○山口大学学生懲戒規則
(平成28年3月11日規則第56号)
改正
平成29年3月14日規則第19号
平成31年3月22日規則第65号
令和5年8月7日規則第53号
令和7年3月31日規則第41号
(趣旨)
第1条 この規則は,国立大学法人山口大学学則(以下「学則」という。)第63条及び山口大学大学院学則(以下「大学院学則」という。)第43条の規定に基づき,山口大学(以下「本学」という。)における学生の懲戒について適正かつ公正な運用を図るため,必要な事項を定める。
(懲戒処分の内容等)
第2条 学則第63条第1項に定める行為(以下「非違行為」という。)のあった学生に対する同条第2項の懲戒処分の内容は次のとおりとする。
(1) 退学は,本学における修学の権利を剥奪し,学籍関係を一方的に終了させること。
(2) 停学は,一定期間,学生の教育課程の履修,課外活動及び大学施設の使用等を禁止すること。
(3) 訓告は,学生の行った行為を戒めて事後の反省を求め,将来にわたって非違行為を行わないよう,文書により注意すること。
2 停学は,有期停学及び無期停学とし,その期間は次のとおりとする。
(1) 有期停学の期間は60日未満とする。
(2) 無期停学の期間は60日以上とする。
3 停学期間の計算は暦日によるものとし,停学期間は,学則第25条及び大学院学則第12条に規定する修業年限並びに学則第28条及び大学院学則第13条に規定する在学期間に算入する。ただし,その期間が通算60日以上にわたるときは修業年限に算入しない。
(教育的措置)
第3条 学部,学環又は大学院研究科(以下「学部等」という。)の長は,学生が行った非違行為が,懲戒処分に相当しないとされた場合においても,当該学生に対し,次の教育的措置を行うことができる。
(1) 厳重注意は,口頭又は文書により,強く戒め反省を求めること。
(2) 注意は,口頭又は文書により,戒め反省を求めること。
2 当該学部等の長は,教育的措置を行ったときは,教育学生を担当する副学長(以下「副学長」という。)に報告するものとする。
(懲戒の基準)
第4条 懲戒処分の基準は,次の各号のとおりとし,標準例は別表に定めるところによる。
(1) 退学は,学則第63条第3項に該当する学生に行う。
(2) 停学は,以下のいずれかに該当する非違行為を行った学生に行う。
ア 本学の秩序を乱し,本学の教育研究・社会貢献活動を妨げる行為で,悪質と判断された場合
イ 学内又は学外での学生の本分に反した重大な行為で,悪質と判断された場合
ウ 本学の規則等又は命令に違反する行為で,悪質と判断された場合
(3) 訓告は,以下のいずれかに該当する非違行為を行った学生に行う。
ア 本学の秩序を乱し,本学の教育研究・社会貢献活動を妨げる行為
イ 学内又は学外での学生の本分に反した行為
ウ 本学の規則等又は命令に違反する行為
2 懲戒を受けた学生の成績評価等の取扱いについては,別に定める。
(情状の酌量)
第5条 前条において,行為の悪質性は,当該学生の主観的態様,当該非違行為の性質,当該非違行為に至る動機,非違行為歴等を勘案の上判断するものとする。
2 前条において行為の重大性は,当該非違行為により被害を受けた者の精神的苦痛を含めた身体的被害の程度,物的被害の程度,当該非違行為が社会に及ぼした影響等を勘案の上判断するものとする。
3 前2項に定めるもののほか,懲戒を行うに当たっては,当該学生の平素の行状,当該行為の他への影響,懲戒を行うことによって生じる訓戒的効果等を総合的に考慮して行うものとする。
(事案の報告)
第6条 当該学部等の長は,懲戒処分に相当する非違行為が発生したと推測したときは,学長に速やかにその旨を報告しなければならない。
(調査委員会等)
第7条 当該学部等の長は,前条の報告の後,速やかに調査委員会を設置して,事実関係の調査を行うものとする。
2 異なる学部等に所属する複数の学生が関与している事案については,当該学部等で合同の調査委員会を設置することができる。合同の調査委員会を設置しない場合であっても,各当該学部等の調査委員会は,相互に連携して事実関係の調査を行うものとする。
3 調査委員会は,前2項に規定する調査に際し,当該学生に対して,口頭又は文書による弁明の機会を与えなければならない。ただし,当該学生が,弁明の機会を与えられたにもかかわらず,正当な理由なく欠席し,又は文書を提出しなかった場合は,この権利を放棄したものとみなす。
4 当該学部等の長は,調査委員会の調査結果に基づき,懲戒の要否及び懲戒を要する場合,その種類及び内容(以下「懲戒内容等」という。)について検討し,その結果を副学長に報告するものとする。
(逮捕・拘留時の取扱い)
第8条 学生が逮捕・拘留され,接見等が認められず,弁明の機会が得られない場合にあっても,当該学生が罪状を認める場合は,前条第3項にかかわらず,慎重に懲戒内容等を検討し,懲戒処分を行うことができる。
(懲戒調整委員会)
第9条 懲戒処分,無期停学解除の可否及び不服申立てについて,学部等間及び過去の事例との不均衡が生じないよう協議し,当該学部等の長に意見するため,懲戒調整委員会を置く。
2 懲戒調整委員会は,次の委員をもって組織する。
(1) 副学長
(2) 学生支援センター長
(3) 当該学部等の副学部長,副学環長又は副研究科長(創成科学研究科及び副研究科長が置かれていない研究科においては,当該研究科長が指名した者1名)
(4) 当該学部等の教学委員会委員又は当該学部等の教育研究を担当する教授のうちから当該学部等の長が指名した者1名
(5) その他委員長が必要と認めた者
3 懲戒調整委員会に委員長を置き,前項第1号の委員をもって充てる。
4 委員長は,当該学部等の長から,懲戒処分,無期停学の解除又は不服申立てについて報告を受けた場合は,懲戒調整委員会を招集し,その議長となる。ただし,第4条第1項の別表中4-2)に規定する懲戒の場合には招集しないことができる。
5 懲戒調整委員会は,必要に応じ,委員以外の者の出席を求め,意見を聴くことができる。
(懲戒の決定)
第10条 当該学部等の長は,懲戒調整委員会の意見を受け,当該学生の懲戒について教授会で審議し,その懲戒内容等について,学長に意見を述べる。
2 学長は,当該学部等の長からの意見を参考の上,当該学生の懲戒処分の要否及び懲戒内容等を決定し,当該学部等の長に通知する。
3 学長は,当該学生の懲戒処分の要否及び懲戒内容等について,特に必要があると認めた場合には,当該学部等の長に再度,意見を述べさせることができる。
(懲戒処分の告知)
第11条 懲戒処分の告知は,当該学部等の長が当該学生に処分決定通知書を交付して行うものとする。ただし,当該学生の所在を知ることができない場合においては公示送達又は適切な方法により行うものとする。
2 教育的措置の告知は,当該学部等の長が当該学生に対し行うものとする。
(不服申立て)
第12条 懲戒処分の告知を受けた学生は,処分決定通知書を受け取った日の翌日から起算して14日以内に文書により学長に対して不服申立てを行うことができる。
2 学長は,前項の不服申立てを受理した場合には,速やかに副学長及び当該学部等の長の意見を聴いた上で,再調査の要否を決定しなければならない。
3 再調査の必要がある場合には,学長は,直ちに,当該学部等の長に再調査を行わせるものとする。
4 再調査及び決定は,第7条,第9条及び第10条に準じて行うものとする。
5 再調査の必要がない場合には,学長は,速やかに,その旨を文書で当該学生に通知する。
6 学長は,不服申立てによる再調査の結果,懲戒処分を課さない場合又は懲戒処分を変更する場合には,懲戒処分によって被ったいかなる不利益を解消するよう努めるものとする。
7 不服申立ての行為は,懲戒処分の効力を妨げない。
(停学期間中の措置)
第13条 停学期間中の学生に対して,当該学部等は,定期的な連絡・面談等の適切な指導を行い,その更正に努めるものとする。
2 当該学部等の長は,第2条第1項第2号にかかわらず,停学期間中の学生に対して,特に必要と認めた場合は,大学施設の使用等一部を許可することができる。
3 停学期間中の休学の願出は,受理しないものとする。
4 休学中の学生を停学処分とする場合は,当該学生の休学を取り消すものとする。
5 留学中の学生を停学処分とする場合は,当該学生の留学を取り消すものとし,原則として速やかに帰国させるものとする。
(無期停学の解除)
第14条 当該学部等の長は,無期停学処分を受けた学生について,その反省の程度及び学習意欲等を総合的に判断して,停学を解除することが適当であると認めるときは,懲戒調整委員会の協議を経た後,教授会の審議の上,無期停学の解除について学長に意見を述べるものとする。
2 学長は,前項の意見を参考の上,無期停学解除の可否を決定し,当該学部等の長に通知する。
(自宅謹慎)
第15条 当該学部等の長は,懲戒処分に相当する非違行為が発生したと推測し,特に必要と認めるときは,懲戒が決定されるまでの間当該学生に対して自宅謹慎を命じることができる。
2 当該学生の処分が停学とされた場合,自宅謹慎の期間は,停学期間に算入する。
(懲戒決定前の転学,留学,退学又は休学)
第16条 当該学部等の長は,当該学生から懲戒の決定前に転学,留学,退学又は休学の願出があったときは,この願出を受理しないものとする。
(懲戒処分の告示等)
第17条 学長は,懲戒処分を課した場合,教育研究評議会に報告するとともに,学生の氏名等直接個人が特定できる情報を伏して学内に告示するものとする。
(懲戒に関する記録等)
第18条 懲戒処分を課した場合,当該学生の学籍簿に懲戒内容等を記録するものとする。
2 本学が作成する成績証明書等及び指導大学教育職員等が作成する推薦書等には,懲戒の有無及びその内容等を記載しないものとする。
(職員の守秘義務)
第19条 学生の懲戒に関する事項に関わった役員及び職員は,職務上知り得た情報を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(その他)
第20条 この規則の解釈及び実施に関して必要な事項は,学長が決定する。
附 則
1 この規則は,平成28年4月1日から施行する。
2 山口大学学生に係る懲戒に関する申合せは廃止する。
3 この規則の施行の日において,平成28年3月31日以前に行った非違行為に対する懲戒の適用については,なお従前の例による。
附 則(平成29年3月14日規則第19号)
この規則は,平成29年4月1日から施行する。
附 則(平成31年3月22日規則第65号)
1 この規則は,平成31年4月1日から施行する。
2 平成31年3月31日に連合獣医学研究科に在学する者の懲戒の決定及び無期停学の解除は,この規則による改正後の山口大学学生懲戒規則第10条及び第14条の規定にかかわらず,なお従前の例による。
附 則(令和5年8月7日規則第53号)
この規則は,令和5年8月7日から施行する。
附 則(令和7年3月31日規則第41号)
この規則は,令和7年4月1日から施行する。
別表(第4条関係)
懲戒の標準例
区分区分番号非違行為等懲戒の標準例
刑罰法規に抵触する行為1-1)殺人,強盗,不同意性交,誘拐,放火等の凶悪な犯罪行為又は犯罪未遂行為退学
1-2)暴行,傷害,万引きその他の窃盗,横領,恐喝又は詐欺退学,停学又は訓告
1-3)麻薬,覚醒剤等の薬物犯罪(不正所持又は使用)退学又は停学
1-4)賭博退学,停学又は訓告
1-5)痴漢行為(のぞき見,盗撮行為等を含む。),わいせつ行為(公然わいせつ,わいせつ物頒布等をいう。)又はストーカー行為退学,停学又は訓告
1-6)コンピュータ又はネットワークの不正使用で悪質な場合退学又は停学
1-7)コンピュータ又はネットワークの不正又は不適切な使用停学又は訓告
1-8)建造物又は器物の損壊その他,法令に反する行為退学,停学又は訓告
交通法規に違反する行為2-1)無免許運転,飲酒運転(幇助を含む。),暴走運転等悪質な交通法規違反により相手を死亡させ,又は高度後遺障害等を負わせる人身事故を起こした場合退学又は停学
2-2)無免許運転,飲酒運転(幇助を含む。),暴走運転等悪質な交通法規違反により人身事故(前項に規定する事故を除く。)を起こした場合退学,停学又は訓告
2-3)無免許運転,飲酒運転(幇助を含む。),暴走運転等の交通違反退学,停学又は訓告
論文等の不正行為3-1)論文等の盗用又は剽窃(※)(研究成果作成の際に論文やデータのねつ造を行った場合を含む。以下同じ。)退学,停学又は訓告
授業等に関する不正行為4-1)試験において,替え玉受験等悪質な行為を行った場合や重犯の場合退学又は停学
4-2)試験において,不正行為(使用を許可されていない物を持ち込む等のいわゆるカンニング行為)又はレポート等の課題において盗用若しくは剽窃を行った場合停学(注)
4-3)TOEIC IPテスト等本学で実施する試験(授業で実施する試験以外の試験)において,不正行為を行った場合及びその結果の改ざんを行った場合停学又は訓告
4-4)その他授業において,授業の実施を妨げる行為や出席を欺く行為等で悪質なもの停学又は訓告
人権を侵害する行為5-1)セクシャル・ハラスメント行為,アカデミック・ハラスメント行為,パワーハラスメント行為退学,停学又は訓告
その他6-1)本学の知的財産を故意に喪失させる行為(知的財産を無断で提供し,公表し,又は指定された場所から移動する行為,共同研究の遂行又は知的財産の確保を目的とする秘密保持契約に違反する行為,知的財産として保護対象に指定された情報を漏えいする行為等)退学,停学又は訓告
6-2)授業,研究等で知り得た個人情報を第三者に漏えいする行為(漏えいにつながる行為を含む。)退学,停学又は訓告
6-3)本学の管理する建造物への不法侵入又はその不正使用若しくは占拠退学,停学又は訓告
6-4)本学の構成員に対する暴力行為,威嚇,拘禁,拘束等退学,停学又は訓告
6-5)本学の教育研究又は管理運営を著しく妨げる行為退学,停学又は訓告
6-6)本学が管理する建造物又は器物の損壊,汚損,失火(結果が重大なものに限る。)等停学又は訓告
6-7)20歳未満の者に対する飲酒又は喫煙を強制又は助長する行為停学又は訓告
6-8)その他,本学の信用を著しく失墜させる行為退学,停学又は訓告
※ 表中の「盗用」とは,他人の作成した内容を書き写す又は氏名を書き換える等の行為をいい,「剽窃」とは他人の著作物の内容等について出典を明記せず,自己の主張・考えとして表現する等の行為をいう。
(注) 停学期間は50日とする。