○出雲市消防本部再燃火災防止要綱
(平成28年出雲市消防本部訓令第8号) |
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(目的)
第1条 この要綱は、出雲市消防本部警防規程(平成17年出雲市消防本部訓令第16号)第31条に規定する火災現場における再燃火災の防止について、必要な事項を定めることを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この要綱において、次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 再燃火災 消防部隊が現場活動を行い引き揚げた後、再び消火の必要がある燃焼現象で、1件の火災として認定される火災をいう。
(2) 残火処理 火勢鎮圧後、残火を点検処理し、鎮火に至るまでの活動をいう。
(3) 鎮火 現場最高指揮者が、再燃のおそれがないと認定した時点をいう。
(4) 現場保存区域 出雲市消防本部火災調査規程(平成17年出雲市消防本部訓令第16号)第20条に規定する火災調査等の必要上、保存すべき区域をいう。
(5) 警戒 消防部隊が現場を引揚げたのち、再燃火災を未然に防止するため再び火災現場に出場し、状況監視活動及び残火処理活動を行うことをいう。
(6) 関係者 火元建物、類焼建物等の所有者、管理者又は占有者若しくは現場最高指揮者が必要と認めた者をいう。
(再燃火災防止の手順)
第3条 再燃火災防止の手順は、別表のとおりとする。
[別表]
(残火処理の指揮)
第4条 残火処理活動の指揮は、現場最高指揮者が行わなければならない。この場合、現場最高指揮者は火災の規模、状況等を的確に把握し、効率的な体制をとらなければならない。
(担当区域の決定)
第5条 残火処理に当たっては、主として次の事項に留意して実施するものとする。
(1) 現場最高指揮者は、残火処理活動を効率的に行うため、必要に応じてあらかじめ各消防部隊に担当区域を指定し、次の点を重視するものとする。
ア 木造建築物の焼け止まり付近
イ 防火構造の建築物の二重壁内
ウ 耐火建築物(準耐火建築物を含む。)の直上階等の延焼危険箇所
(2) 現場最高指揮者は、消防部隊到着時すでに鎮火し、消火活動の必要がない場合においても残火処理活動を行う消防部隊を指定しなければならない。
(安全管理)
第6条 残火処理活動を指定された消防部隊の長(以下「隊長」という。)は、残火処理活動を行う段階において、建物等が警防活動上危険な状態になっている場合が多いことを周知徹底させ、壁体や柱等の倒壊、瓦等屋根材の落下、転落、床の踏みぬき等及び危険物の把握等を具体的に隊員に指示しなければならない。
2 現場最高指揮者は、暑さ指数(WBGT)の指標等を活用し、隊員の疲労の軽減及び熱中症未然防止の活動管理に努めなければならない。
(残火処理活動)
第7条 隊長は、別表に定める残火処理基準に基づき、必要に応じて残火処理チェックカード(様式第1号)により残火の確認を行うとともに、警防資器材を効率的に活用して、迅速、的確な残火処理活動を実施しなければならない。
[別表]
(残火処理活動時の留意事項)
第8条 現場最高指揮者は、残火処理活動を行うにあたり破壊作業をするときは、努めて関係者の承諾を得たのち実施しなければならない。ただし、関係者が不在のため承諾を得られない場合は、現場に在る警察官その他状況を立証できる者と協議のうえ、必要な措置を講じ、次の各号に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) 破壊箇所は作業が容易で、かつ、最大の効果が期待できる部分とすること。
(2) 破壊範囲は必要最小限に止めること。
2 残火処理活動のための注水活動は、次の各号に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) 消防対象物に適応した注水方法により効率的に行うとともに、出火場所付近の注水は、噴霧注水等を主体とすること。
(2) 水による消火が困難な場合は、消火薬剤の使用も考慮すること。
(3) 注水に際しては、水損防止等を考慮し、必要に応じた資器材を活用すること。
3 可燃物又は焼損した残存物の搬出については、次の各号に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) 布団、マット、繊維等再燃のおそれある物品は、必要に応じて屋外の安全な場所に搬出して残火処理活動を行うこと。
(2) 倉庫、材木置場等大量可燃物の集積場所における可燃物又は焼残物の搬出には、必要に応じ関係者の協力を求め効率的な残火処理活動を行うこと。
(証拠保全)
第9条 残火処理活動に当たっては、特に火災調査等で必要と認める範囲又は部分について現場保存区域を設定し、保存及び証拠の保全に努めるものとする。
2 現場保存区域内の保存及び証拠の保全の必要がなくなった場合は、再度、残火確認を行い、必要に応じて残存物等を屋外へ搬出し確認すること。
(協力依頼書の交付)
第10条 現場最高指揮者は、消防部隊が火災現場を引揚げる際、再燃火災防止のため必要があると認めた場合は、建物等の関係者に対して再燃火災防止協力依頼書(様式第2号)を交付し協力を求めなければならない。
2 前項により再燃火災防止協力依頼書を交付したときは、再燃火災防止協力依頼書交付控に必要事項を記入し、保存しなければならない。
(残火処理後の報告)
第11条 残火処理活動を完了した隊長は、現場最高指揮者に報告しなければならない。また、現場最高指揮者が必要と認めた場合は、残火処理チェックカード(様式第1号)を隊長に命じ、提出させることができる。
(警戒)
第12条 消防署長は、再燃火災防止のため必要と認めたときは、消防部隊を出場させ警戒するものとする。この場合、残火処理基準に基づき点検を行うとともに、火災防御報告書により記録し報告するものとする。
2 前項により消防部隊を出場させる場合は、警戒指令(非緊急)により調査出場させるものとする。
3 消防署長は、消防団の協力が得られ、消防部隊による警戒の必要がないと判断した場合は、警戒の任務を当該消防団に依頼することができる。
4 類焼した消防対象物の関係者が不在の場合、現場保存に当たる警察官に対し、当該消防対象物について監視、警戒等の協力を求め、又は消防団員に対して応急処置について指示するものとする。
(警戒の解除)
第13条 消防署長は、前条により警戒し火源がないと判断した場合は、以後の警戒を解除することができる。
(再燃火災の発生)
第14条 消防署長は、再燃火災が発生したときは直ちに消防長に報告し、再燃火災発生報告書(様式第3号)を作成しなければならない。
附 則
この要綱は、平成28年9月1日より施行する。
附 則(令和4年1月31日消防本部訓令第1号)
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この要綱は、令和4年4月1日から施行する。
別表(第3条関係)
残火処理基準
建物火災
構造別 | 特に残火が生じ易い場所等 | 点検要領 | 搬出・破壊要領 |
木造建築物 | 屋根、小屋裏、天井裏、床下等 | 点検口(押入れの天井部分等)等から内部を視認する。 | 1 小屋裏、天井裏及び床下の点検には、天井、床等を一部破壊する。
2 かや、わらぶき屋根及び小屋裏に収納してあるわら等は、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。 |
家具等(タンス・ロッカー等)
戸棚の裏側 | 移動させて火気及び煙の有無を確認し、更に内部の収容物を視認する。 | 1 収容物のうち衣類、書籍等で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。
2 家具類、戸棚等を移動し、必要に応じ破壊器具等により局部を破壊する。 |
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押入れ、戸袋等 | 1 収容物を引出し、内部を視認して火気及び煙の有無を確かめる。
2 小屋裏への焼け抜け状況を確認する。 | 1 収容物等で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出する等必要な措置を講ずる。
2 小屋裏の点検は、天井、壁等を一部破壊する。 |
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暖房等の火気使用施設周囲の鉄板張内装裏面及び煙突の貫通部分等 | 変色部分等の表面を素手で触れて温度を確かめる。
| 変色部分等の表面温度の高い部分及び煙突の貫通部分を破壊器具等により局部破壊する。 | |
瓦下地等、畳の合せ目等 | 1 焼け止まり箇所等を視認する。
2 畳で焼損の深いものは床板まで焼け抜けているか確認する。 | 1 畳で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。
2 屋根の点検は、瓦及びその下地等を一部破壊する。 |
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柱、梁、合掌等のほぞ部分等 | 1 視認及び表面を素手で触れて温度を確認する。
2 通し柱等に焼損がある場合は、小屋裏、天井裏まで確認する。 | 必要に応じ、けん引ロープ等により柱、梁等を転倒、落下させる。 | |
焼損堆積物等 | 堆積物内部の火気を確認する。 | 1 可能な限りとび口等で掘起しを行う。
2 化学製品等で注水、加熱等により発熱の危険性があるものは、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。 |
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布団、マット、繊維類、紙、木材、木くず | 深部に残った火気を素手で触れる等して確認する。 | 消火器等で消火したもの、又は変色しているものなど、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。 | |
強い加熱を受けた部分風下消防対象物の飛火危険箇所等 | 変色又は強い加熱を受けたと予想される部分を素手で触れて温度を確かめる。 | 1 変色又は受熱温度等から必要に応じ破壊器具等で一部を破壊する。
2 布団、繊維類等深部に火気が残り易いものについては、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。 |
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防火構造建築物 | モルタル等壁の二重壁内等 | 変色又は強い加熱を受けたと予想される部分を素手で触れて温度を確かめる
| 必要に応じ、破壊器具等により二重壁の一部を破壊する。 |
その他 | 木造及び耐火造に準ずる。 | ||
耐火建築物(準耐火建築物含む) | ダクト、パイプスペース等のたて穴部分等
| 1 点検口等から内部を視認する。
2 直上階等へのたて穴部分等で埋戻しの有無を点検する。 3 可燃物と接している部分を点検する。 | 1 押入れ等の収容物を引出し、たて穴等の有無を確認する。
2 ダクト等の一部を破壊する。 |
ダクト、パイプ等の壁体並びに床貫通部分の仕舞材及び埋戻し箇所等
| 1 点検口等から視認する。
2 変色部分等の表面を素手で触れ温度を確かめる。 | ダクト、天井、側壁等の一部を破壊器具等により破壊する。 | |
その他 | 木造建築物及び防火構造建築物に準ずる。 | ||
備考 | 1 消防部隊が前記について点検する場合は、関係者等の立会いのもとに実施するよう配意する。
2 鎮火判定のため破壊によらなければ確認できない部分は、関係者の承諾を得て必要最小限の範囲で実施する。 |
林野火災
留意事項 | 着眼点及び点検処理 |
焼け止まり線に止まることなく広範囲に火源を探索する。 | 1 地表面に一部露出する立木の根株等はその表面を確認し、さらに必要があれば地表下部分も発掘し確認する。
2 山林内に放置された廃材等は極力排除する。 3 老木又は枯木等の空洞部分は確認し、処理する。 4 近隣に家屋等がある場合は、その方面を確認する。 |
上記以外の火災
留意事項 | 着眼点及び点検処理 |
1 雑草火災は林野火災に準じる。 | 1 雑草火災は林野火災に準じて点検処理する。
2 発煙源を徹底して点検し、処理する。 3 発生場所等勘案し、注水をもって深部まで消火処理する。 4 その他、上記以外の箇所及び焼損物品については、状況により必要な点検及び処理を行う。 |
2 車両、船舶及び航空機火災の活動については、燃料の漏洩等に留意し、安全管理を図ること。 |