責任者は,前項の報告に基づき,当該結果を告発者及び被告発者に通知するとともに,配分機関及び必要に応じて関係省庁等に通知するものとする。
(調査結果の公表)
第20条 最高管理責任者は,告発された研究活動が不正行為に該当する旨の認定がなされた場合は,合理的な理由のため不開示とする必要があると認めた場合を除き,速やかに不正行為に関与した者の氏名・所属,不正行為の内容,本学が公表時までに行った措置の内容,調査の方法・手順等の調査情報を公表するものとする。
2 最高管理責任者は,告発された研究活動が不正行為に該当しない旨の認定がなされた場合において,調査事案が外部に漏洩していた場合及び論文等に故意によるものでない誤りがあった場合は,前項に定める調査情報を公表するものとする。
3 最高管理責任者は,告発が悪意によるものである旨の認定がなされた場合は,告発者の氏名・所属,認定理由を公表するものとする。
(本調査に係る一時的措置)
第21条 最高管理責任者は,本調査の実施を決定した場合,調査委員会による調査結果の報告を受けるまでの間,調査の対象となる被告発者の研究費の執行を停止することができる。
2 最高管理責任者は,配分機関から,被告発者の研究費の支出停止等を命ぜられた場合は,配分機関の指示に従い必要な措置を講じるものとする。
(研究費の使用中止)
第22条 最高管理責任者は,告発された研究活動が不正行為に該当する旨の認定がなされた場合は,当該不正行為に関与した者に対して直ちに当該研究活動に係る研究費の使用中止を命ずるものとする。
2 最高管理責任者は,不正行為と認定された研究活動における論文等の内容について,責任を負う者として認定された著者(以下「被認定著者」という。)に対し,当該研究活動に係る研究費の使用中止を命ずるものとする。
(論文等の取り下げ勧告)
第23条 最高管理責任者は,被認定著者に対して,不正行為に該当すると認定された論文等の取り下げを勧告するものとする。
2 被認定著者は,前項の勧告を受けた日から起算して14日以内に勧告に応ずるか否かの意思表示を最高管理責任者に行わなければならない。
3 最高管理責任者は,被認定著者が第1項の勧告に応じない場合は,その事実を公表するものとする。
(措置の解除)
第24条 最高管理責任者は,告発された研究活動が不正行為に該当しない旨の認定がなされた場合は,その旨を調査に関係した全ての者に通知するとともに,第21条に定める措置を解除し,必要に応じて被告発者への不利益発生を防止するための措置を講ずるものとする。
[第21条]
(是正措置)
第25条 最高管理責任者は,告発された研究活動が不正行為に該当する旨の認定がなされた場合は,関係する研究倫理教育責任者に対し,是正措置を講じる旨を命ずるとともに,必要に応じて全学的な是正措置を講じるものとする。
2 最高管理責任者は,前項に基づいて行った是正措置の内容を配分機関及び必要に応じて関係省庁等に報告するものとする。
(処分)
第26条 最高管理責任者は,告発された研究活動が不正行為に該当する旨の認定がなされた場合は,当該不正行為の内容に応じて,国立大学法人宇都宮大学職員不利益処分の手続きに関する規程等に基づき,当該不正行為に関わる者に対し,懲戒処分,当該不正行為に関する研究に要した費用の返還の要求,当該不正行為に係る研究の打ち切り,研究成果等の取り下げ,刑事告発等の適切な処分を講ずるものとする。
2 最高管理責任者は,告発が悪意によるものと認定がなされた場合は,告発者に対し,前項に準じた処分を講ずるものとする。
3 最高管理責任者は,前2項の処分を課したときは,配分機関及び必要に応じて関係省庁等に対して,処分内容等を報告するものとする。
(雑則)
第27条 この内規に定めるもののほか,研究活動の不正行為に係る調査等の手続きに関し必要な事項は,別に定める。
附 則
この内規は,平成27年4月1日から施行する。
附 則(平成29年12月13日)
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この内規は,平成29年12月13日から施行し,平成29年4月1日から適用する。
附 則(令和6年3月28日)
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この内規は,令和6年4月1日から施行する。
附 則(令和6年12月23日)
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この内規は,令和6年12月23日から施行する。
