○国立大学法人山口大学における人を対象とする生命科学・医学系研究に関する規則
(令和3年6月16日規則第67号)
改正
令和7年3月31日規則第41号
(趣旨)
第1条 この規則は,ヘルシンキ宣言の倫理的原則に則り,「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(以下「指針」という。)に基づいて,国立大学法人山口大学(以下「本法人」という。)における人を対象とする生命科学・医学系研究(以下「生命科学・医学系研究」という。)の実施に関し必要な事項を定める。
(定義)
第2条 この規則における用語の定義は,指針のほか次の各号に定めるところによる。
(1) 「部局等」とは,各学部,学環,大学院の各研究科,研究所(国立大学法人山口大学学則(平成16年規則第1号)第9条に定めるものをいう。),図書館,機構,学内共同利用施設及び医学部附属病院をいう。
(2) 「手順書」とは,指針及びこの規則に基づき,生命科学・医学系研究の実施に必要な学長,研究責任者,研究者等の業務等について定めたものをいう。
(適用範囲)
第3条 この規則は,本法人が実施する生命科学・医学系研究に適用する。
(学長の責務)
第4条 学長は,次の責務を負う。
(1) 実施を許可した生命科学・医学系研究が適正に実施されるよう,必要な監督を行うことついての責任を負うこと。
(2) 生命科学・医学系研究が指針及び研究計画書に従い,適正に実施されていることを必要に応じて確認するとともに,研究の適正な実施を確保するために必要な措置をとること。
(3) 生命科学・医学系研究の実施に携わる関係者に,研究対象者の生命,健康及び人権を尊重して生命科学・医学系研究を実施することを周知徹底すること。
(4) 業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らさないこと。その業務に従事しなくなった後も同様とすること。
(5) 生命科学・医学系研究を適正に実施するために必要な体制・規定を整備すること。
(6) 本法人において実施する生命科学・医学系研究に関連して研究対象者に健康被害が生じた場合,これに対する補償その他の必要な措置が適切に講じられることを確保すること。
(7) 研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で,研究結果等,生命科学・医学系研究に関する情報が適切に公表されることを確保すること。
(8) 本法人における生命科学・医学系研究が指針に適合していることについて,必要に応じ,自ら点検及び評価を行い,その結果に基づき適切な対応をとること。
(9) 倫理審査委員会が行う調査に協力すること。
(10) 生命科学・医学系研究に関する倫理並びに生命科学・医学系研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を本法人の研究者等が受けることを確保するための措置を講じること。また,自らもこれらの教育・研修を受けること。
(11) 研究責任者から生命科学・医学系研究の実施の許可が求められたときは,倫理審査委員会の意見を尊重しつつ,当該研究の実施の許可又は不許可その他生命科学・医学系研究に関し必要な措置について決定すること。この場合において,倫理審査委員会が生命科学・医学系研究の実施について不適当である旨の意見を述べたときには,当該生命科学・医学系研究の実施を許可しないこと。
(12) 本法人において行われている生命科学・医学系研究の継続に影響を与えると考えられる事実を知り,又は情報を得た場合には,必要に応じて速やかに,研究の停止,原因の究明等の適切な対応をとること。
(13) 生命科学・医学系研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう若しくはそのおそれのある事実を知り,又は情報を得た場合には,速やかに必要な措置を講じること。
(14) 研究者等から次の報告を受けた場合には,必要に応じて,倫理審査委員会の意見を聴き,速やかに生命科学・医学系研究の中止,原因究明等の適切な対応をとること。この場合,倫理審査委員会が意見を述べる前においては,必要に応じ,研究責任者に対し,生命科学・医学系研究の停止又は暫定的な措置を講じるよう指示すること。
ア 生命科学・医学系研究の実施の適正性又は研究結果の信頼を損なう又はそのおそれがある事実を知り,又は情報を得たこと。
イ 生命科学・医学系研究に関連する情報の漏えい等,研究対象者等の人権を尊重する観点又は生命科学・医学系研究の実施上の観点から重大な懸念が生じたこと。
ウ 研究責任者が,研究者等から生命科学・医学系研究の倫理的妥当性又は科学的合理性を損なう又はそのおそれがある事実を知り,又は情報を得たことの報告を受けた場合であって,当該研究責任者が生命科学・医学系研究の継続に影響を与えると考えられるものを得たこと。
(15) 本法人が実施している又は過去に実施した生命科学・医学系研究について,指針に適合していないことを知った場合(前号の規定による報告を含む。)には,速やかに倫理審査委員会の意見を聴き,必要な対応を行うとともに,不適合の程度が重大であるときは,その状況・結果を文部科学大臣及び厚生労働大臣(以下「大臣」という。)に報告し,公表すること。
(16) 本法人における生命科学・医学系研究が指針に適合していることについて,大臣又はその委託を受けた者が実施する調査に協力すること。
(17) 人体から取得された試料及び情報等の保管に関する手順書を作成し,当該手順書に従って,本法人が実施する生命科学・医学系研究に係る人体から取得された試料及び情報等が適切に保管されるよう必要な監督を行うこと。
(18) 本法人の情報等について,可能な限り長期間保管するよう努め,侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う生命科学・医学系研究であって介入を行うものを実施する場合には,少なくとも,当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日又は当該研究の結果の最終の公表について報告された日から3年を経過した日のいずれか遅い日までの期間,適切に保管されるよう必要な監督を行うこと。また,匿名化された情報について,本法人が対応表を保有する場合には,対応表の保管についても同様とすること。また,試料・情報の提供に関する記録について,試料・情報を提供する場合は提供を行った日から3年を経過した日までの期間,試料・情報の提供を受ける場合は当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日までの期間,適切に保管されるよう必要な監督を行うこと。
(19) 人体から取得された試料及び情報等を廃棄する場合には,特定の個人を識別することができないようにするための適切な措置が講じられるよう必要な監督を行うこと。
(20) 侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものを実施する場合の研究責任者によるモニタリング及び必要に応じた監査の実施に協力するとともに,当該実施に必要な措置を講じること。
(21) 侵襲を伴う生命科学・医学系研究を実施しようとする場合には,あらかじめ,重篤な有害事象が発生した際に研究者等が実施すべき事項に関する手順書を作成し,当該手順書に従って適正かつ円滑に対応が行われるよう必要な措置を講じること。
(権限,事務の委任)
第5条 学長は,前条にかかる権限及び事務について,部局等の長に委任するものとし,部局等の長は,当該部局の生命科学・医学系研究を適切に遂行する責任を負うものとする。
2 部局等の長は,前項で委任された権限及び事務について,医学部附属病院長等に再委任することができる。
3 部局等の長は,権限又は事務を医学部附属病院長等に再委任する場合は,再委任の内容について文書を取り交わすものとする。
(研究者等の基本的責務)
第6条 研究者等は,指針,この規則,手順書及びその他の生命科学・医学系研究に関する定めを遵守し,生命科学・医学系研究を適切に実施しなければならない。
(学長への報告)
第7条 部局等の長は,生命科学・医学系研究の実施状況について,適宜学長へ報告するものとする。
2 部局等の長は,第4条第15号に関する事項が判明又は発生した場合には,必要な対応を行うとともに,速やかに学長に報告するものとする。
(雑則)
第8条 この規則に定めるもののほか,生命科学・医学系研究の実施に関し必要な事項は,別に定める。
附 則
1 この規則は,令和3年6月30日から施行する。
2 国立大学法人山口大学における人を対象とする医学系研究に関する規則(平成27年規則第218号)及び国立大学法人山口大学におけるヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する規則(平成27年規則第219号)は,廃止する。
3 この規則施行の際,廃止前の国立大学法人山口大学における人を対象とする医学系研究に関する規則又は国立大学法人山口大学におけるヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する規則の規定により実施中の人医学研究又はゲノム研究については,なお従前の例による。
附 則(令和7年3月31日規則第41号)
この規則は,令和7年4月1日から施行する。