○国立大学法人宇都宮大学放射性有機廃液処理要領
(学長裁定 昭和57年4月21日)
改正
平成元年4月26日
平成3年4月26日
平成15年11月10日
平成17年5月24日
平成20年2月27日
(趣旨)
1 国立大学法人宇都宮大学放射線障害予防規程(以下「予防規程」という。)第26条第3項に基づく放射性有機廃液処理については,この要領によるものとする。
(焼却装置)
2 放射性同位元素により汚染した有機廃液を焼却処理する場合は,ゲノミクス研究棟内に設置してある全自動放射性有機廃液焼却装置(以下「焼却装置」という。)を使用し,以下の各項に掲げる事項を厳守し安全に行うこととする。
(取扱者)
3 焼却装置の操作は,予防規程第10条第1項に定める放射線取扱主任者(以下「主任者」という。)の許可を得た者でなければ行うことができない。
(焼却の対象物と濃度)
4 焼却装置で焼却処理できる廃液は,H-3,C-14,S-35,P-32,Ca-45で汚染したトルエン,キシレンを主体とした液体シンチレーション測定により廃棄される有機溶媒とする。また,溶媒のRI濃度は,以下の各号のとおり法令に定める濃度限度以下であることを事前に採取したサンプルを測定して確認記録を行なうこと。
(1) H-3:37ベクレル/ml
(2) C-14:37ベクレル/ml
(3) S-35:37ベクレル/ml
(4) P-32:3.7ベクレル/ml
(5) Ca-45:3.7ベクレル/ml
(6) 放射線障害防止法関係法令に基づき行われるモニタリングの際に採取した試料を含む液体シンチレーター廃液に含まれるその他の核種:3.7ベクレル/ml
なお,複数の核種が存在する場合は,それぞれの許容濃度に対する割合の和が1を超えないものとする。基準濃度以上の場合には,希釈等適切な方法により基準濃度以下にする。
(廃液の分別)
5 放射性有機廃液は,H-3,C-14,S-35,P-32,Ca-45,その他の核種を含むものに分け,核種ごとに保管する。
(廃液の保管)
6 放射性有機廃液は,専用の容器によりゲノミクス研究棟内の所定の場所に保管する。
(廃液の運搬)
7 放射性有機廃液を焼却する際は,焼却前に廃棄作業室に運搬する。
(廃液の焼却処理基準)
8 放射性有機廃液は次の各号に掲げる焼却処理基準に適合するものでなければならない。
(1) 可燃性を有すること。
(2) 沈澱物及び固形懸濁物質を含まない液体であること。
(3) 下水道法及び宇都宮市下水道条例を遵守し,生物体に有害作用があり,かつ焼却処理後の排ガス中に当該物質が含まれることにより環境を汚染するおそれのある金属元素及びその化合物を混入していないこと。
(4) 難然性化合物,爆発性化合物を混入していないこと。
(5) 過塩素酸,三塩化酢酸,塩酸等の酸性物質を混入していないこと。
(6) その他焼却処理に支障をきたす物質を混入していないこと。
(廃液の焼却処理手順)
9 焼却装置で廃液を焼却処理する場合は,次の事項にそって作業を進めること。
(1) 焼却作業前の点検事項
ア 炉の周囲及び廃液タンクの近くに,有機廃液の漏洩又は放置していないかを確認する。
イ 炉に装置されている温度計が正常値を示しているかどうか確認する。
ウ 炉の冷却水が正常に流通するかどうかを確認する。
エ 廃棄作業室の廃棄設備が正常に運転されているかを確認する。
オ 凝縮水(RI汚染排水)がタンクにないことを確認する。
カ 焼却作業開始前に焼却炉のエアーパージを行うこと。
(2) 廃液焼却手順
ア 廃液を廃液タンクに供給する。
イ 点火及びガスヒーターのガス元コックを「開」とする。
ウ 廃液,手元バルブを「開」とする。
エ 冷却水のバルブの確認(常時「開」としておく)。
オ 検震器が正しく作動するかを確認。
カ 各スイッチがリセット状態にあるかを確認。
キ 冷却水バルブを「開」にする。
ク 電源のブレーカーを「入」にする。
ケ 各スイッチ感知器が正常であることを確認の上,運転押釦を入れる。
コ 運転
(3) 焼却従事者は,炉の運転中は次の点に留意して作業を行うこと。
ア 運転中は炉内温度計及び焼却状態をよく監視すること。
イ 運転中は冷却水の通水状態を監視すること。
ウ 運転中は送風機の通気状況を監視すること。
エ 運転中炉体,排気系からの煙洩れがないかを監視すること。
オ 運転中に異常が生じた場合は,直ちに部門長(宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センター規程第3条第1項第4号に定める部門の長をいう。以下同じ。)及び主任者に連絡すること。
(4) 焼却停止手順
ア 焼却終了後は一定時間エアーパージを行うこと。
イ 炉が完全に冷却したら運転終了となりブロアが停止する。
ウ 電源のブレーカーを「切」とする。
エ ガス元コックを「閉」とする。
オ 冷却水を止める。
(焼却の記録)
10 焼却後は必要な記録を記録簿に記入すること。
(1) 焼却作業日時を記録する。
(2) 焼却に従事した作業者名,作業時間を記録する。
(3) 焼却炉の種類,型式を記録する。
(4) 焼却廃液の核種と濃度を記録する。
(5) 焼却廃液の処理数量を記録する。
(6) 焼却残渣の量及び処理方法を記録する。
(7) 廃棄作業室内の汚染状況の測定を行い記録する。
(8) 焼却温度を記録する。
(保守点検)
11 焼却装置の保守点検は,下記の項目及び時期について行うこと。
(1) 使用の都度行う点検は,運転担当者が行う。
ア 回収水の漏水点検
イ 炉内残留物有無の確認
ウ ポンプ,ブロア,バーナーの作動確認
エ 冷却水,廃液ライン,エアーラインの漏れ点検
オ 各圧力計の圧力確認
カ 廃液の燃焼量=ポンプ吐出流量の確認
(2) 1ヶ月点検は,保守点検担当者が行い結果を室長に報告する。
ア 電気系統の作動確認
イ 安全装置の作動確認
(3) 6ヶ月点検は,室長が保守点検担当者と共に行う。
ア 廃液供給系の洗浄
イ 各部パッキン類の点検
ウ 炉体内点検,汚れのある場合洗浄
エ バーナーの点検
オ 熱交換器内の清掃
カ 廃棄作業室全体の点検
キ (1)(2)各項目の総点検
(管理体制)
12 焼却装置の管理体制に関しては,予防規程に定める条項を準用する。
(1) 安全管理組織:第6条
(2) 部門長の職務,権限,責任:第9条の2
(3) 主任者等の職務:第11条
(4) RI担当技術職員の職務:第12条
(5) 焼却装置の維持管理:第19条
(6) 危険時の措置:第35条
(7) 異常発生時の報告:第36条
(異常時の対応)
13 異常を発見した場合は,直ちに運転を停止し部門長及び主任者に連絡し,原因を究明する。異常の原因が明らかでない場合は,焼却装置メーカーに連絡を取り,状態を説明して対応について相談を受けてもらい,必要に応じ不定期の点検を受けること。
修理,改造等必要な改善措置が生じた場合には,予防規程第19条に定める措置及び報告をすること。必要な措置を講じた後,整備等により正常の状態に復帰した場合には,再点火前に十分にエアーパージを行うこと。
なお危険を伴う異常を発見した場合には予防規程第19条,第20条,第35条及び第36条に定める措置及び報告をすること。
(教育訓練)
14 焼却装置の運転担当者,保守点検担当者,放射性有機廃液廃棄作業従事者は,通常の教育訓練に加えて,焼却装置メーカーの技術担当者による技術指導を受けること。
(マニュアル)
15 部門長は,放射性有機廃液処理に関するマニュアルを作成し,焼却装置に常時備え付けておくものとする。
マニュアルは,「焼却装置の運転」,「焼却装置の保守点検」,「放射性有機廃液の取扱い」,「異常時及び緊急時の措置」の措置について焼却装置メーカーの技術担当者の助言を受け作成し,十分な安全が確保されている内容のものとすること。
なお,マニュアルの内容を変更しようとする場合も,焼却装置メーカーの技術担当者の助言を受けるものとする。
附 則
この要領は,昭和57年4月21日から実施する。
附 則(平成元年4月26日)
この要領は,平成元年4月26日から実施する。
附 則(平成3年4月26日)
この要領は,平成3年4月26日から実施する。
附 則(平成15年11月10日)
この要領は,平成15年11月10日から実施する。
附 則(平成17年5月24日)
この要領は,平成17年5月24日から施行し,平成17年4月25日から適用する。
附 則(平成20年2月27日)
この要領は,平成20年4月1日から実施する。