○出雲市消防本部火災調査規程
(平成17年出雲市消防本部訓令第18号) |
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目次
第1章 総則(第1条-第9条)
第2章 調査上の心構え(第10条-第13条)
第3章 調査の実施(第14条-第45条)
第4章 調査報告等(第46条-第48条)
第5章 調査結果の活用(第49条-第51条)
第6章 雑則(第52条・第53条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにし、火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(火災の定義)
第3条 火災とは、人の意図に反して発生し若しくは拡大し、又は放火により発生した消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいう。
(火災の種別)
第4条 火災の種別は、次の各号に区分するものとする。
(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災
(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災
(3) 車両火災 自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災
(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災
(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災
(6) その他の火災 前各号に該当しない火災
2 前項各号の火災が複合するときは、焼き損害額の大なるものの種別による。ただし、その様態により焼き損害額の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りではない。
(特別調査の実施)
第5条 消防長は、特異な火災で多数の死者が発生するなど、社会的影響が極めて大きい火災又は燃焼の性状が特殊である火災が発生し、火災原因の究明が極めて困難と判断される場合は、法第35条の3の2の規定により消防庁長官による火災の調査を要請することができる。
2 前項の要請については、火災原因調査の要請について(様式第1号)により行うものとする。
(調査の責任)
第6条 消防署長(以下「署長」という。)は、管轄区域内で発生した火災の調査を行う責任を有する。ただし、運行中の車両又は航行中の船舶の火災は、主として消火活動を行った場所を管轄する署長が、航空機の火災は、着陸場所又は墜落場所を管轄する署長が調査責任を有するものとする。
(調査員)
第7条 調査は、署長が指名した消防吏員(以下「調査員」という。)がこれを行う。
(火災調査指揮者)
第8条 署長は、調査の進行の万全を期するため、調査員の中から調査の指揮者となる火災調査指揮者を定めなければならない。
(火災調査体制)
第9条 火災調査の体制は、予防課長が別に定める。
2 署長は、火災調査体制に従い、火災種別及び火災規模等に応じた数の調査員で構成する火災調査班を編成するとともに、火災調査指揮者に火災調査班の指揮監督に当たらせるものとする。
第2章 調査上の心構え
(常時の心得)
第10条 調査員は、常に火災の現象、関係法令、社会の動向その他調査に必要な知識を習得し、調査技術を研究し調査能力の向上に努めなければならない。
(法令の遵守)
第11条 調査員は、法その他関係法令を遵守し、個人の自由及び権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
(民事不介入)
第12条 調査員は、その職務を利用して関係者の民事的紛争に関与してはならない。
(関係機関との協力)
第13条 調査員は、警察署その他の関係機関の職員と緊密な連絡を保ち相互に協力して調査に当たらなければならない。
2 火災調査班は、法第35条の3の2に基づき消防庁長官が行う火災の調査を行うときは、消防庁長官と連携を密にするとともに、効率的かつ効果的な火災調査を行わなければならない。
第3章 調査の実施
(調査の着手)
第14条 調査員は、火災が発生した時は、直ちにその調査に着手しなければならない。
(関係者の立会)
第15条 調査員は、調査に当たって自己の身分を明らかにし、関係者の承諾を得て行うことを原則とし、特例の場合を除くほかは関係者の立会いを求めなければならない。
(調査の主眼)
第16条 調査は、常に事実を主眼とし、先入観にとらわれることなく、科学的な方法と合理的な判断により、事実の立証に努めなければならない。
(情報収集)
第17条 調査員は、火災の早期発見者その他火災の関係者に聞き込み調査を行い、必要な情報及び資料の収集に努めなければならない。
2 調査員以外の消防吏員で火災調査に必要な情報及び資料を得たときは、調査員に速やかにその内容を報告しなければならない。
(消火活動中の保存)
第18条 消防隊の長及びその隊員は、出火箇所と推定される付近の消火に当たっては細心の注意を払い、努めて出火前の状態が推測できるよう原状の保存に留意しなければならない。
(焼死者の通報等)
第19条 消防長又は署長は、火災現場において焼死者を発見した時は、直ちに警察署長に通報するとともに現場保存に努めなければならない。
(現場の保存)
第20条 消防長又は署長は、消火作業を終了したときは火災発生場所の現場保存区域を設定し、ロープ張り又は張札等で標示をし、必要があると認めるときは所要の監視員を配置し、現場保存に努めなければならない。ただし、その区域が警察官によって保存された場合はこの限りでない。
(火災出場時における見分要領及び調査書の作成)
第21条 消防活動に従事する消防隊員は、火災出場途上、現場到着時及び火災防御中において火災状況を見分しなければならない。
2 消防隊の長は、前項における見分状況について出火出場時における見分調査書(様式第2号)を作成しなければならない。
(見分要領及び見分調査書)
第22条 調査員は、火災現場その他関係のある場所に立ち入り詳細に見分し、証拠資料の発見収集に努めなければならない。
2 実況見分は、努めて関係者の立会いのもとにこれを行わなければならない。
3 調査員は、実況見分を終了したときは、実況見分調査書(様式第3号)を作成しなければならない。
4 現場において焼損物件等の分解や見分が困難な場合は、日時を改めて、出火原因の究明に関する詳細な見分及び実験を必要とする調査を行い、鑑識見分調査書(様式第3号)を作成しなければならない。
(写真)
第23条 調査員は、実況見分内容を明らかにするために必要な写真撮影を行わなければならない。
(図面)
第24条 調査員は、火災現場及びり災物件等の状況を明らかにするため、位置、面積及び容量等を実測し、必要な図面を作成しなければならない。
(質問要領及び調査書の作成)
第25条 調査員は、法第32条第1項により関係のある者に質問するときは、強制的手段を避け、場所及び時間等を考慮し、被質問者から任意の申述を得るよう努め、みだりにその申述を誘導してはならない。
2 前項の申述は、質問調査書(様式第4号)に正確に録取しなければならない。ただし、火災早期発見者、消火協力者等出火に直接関係のない者については聴取書(様式第4号)でこれに代えることができる。
(質問調査書の作成要領)
第26条 前条の質問調査書を作成するときは、次に定めるところによらなければならない。
(1) 質問調査書は、申述者に閲覧させ又は読み聞かせ、誤りのないことを確認すること。また、通訳人の介助を得て質問をしたときは、通訳人を介してその内容を閲覧又は読み聞かせ、誤りのないことを確認すること。
(2) 質問調査書は、文字を改変しないこと。なお、文字を挿入又は削除したときは、欄外にその字数を記載し、これに認印し、削除した部分はこれを読むことができるよう字体を残すこと。
(3) 質問調査書には、申述者の署名を求め、申述者が署名できないとき、又は署名を拒んだときは、その旨を記載すること。なお、通訳人の介助を得て質問をしたときは、申述者及び通訳人に署名を求めるものとする。ただし、聴取書については、この限りではない。
(4) 質問調査書は、申述者が理解できる文字、書体を用いること。
(官公署への照会)
第27条 関係のある官公署に対し、必要事項を照会する場合は、火災原因調査関係事項照会書(様式第5号)によらなければならない。
(任意提出)
第28条 消防長又は署長は、調査のため必要と認めるときは、関係のある者に対し資料の任意提出又は報告を求めるものとする。
(資料提出命令及び報告徴収)
第29条 消防長又は署長は、調査のため必要と認めるときは、関係者及び火災の原因である疑いがあると認められる製品を製造し、又は輸入した者に対して必要な資料の提出を命じ、又は報告を求めることができる。
2 前項の規定により資料提出を命ずるときは、資料提出命令書(様式第6号)又は報告徴収書(様式第7号)によるものとする。
(資料の保管及び処分)
第30条 消防長又は署長は、第28条及び第29条第1項の規定により、必要な資料の提出を依頼し、又は命じた場合は、その資料にあわせて資料提出承諾書(様式第8号)の提出を求め、所有権放棄の有無を確認し、提出資料保管書(様式第9号)を交付しなければならない。
2 前項に基づく資料には、保管票(様式第10号)を付し、資料保管台帳(様式第11号)に記載し、調査が終了するまでこれを保管しなければならない。
3 提出者が資料の返還を求めるときは、調査終了後、資料返還確認書(様式第12号)と引き換えにこれを行うものとする。
4 提出者が資料の所有権を放棄したときは、調査終了後適宜処分するものとする。
(実験)
第31条 調査員は、原因究明のため実験を行ったときは、実験結果報告書(様式第13号)を作成しなければならない。
(資料の鑑定等)
第32条 消防長又は署長は、調査のため特に必要がある場合は、鑑定依頼書(様式第14号)により学識経験者又は関係官公署等に対し、資料の鑑定を依頼するものとする。
2 前項の規定により提出資料の鑑定を依頼するときは、鑑定処分承諾書(様式第15号)により当該資料を提出した者から事前に承諾を得ておかなければならない。
(児童に対する取扱い)
第33条 調査員は、児童に関する調査に当たっては児童の特性をよく理解し、言動に注意しその心情を傷つけないように努めなければならない。
2 前項の児童とは、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第4条に規定する満18歳に満たない者をいう。
(関係機関との連絡)
第34条 調査員は、児童に関する調査を行うに当たって必要があるときは、警察署、児童相談所、学校その他関係機関との連絡を密にして行わなければならない。
(保護者の立会い)
第35条 調査員は、児童に質問し又は現場見分時の立会人とする場合は、保護者、教師又は保護司等の立会いのもとにおいて行わなければならない。
(署名)
第36条 児童の質問調査書には、立会いする保護者、教師又は保護司等の署名を求めるものとする。
2 前項の署名は、第26条の規定を準用する。
[第26条]
(特例)
第37条 第35条の規定にかかわらず、児童の年齢、職業、家庭環境その他の事情を考慮して支障がないと認める場合、又は真実が得られないと判断される場合は一般の例によりこれを行うことができる。
[第35条]
(氏名等の公表禁止)
第38条 児童の失火又は放火による火災について、報道機関等に発表する場合は、氏名、年齢、住所等本人を推知できるような情報を漏らしてはならない。
(心神喪失者等の準用)
第39条 心神喪失者、心神耗弱者及び聴覚障がい者等の関係する調査は、第33条から前条までの規定を準用する。
[第33条]
(原因判定要領及び判定書の作成)
第40条 調査員は、出火出場時における見分、実況見分、関係者等の申述及びその他関係資料を総合的に検討し、火災の原因を判定しなければならない。
2 前項により火災の原因を判定したときは、火災原因判定書(様式第16号)を作成しなければならない。
(火災原因の決定区分)
第41条 火災原因の決定区分は次の各号に掲げるものとし、その内容は当該各号に掲げるものとする。
(1) 断定 各資料の証明力を総合することにより、全く疑う余地がなく、極めて具体的かつ科学的にその原因が決定されるものをいう。
(2) 判定 具体的かつ科学的に原因を断定することはできないが、各資料を基礎として専門的立場から見て、合理的にその原因が判断されるものをいう。
(3) 推定 各資料の証明力のみによっては、その原因を直接判断することはできないが、各資料を基礎とし専門的立場から見て、合理的にその原因が推測できるものをいう。
(4) 不明 原因を決定する資料が全くないとき又は若干の資料があっても、それらの資料の証明力が極めて少なく専門的立場から見てもその原因が合理的に判断できないものをいう。
(り災物件の調査)
第42条 調査員は、火災現場その他関係のある場所に立ち入って関係者に質問し、り災物件を詳細に調査して正確な損害の把握に努めなければならない。
(火災損害届)
第43条 調査員は、調査上必要があるときは、り災者その他関係者に火災損害届(様式第17号~様式第17号の3)の提出を求めるものとする。
(損害額の決定及び損害調査表)
第44条 調査員は、調査により把握したり災物件及び火災損害届を総合的に検討し、損害額を決定しなければならない。
2 前項の規定による損害額の算出については、り災した時点における時価又は原価により算出するものとする。
3 調査員は、損害額を決定したときは損害調査表(様式第18号)を作成しなければならない。
(死傷者の調査)
第45条 調査員は、火災に起因して死傷者が発生したときは、その状況を調査し、死傷者の調査書(様式第19号)を作成しなければならない。
第4章 調査報告等
(報告)
第46条 調査員は、調査を終了したときは、火災調査書(様式第20号)を作成し、書類目録(様式第21号)を添え署長に報告しなければならない。ただし、新事実が判明したときは、調査を再開するものとする。
2 前項の報告書には、次の書類を添付するものとする。
(1) 火災原因判定書
(2) 出火出場時における見分調査書
(3) 実況(鑑識)見分調査書
(4) 現場図面及び写真
(5) 質問調査書(聴取書)
(6) 損害調査表
(7) 火災損害届
(8) 火災調査関係事項照会書、実験結果報告書、鑑定依頼書に対する回答書
(9) その他関係資料
3 署長は、第1項に基づく調査を完了したときには、速やかに火災調査書(様式第20号)により消防長に報告しなければならない。
(書類の省略)
第47条 調査員は、前条の書類のうち、半焼以上の建物火災及び火災・災害等即報要領(昭和59年10月15日付け消防災第267号)に定める即報基準に該当するもの以外のものについては、出火出場時における見分調査書及び実況見分調査書を省略することができる。
2 調査員は、前項によるほか、小規模火災に該当する場合は、火災原因判定書を省略することができる。
3 小規模火災の対象とする火災種別、規模及び条件は予防課長が別に定める。
(報告期限)
第48条 第46条第1項の報告は、原則として次に定める期限内に報告しなければならない。
[第46条第1項]
(1) 半焼以上の建物火災又は特異火災は、火災覚知の日から起算して60日以内とする。
(2) 前号以外の火災は、火災覚知の日から起算して30日以内とする。
2 前項第1号及び第2号に定める期限は、鑑定、資料収集等に時間を要するもので消防長が特に必要と認める場合は、この限りではない。
第5章 調査結果の活用
(調査結果の活用)
第49条 消防長又は署長は、調査結果から教訓及び問題点を抽出し、抽出された教訓を活かし、問題点に対する対応を速やかに講じるなど消防行政に反映させなければならない。
(類似火災に対する対応)
第50条 消防長又は署長は、火災の調査結果から製造物の欠陥等によって火災の発生が予測される場合その他必要と認めるときは、当該火災に係る資料の収集に努め、速やかに類似火災の防止に係る対応を図るものとする。
(広報)
第51条 消防長又は署長は、調査に関する市民、報道機関等への広報発表を行うときは、類似火災防止効果が上がるように配慮するものとする。
第6章 雑則
(火災原因等に関する回答)
第52条 消防長は、火災原因その他調査事項について、捜査機関その他関係機関から照会があったときは、その内容、目的その他必要な理由について審査し必要な事項について回答することができる。
(その他)
第53条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定める。
附 則
この規程は、平成17年3月22日から施行する。
附 則(平成22年2月1日消防本部訓令第29号)
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この規程は、平成22年2月8日から施行する。
附 則(平成23年10月1日消防本部訓令第3号)
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この規程は、平成23年10月1日から施行する。
附 則(平成28年2月10日消防本部訓令第3号)
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この規程は、平成28年4月1日から施行する。
附 則(平成28年3月16日消防本部訓令第4号)
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この規程は、平成28年4月1日から施行する。
附 則(平成29年4月1日消防本部訓令第1号)
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この規程は、公布の日から施行する。
附 則(令和2年5月15日消防本部訓令第4号)
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(施行期日)
1 この規程は、令和2年5月15日から施行する。
(経過措置)
2 この規程による改正前の様式第1号から様式第22号までによる用紙で、この規程の施行の際現に存するものは、この規程による改正後の様式による用紙とみなして、当分の間、使用することができる。
附 則(令和3年6月4日消防本部訓令第6号)
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(施行期日)
1 この規程は、令和3年7月1日から施行する。
(経過措置)
2 この規程による改正前の様式第16号の3、様式第17号から様式第17号の3まで及び様式第19号から様式第21号までによる用紙で、この規程の施行の際現に存するものは、この規程による改正後の様式による用紙とみなして、当分の間、使用することができる。
附 則(令和4年3月24日消防本部訓令第6号)
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この規程は、令和4年4月1日から施行する。
附 則(令和4年12月13日消防本部訓令第18号)
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(施行期日)
1 この規程は、令和5年1月1日から施行する。
(経過措置)
2 この規程による改正前の様式第2号から様式第4号まで、様式第6号、様式第7号、様式第16号及び様式第18号から様式第20号までによる用紙で、この規程の施行の際現に存するものは、この規程による改正後の様式による用紙とみなして、当分の間、使用することができる。
附 則(令和5年3月24日消防本部訓令第3号)
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この規程は、公布の日から施行する。
附 則(令和6年3月29日消防本部訓令第8号)
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この規程は、令和6年4月1日から施行する。
附 則(令和6年7月16日消防本部訓令第13号)
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この規程は、令和6年7月16日から施行する。
附 則(令和7年4月1日消防本部訓令第4号)
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この規程は、令和7年4月1日から施行する。