○山口大学と外国の大学とのダブル・ディグリー・プログラムに関するガイドライン
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1 目的
本ガイドラインは,「我が国の大学と外国の大学間におけるジョイント・ディグリー及びダブル・ディグリー等国際共同学位プログラム構築に関するガイドライン」(平成26年11月14日中央教育審議会大学分科会)を踏まえ,本学と関係大学となる外国の大学(以下「相手大学」という。)間におけるダブル・ディグリー・プログラムの組織的・継続的な教育連携関係を促進することでグローバル化を推進するとともに,学位及び教育課程の質の維持・向上を図ることを目的に策定するものである。
また,本ガイドラインに基づいて実施するプログラムを,ダブル・ディグリー・プログラムとして定義するものである。
2 基本的考え方
本学と相手大学との組織的・継続的な教育連携関係の構築は,学生が国際的な経験を積むことが可能となり,かつ複数の大学からの学位を取得することが可能となる。また,相手大学との国際教育連携を通じて教育内容を充実するとともに,優秀な学生の計画的な受入・派遣を通じて国際的な視野をもつ人材を育成するなど,質の保証を伴った大学間交流の促進と国際競争力の向上につながる効果が考えられる。
3 ダブル・ディグリー・プログラムの主旨
ダブル・ディグリー・プログラムは,協定を締結する2つの大学の教育課程がそれぞれ存在した上で,双方の大学で人材養成目的を共有し,緊密に連携した教育を実施することにより,学生に対して,一つの大学では提供できない双方の大学の強みを活かしたより高度で革新的な学修機会を与えることができるとともに,学生の流動性,単位の流動性など,国際通用性のある教育プログラムを可能とすることにある。
4 定義
本ガイドラインにおける主な用語の定義は,「我が国の大学と外国の大学間におけるジョイント・ディグリー及びダブル・ディグリー等国際共同学位プログラム構築に関するガイドライン」(平成26年11月14日中央教育審議会大学分科会)に準ずる。
5 当初に確認すべき事項
相手大学と協定を締結する前に,次の事項について十分確認しなければならない。
(1) 相手大学について,所在国や地域における公的な質保証システムにおける認可等(相手大学の所在国における適正な評価団体からのアクレディテーション(公的な外部機関による教育機関の質を認定する制度),ユネスコの高等教育情報ポータルに掲載されている大学であること等)を受けているか確認すること。
(2) 教育プログラムの人材養成目的を明確にし,関係者の共通理解を得ていること。
(3) 我が国の大学設置基準等の関係法令と抵触することがないか,確認すること。
6 共同の実施体制の整備
相手大学との教育連携の安定かつ継続的な実施を確保するため,大学ごとの対象人数,教員の配置,教育研究の内容,学生に対する責任,授業料等の取扱い等基本的な方針とともに,ダブル・ディグリー・プログラムの人材養成目的,教育方法,学位審査体制等を共有し,協定により定めなければならない。
7 カリキュラムの編成
カリキュラムの質保証の観点から,次の事項に留意し,編成しなければならない。
(1) カリキュラム編成の際には,相手大学における単位制度(授業時間を含めた学習量や単位の換算方法等)や履修すべき科目と学生が選択可能な科目(読み替え科目)を確認及び整理するとともに,学位取得に向けたタイムスケジュールや履修の順序,単位互換の手続,アカデミックカレンダーの相違等の確認など,学生の履修に支障がないようにすること。
(2) 相手大学で修得し,本学で認定する(単位互換する)単位数は,学部においては大学設置基準第28条により定められた単位数(60単位)を,大学院においては大学院設置基準第15条により定められた単位数(15単位)を,専門職大学院においては専門職大学院設置基準第13条により定められた単位数(修了要件として定める30単位以上の単位数の2分の1)を超えない範囲内で,協定において定めること。
(3) 教育内容の質を保証するため,共同指導を行うこと。なお,学生の負担を減らす観点から,担当教員が双方の大学に出向いて指導を行う等工夫すること。
(4) GPA,YU CoB CuSの導入や評価に係る教員間の相互チェック等,透明性,客観性の高い,厳格な成績評価を行うこと。
(5) 修士課程又は博士課程の場合,学生が適切な研究指導を受けることができるよう,全ての関係大学から教員を主担当又は副担当として定める等,適切な管理を行うこと。
(6) 法令上,(標準)修業年限内での学修が原則となるが,2つの学位を授与することに対する質保証の観点から,プログラムの学修期間のあり方について十分検討すること。
8 学位審査
論文及び学位の質保証の観点から,実施体制等について次の事項に留意し,学位審査を実施しなければならない。
(1) 相手大学に提出する論文の数や内容,トピックの選択,使用言語,論文受理の要件,論文審査のタイムスケジュールや審査体制,論文指導における関係大学による共同指導のあり方など,相手大学の制度や実情も踏まえて行うこと。
(2) 原則として,学生は,双方の大学に学位論文を提出し,学位審査を受けることとなるが,ダブル・ディグリー・プログラムでの学位の質保証の観点から,一定の共通審査基準を設けること。
(3) 一つの学位論文で双方の大学において,それぞれ学位を取得可能とするプログラムについては,論文及び学位の質保証の観点から疑念を持たれないよう,相手大学の指導教員を協力教員として審査委員会に加え,双方の大学の教員で構成される学位審査委員会を設置すること。
9 ダブル・ディグリー・プログラムを証明する書類
ダブル・ディグリー・プログラムは,相手大学と共有した人材養成目的に応じた教育プログラムであることから,シングル・ディグリーと異なる教育プログラムであることが分かるように,学位記の発行に際しては,ダブル・ディグリー・プログラムの人材養成目的,教育方法,学位審査体制並びにその履修を通じて得られる能力等に関する情報を記載した,両大学の学長が証明するディプロマ・サプリメント(学位・資格の学修内容を示した様式),または,その他ダブル・ディグリー・プログラムにより修了したことを証明する書類を学位記に添付しなければならない。
ただし,学位記にダブル・ディグリー・プログラムである旨を付記する場合は,これを省略することができる。
10 学生への支援
学生が安心して学修に取り組むことができるように,次の事項に留意し,学生への支援体制を整備しなければならない。
(1) ダブル・ディグリー・プログラムを選択する学生の募集については,募集要項等で具体的な手続,想定した募集人員が集まらなかった際の取扱いについて定めること。
(2) 本学及び相手大学の両方に同時に在籍期間が存在する場合は,本籍とする大学を決め,学生に対する責任等につき遺漏がないよう適切に処理すること。
(3) 学生の学修及び生活面について,相手大学への継続的な状況把握や担当教員が相手大学に出向いて共同指導を行うなど,学生が適切な指導を受けることができ,心身ともに健康な学生生活を送ることができるための支援体制を整備すること。
(4) 学生が学修に失敗した場合の扱いについても事前に協議すること。
(5) 複数の大学に在籍することに伴って生じる授業料等の取扱いについて,学生の便益に配慮すること。特に,標準修業年限を超えて学修するプログラムの場合は,学生の経済的負担を減らす観点から,長期履修学生制度の活用を検討すること。
11 その他
(1) ガイドラインの見直し
このガイドラインは,必要に応じ適切な見直し及び改訂を行う。
附 則
このガイドラインは,平成27年4月1日から施行する。
附 則
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このガイドラインは,令和6年4月1日から施行する。