○国立大学法人山口大学における人を対象とする一般的な研究に関する規則
(平成30年6月1日規則第68号) |
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第1章 総則
(目的)
第1条 この規則は,国立大学法人山口大学研究者倫理綱領に基づき,国立大学法人山口大学(以下「本法人」という。)における人を対象とする研究(法令及びその他の規則の適用を受けない研究に限る。以下「人一般研究」という。)の実施に関し必要な事項を定め,研究対象者の人権及び尊厳の保障,安全性の確保並びにリスク回避の科学的妥当性の観点から,研究機関として当該研究活動における研究の適切な推進を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この規則において,次の用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 「人一般研究」とは,人(個人及び集団)を対象に,その行動,心身若しくは環境等に関する試料・情報を収集し,実施される実験及び調査をいう。
(2) 「試料・情報」とは,人体(死者に係るものを含む。)から取得された試料及び研究に用いられる情報をいう。
(3) 「既存試料・情報」とは,試料・情報のうち,次に掲げるいずれかに該当するものをいう。
ア 人一般研究計画書(以下「研究計画書」という。)が作成されるまでに既に存在する試料・情報
イ 研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって,取得の時点においては当該研究計画書の研究に用いられることを目的としていなかったもの
(4) 「研究対象者」とは,次に掲げるいずれかに該当する者(死者を含む。)をいう。
ア 人一般研究を実施される者(人一般研究を実施されることを求められた者を含む。)
イ 人一般研究に用いられることとなる既存試料・情報を取得された者
(5) 「研究者等」とは,研究責任者その他の人一般研究の実施に携わる関係者(学生を含む。)をいう。
(6) 「研究責任者」とは,人一般研究の実施に携わるとともに,当該人一般研究に係る業務を統括する者をいう。ただし,学生は研究責任者になることができない。
(7) 「部局等」とは,各学部,学環,大学院の各研究科,研究所(国立大学法人山口大学学則(平成16年規則第1号)第9条に定めるものをいう。),図書館,機構,学内共同利用施設及び医学部附属病院をいう。
(適用範囲)
第3条 この規則は,本法人の研究者等が実施する人一般研究に適用する。
第2章 責務等
(研究者等の責務)
第4条 研究者等は,人一般研究の実施に当たり,研究対象者の人権及び尊厳を尊重し,次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 予見し得る研究対象者への危険性を排除する措置を講じること。
(2) 研究対象者又はその代諾者及び関係者からの相談,問合せ,苦情等に適切かつ迅速に対応すること。
(3) 人一般研究の実施に携わる上で知り得た情報を漏らさないこと。当該人一般研究の実施に携わらなくなった後も同様であること。
(4) 人一般研究に関連する情報の漏えい等,研究対象者の人権を尊重する観点又は人を対象とする研究の実施上の観点から重大な懸念が生じた場合には,速やかに研究責任者に報告すること。
2 研究者等は,人一般研究の実施に当たり,安全性の確保及びリスク回避の科学的妥当性の観点から次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 第12条に規定する国立大学法人山口大学における人を対象とする一般的な研究に関する審査委員会(以下「人一般研究審査委員会」という。)の審査及び部局等の長の承認を受けた研究計画書に従って,適正に人一般研究を実施すること。
[第12条]
(2) 人一般研究の実施の適正性,安全性の確保及びリスク回避の科学的妥当性を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある事実若しくは情報を得た場合には,必要な措置を講じるとともに,速やかに研究責任者に報告すること。
(研究責任者の責務)
第5条 研究責任者は,人一般研究の実施に当たり,次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 安全性の確保及びリスク回避の科学的妥当性が確保されるよう,研究計画書を作成すること。また,研究計画書の作成に当たって,研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益を総合的に評価するとともに,負担及びリスクを最小化する対策を講じること。
(2) 研究計画書に従って人一般研究が適切に実施され,その結果の信頼性が確保されるよう当該人一般研究の実施に携わる研究者等をはじめとする関係者を指導・管理すること。
(学長の責務)
第6条 学長は,人一般研究の実施に関して,次の責務を負う。
(1) 本法人における人一般研究の実施に関する最終的な責任を負うこと。
(2) 人一般研究を適正に実施するために必要な体制・規程を整備すること。
(統括管理責任者の責務)
第7条 本法人に統括管理責任者を置き,学術研究を担当する副学長をもって充てる。
2 統括管理責任者は,人一般研究の実施に関して,次の責務を負う。
(1) この規則に基づく運用,手続等の制定及び改廃を行うこと。
(2) 人一般研究が適正に実施されるための統括的な指導,監督を行うこと。
(3) 人一般研究審査委員会の運営を行うこと。
(部局等の長の責務)
第8条 部局等の長は,人一般研究の実施に関して,次の責務を負う。
(1) この規則に定めるところにより,当該部局における人一般研究が適正に実施されるよう管理監督すること。
(2) 人一般研究の進行状況及び結果を把握し,当該部局における人一般研究が倫理的,法的又は社会的に適正に実施されるよう必要な措置を講じること。
第3章 審査等手続
(研究計画書等の提出)
第9条 研究責任者は,人一般研究の実施に先立ち,所定の研究計画書等を作成し,当該部局等の長に申請しなければならない。
2 研究責任者は,承認を受けた研究計画書の内容を変更するときは,変更に先立ち,所定の研究計画書等を作成し,当該部局等の長に申請しなければならない。
(諮問)
第10条 部局等の長は,当該部局に所属する研究責任者から前条第1項又は第2項の規定による申請があったときは,人一般研究審査委員会に諮問しなければならない。
(承認等)
第11条 部局等の長は,人一般研究審査委員会の答申を尊重し,当該研究計画書の承認又は不承認その他必要な措置について決定する。
2 部局等の長は,前項の決定を行ったときは,速やかに研究責任者に文書で通知するとともに,統括管理責任者に報告する。
第4章 人一般研究審査委員会
(人一般研究審査委員会の設置)
第12条 本法人に,人一般研究の実施の適否等を審査するため,その諮問機関として,人一般研究審査委員会を置く。
(審査事項)
第13条 人一般研究審査委員会は,部局等の長からの諮問に応じ,人権及び尊厳の保障,安全性の確保並びにリスク回避の科学的妥当性の観点から人一般研究の実施又は変更その他人一般研究に関し必要な事項について審査を行う。
(組織)
第14条 人一般研究審査委員会は,次の委員をもって組織する。
(1) 学長が指名する本法人の教授,准教授,講師又は助教 5名
(2) その他学長が必要と認め指名した本法人の職員及び学外有識者
2 学長及び統括管理責任者は,人一般研究審査委員会の審査に参加してはならない。
(任期)
第15条 委員の任期は,2年とし,再任を妨げない。ただし,委員に欠員が生じた場合の後任の委員の任期は,前任者の残任期間とする。
2 前項の規定にかかわらず,前条第1項第2号の委員を学外の有識者から指名した場合の任期は学長が委嘱した期間とし,再任を妨げない。
(委員長及び副委員長)
第16条 人一般研究審査委員会に委員長を置き,委員の互選により選出する。
2 委員長は,人一般研究審査委員会を招集し,その議長となる。
3 人一般研究審査委員会に副委員長を置き,委員のうちから委員長が指名する。
4 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故あるときは,その職務を代行する。
(委員以外の出席)
第17条 人一般研究審査委員会が必要と認めたときは,委員以外の者を人一般研究審査委員会に出席させ,意見を聴くことができる。
(審査)
第18条 人一般研究審査委員会は,委員の過半数の出席により成立する。
2 人一般研究審査委員会における審査の議決は,原則として出席者全員の合意によるものとする。ただし,議長が必要と認める場合は,出席した委員の過半数をもって決し,可否同数のときは,議長の決するところによる。
3 前2項の規定にかかわらず,審査対象の人一般研究が次に掲げるいずれかに該当する場合は,委員長があらかじめ指名した委員2名(委員長を含むことができる)による迅速審査を行うことができる。
(1) 研究計画書の軽微な変更に係る審査である場合
(2) 既に人一般研究審査委員会において承認した研究計画書に準ずる審査である場合
4 前3項の規定にかかわらず,審査対象の人一般研究が次に掲げるいずれかに該当する場合は,委員長による簡易審査を行うことができる。
(1) 研究計画書の内容から,人一般研究審査委員会で明らかに審査不要と判断できる場合
(2) 研究計画書の内容から,法令及びその他の規則の適用を受けると判断できる場合
5 前2項の場合において,迅速審査又は簡易審査を行った場合は,審査結果を他の委員に報告しなければならない。
6 審査の対象となる人一般研究の研究者等である委員は,当該人一般研究の審査に加わることはできない。
(答申)
第19条 委員長は,前条における審査結果を部局等の長に答申する。
(守秘義務)
第20条 委員は,任期中及び委員でなくなった後も,その職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
(委員会事務局)
第21条 学長は,人一般研究審査委員会の業務を円滑に行うため,委員会事務局を置く。
2 委員会事務局の運営に関し必要な事項は,統括管理責任者が別に定める。
第5章 人一般研究の管理
(インフォームド・コンセント)
第22条 研究者等は,人一般研究を実施するに当たり,必要に応じ,あらかじめ書面による同意(以下「インフォームド・コンセント」という。)を受けなければならない。
2 前項の規定にかかわらず,研究者等は,次の各号に掲げる場合に限り,研究対象者の代諾者からインフォームド・コンセントを受けることができる。
(1) 研究対象者がインフォームド・コンセントを与えることができない状態にある場合
(2) 研究対象者が未成年者その他行為能力がないとみられる者である場合
(個人情報等の保護)
第23条 研究者等は,人一般研究を実施するとき又は実施しようとするときに取得した個人情報の取扱いに関して,国立大学法人山口大学における個人情報の管理に関する規則(令和4年規則第40号)を遵守し,適切に管理しなければならない。
(利益相反)
第24条 研究者等は,人一般研究を実施するとき,当該人一般研究に係る利益相反に関して,国立大学法人山口大学利益相反・責務相反マネージメントポリシー(平成17年規則第47号)を遵守しなければならない。
(健康被害,事故等への対応)
第25条 研究者等は,研究対象者に健康被害,事故等が発生した場合には,直ちに当該人一般研究を中断し,必要な措置を講じるともに,研究責任者に報告し,研究責任者は,所定の報告書により,所属する部局等の長に報告しなければならない。
2 当該部局等の長は,前項の報告を受けたとき,研究者等が講じた処置の適否を確認し,当該人一般研究の再開の可否を判断するとともに,速やかに統括管理責任者に報告しなければならない。また,必要に応じ,研究責任者に研究計画書を変更するよう指示しなければならない。
3 統括管理責任者は,前項の報告を受けたとき,発生した健康被害,事故等が重大であると判断される場合は,速やかに学長に報告しなければならない。
(制限,中止等)
第26条 統括管理責任者は,実施中の人一般研究について,当該人一般研究がこの規則に違反している場合又は部局等の長から承認を受けた研究計画書の内容から逸脱している場合若しくはそのおそれがあると認める場合には,速やかに研究責任者の所属する部局等の長に対し,当該人一般研究を適切に実施するよう指導しなければならない。ただし,緊急を要すると判断される場合は,当該人一般研究の制限又は中止を当該部局等の長に命ずることができる。
(再発防止)
第27条 統括管理責任者は,第25条第1項に規定する事項が発生した場合には,速やかにその原因を調査究明し,再発防止のための措置を講じなければならない。
[第25条第1項]
(終了,実施状況の報告)
第28条 研究責任者は,実施していた人一般研究が終了又は中止したときは,所定の報告書により,終了又は中止から1か月以内に所属する部局等の長へ報告するものとする。
2 研究責任者は,実施中の人一般研究の研究期間が年度末を超える場合には,その実施状況について,所定の報告書により,統括管理責任者が指定する期日までに当該部局等の長へ報告するものとする。ただし,当該人一般研究の開始から3か月以上経過してない場合は,この限りでない。
3 当該部局等の長は,前2項の報告を受けたときは,速やかに統括管理責任者に報告するものとする。
4 前3項の規定は,第18条第4項第1号の審査結果に基づき承認された研究計画書による人一般研究については,適用しない。
(資料,情報等の保存)
第29条 研究者等は,人一般研究の実施に当たり作成又は取得した研究資料(文書,数値データ,画像等)及び試料・情報の保存については,研究資料等の保存に関するガイドライン(平成27年大学研究推進機構長裁定)を遵守しなければならない。
第6章 雑則
(専門部会の設置)
第30条 統括管理責任者は,この規則に関する特定の事項を検討するため,必要に応じて専門部会を置くことができる。
2 専門部会に関し必要な事項は,統括管理責任者が別に定める。
(事務)
第31条 人一般研究の事務は,関係部署の協力を得て,学術研究部ライフサイエンス支援課において処理する。
(雑則)
第32条 この規則に定めるもののほか,人一般研究に関し必要な事項は,統括管理責任者が別に定める。
附 則
1 この規則は,平成30年6月1日から施行する。
2 この規則施行後最初に指名される第14条第1項第1号及び第2号のうち本法人の職員の委員の任期は,第15条第1項の規定にかかわらず,令和2年3月31日までとする。
附 則(平成31年4月25日規則第94号)
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この規則は,令和元年5月1日から施行する。
附 則(令和2年3月25日規則第66号)
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この規則は,令和2年4月1日から施行する。
附 則(令和2年6月26日規則第123号)
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この規則は,令和2年7月1日から施行する。
附 則(令和2年12月24日規則第150号)
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この規則は,令和3年1月1日から施行する。
附 則(令和3年3月30日規則第52号)
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この規則は,令和3年4月1日から施行する。
附 則(令和7年3月31日規則第41号)
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この規則は,令和7年4月1日から施行する。